タイムズスクエアー
訪米雑感
この目で見たアメリカ
政治的にも、経済的にも、文化的にも、日本にとって最も親密な国アメリカのニュースは四六時中私たちの耳に、そして目に飛び込んでくる。
今回、はからずも直接訪問の機会を得、この目でそのアメリカを見ることができた。

1.複合社会アメリカ
人種、宗教、言語、習慣などいろんな意味でまさしく複合社会である。
各地で乗ったタクシーの運転手の出身地を聞くと、アフガニスタン、トルコ、メキシコ等とアメリカ人が出てこない。またその英語たるやサッパリ分からない。英語が話せないアメリカ人が増加している所以でもある。

2.とてつもなくデッカイ"アメリカ"
各地で乗った飛行場の大きいこと、そして又その施設のスケールの大きさ。成田空港がミジメに見えてくる。ナイアガラ、南部ヒューストンの大平原、グランドキャニオンと全て地平線の世界。
「わらじ」のようなステーキ、「こぶし」のようなブロッコリー。人間もデッカイが食事もデッカイ。

3.危険と同居のアメリカ
空港で、ホテルで、いつでもどこでも身の安全には目一杯気配りが必要。神経の疲れること甚だしい。ビジネス街のオフィスビルでは、各トイレの入り口に施錠してあり、各人がキーを保持、部外者の侵入を防いでいる。当社の米国事務所も例外ではなかった。アメリカでは自分の安全は自分で守るしかない。

4.人生をエンジョイしているアメリカン
ブロードウェイの熱気。俳優達と観客の一体感はまさに圧巻。タイミングのよい熱烈な拍手、フィナーレの一斉スタンディングオベーション、劇場全体を包む猛烈な熱気。目の肥えた観客が一丸となってスターを育成している感じ。若いカップル、中年そして老夫婦と閉幕後の街はいつまでも華やかで煌いていた。10時開場のディスコではドレスアップした一団が行列しておりブロードウェイは時間の停止地帯である。

5.ホスピタリティに富む南部アメリカン
ヒューストンでホームビジットをした。コンサルティング勤務の主人と商業銀行取締役の奥さんの家庭に、友人夫妻と近所に住む母親の5人で歓迎してくれた。離婚問題を中心に家庭の崩壊が増大しているアメリカで、これとは全く無縁の素晴らしい家庭であった。母親を中心に話題を展開し、主人が台所で奥さんと交替しながら料理を作る姿に何の違和感もなかった。
十分な会話の出来ない私達に対して、精一杯の歓待をしてくれたホスビタリティには大変感激した。「いつか日本で会いましょう」と云う言葉にも真実味があった。
話は異なるが、一時腰痛で苦しんでいたとき黒人の運転手が別れ際に「体を大事にしろよ」と言った時の優しい目が今でも私の脳裏に焼き付いている。総体に南部のアメリカンは日本人が忘れかけている優しさを持っている。

6.ダイナミックでアクティブなアメリカ
人種のルツボ、アメリカでは自己主張しなければ人は認めてくれないという社会的条件がある。タクシーを探していると、横合いからサット出てきて勝手にタクシーを止めて、止めてやったからチップを出せと要求する「職業」の人もいる。いま話題の不動産王トランプのような桁違いの大金持ちもおれば、ホームレスもゴロゴロしている。貧富の差が極端に激しく一見無秩序な社会に見えるが、星条旗の下に、底抜けに明るく一生懸命に生きている人々が多い。
離婚問題、麻薬、エイズ、いまアメリカの社会が抱えている問題は多い。しかし自力で解決出来るという自信と誇りを彼らは持っている。そのため問題を全てオープンにし解決に堂々と正面から向かっている。
何でも受け入れてしまう度量の広さ、バイタリティに富んだ国、それがアメリカだ。
1.S生命保険会社ニューヨーク現地法人(ニューヨーク)
2.エクイタブル生命保険会社(ニューヨーク)
3.老人福祉センター CLASSIC RESIDENCE(ワシントン)
4.O.C.L. Technology Center Inc.(サンフランシスコ、サンノゼ)
公式訪問先