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アランフェス〜トレド Aranjuez〜Toledo
アランフェス
スペインの繁栄を頂点に導いたフェリペ2世から同3世、4世に至る「三フェリペの100年間」(1556〜1665)は、スペインの「黄金の世紀」といわれる。アメリカ大陸に進出し、大量の銀を持ち帰り、ベラスケス、エル・グレコが不朽の名画を描き、スペイン語は世界語となった。そのフェリペ2世が手掛けたのが、マドリッドの南に建つアランフェスの離宮である。荒涼たるカスティーリャ地方の中部に優雅なたたずまいをみせるオアシスのような街。ホアン・ロドリゴの「アランフェス協奏曲」でも有名。
庭園の入り口
ベルサイユ宮殿に似たアランフェスの王宮
フェリペ2世の命により、サン・ロレンソ修道院を造営した建築技師たちによって1561年に造られた。現在の建物は1778年に修復されたもの。バロックが調和されたルネサンス様式の建築物。カルロス3世の命により造られた。「陶器の間」がみもの。その他「鏡の間」「王座の間」も興味深い。歴代王室の衣装博物館もある。
宮殿に隣接している「島の庭園」は優雅なフランス庭園。
ヨーロツパで最も古い歴史を持つ都市のひとつ。マドリッドから南に70q。かってスペインの首都だったトレドは、タホ川が巡る海抜530mの岩山の上に広がるスペインの国家的モニュメントといえる。城壁で囲まれた旧市街は、長い年月をかけてスペインの歴史を築いてきた中心地である。赤茶けた荒涼たる大地の上に、忽然と広がる石造りの中世都市。ここにはスぺインの歴史が凝縮されている。
トレド
展望台から見たトレド全景
大寺院(カテドラル)
市街中央にそびえる高さ90mの鐘楼がひときわ目を引くスペイン・カトリックの総本山。1227年フェルナンド3世時代に着工し、1493年完成。フランスの影響を受けたゴシック建築で、内部は奥行き113m、左右57m中央部高さ30m、中央礼拝堂を22の礼拝堂が囲む。聖器室(Sacristia)にはグレコの「聖衣剥奪」はじめ、ベラスケス、ルーベンスなどの作品が展示されている。
グレコの聖衣剥奪
グレコのスペイン時代初期の傑作。トレド大聖堂聖具室を飾る祭壇画で、主題は聖具室という設置場所にちなんで選定された。構図はおそらくビザンティン美術の「ユダの接吻」の図象に基づき、キリストを中核として群像を縦に積み上げる構成法をとっている。イタリア時代に好んで用いられた遠近法に代わって、ここでは、宝石のように輝く深紅色のキリストの衣が、大胆な色彩の威力を発揮しつつ、精神上の焦点を形作っている。キリストの頭部は、弧高性と崇高美にあふれている。一方、群衆の粗野な頭部や兵士の甲冑に、グレコの自然主義がうかがえる。いずれにしても、強烈な印象を与える深紅色だった。
彫刻により「キリストの一生」を表現している。文盲の信者のためこのような表現方法をとったもの。
聖堂内の正面にあり、普段は保護のため照明を消しているため、見ることができない。観光客へのサービスとして数分間のみ照明を点灯、観賞させてくれる。
キリストの一生を彫刻で表現したもの
サント・トメ教会
グレコのオルガス伯の埋葬
トレドのメインストリートに面して14世紀のサント・トメ教会がある。ここには、教会の要請をうけ、グレコが全精魂を注いで描き上げた畢生の大作「オルガス伯の埋葬」がある。テーマは教会の有徳者オルガス伯爵の死にまつわる伝説で、埋葬される際、2聖人が天上から舞い降りて遺骸を墓に納めたという。この誉れある奇蹟が、司祭や貴神たちが参列する埋葬場面を下方に、故人の魂が赤子の姿で昇天して迎えられる天上世界を上方に見事に描かれている。緊密完璧な構成、後年にはない慎重で的確な描法、また華麗な色彩が駆使され、まさにエル・グレコの円熟時代を代表する傑作である。
トレドの店、陶器類が多い
グレコの住んだ家
19世紀末に復元したグレコの家。往時の家具、調度品などもある。左側の美術室には、「トレド景観」などグレコのほか、16〜17世紀のスペイン画家の作品も展示されている。