東京の洋館ーその2ー
文京区白山3-7-1
一般公開、無料。重要文化財
明治の新政府の意向で、東京医学校が設立され、その翌年の明治9年(1876)本郷の加賀藩邸跡地(現・東京大学病院の構内)に同校本館が建てられた。
設計は工部省営繕課の西郷元善。現在地の小石川植物園内に移築されたのは昭和44年(1969)のこと。それと同時に国の重要文化財に指定されている。平成13年(2001)からは、「東京大学総合研究博物館小石川分館」として機能しており、デジタル化した古い建築物の資料などを公開している。
明治政府が打ち出した諸官庁集中計画の一環として建てられたもので、旧司法省庁舎。竣工は明治28年(1895)。計画自体は日比谷界隈の地盤の悪さなどで挫折したが、既に着工していたこの建物と裁判所だけが完成に至った。空襲によって甚大な被害を受けたものの、約2年にわたる復旧工事によってかって
の姿を取り戻している。威圧感のある高層ビルが多い官庁街にあって、壮麗な外観がひときわ目立つ。内部は非公開。ネオ・バロック様式の赤レンガ棟がライトアップされた夜景は実に壮観。
千代田区北の丸公園1-1
一般公開、有料。重要文化財
明治43年(1910)に、皇居を守衛する近衛師団の司令部として建造された。旧陸軍の象徴ともいえる建物。設計は当時の陸軍技師・田村鎮。終戦を目前に控えた昭和20年(1945)8月15日、無条件降伏に反対する若手将校らがこの司令部を占拠し、森師団長を殺害。
戦後、近衛師団は廃止され、その後は、一時期皇宮警察の寮として使用されていた。建物の中央と左右にある切り妻の円盤部分には、当初は菊の御紋と近衛師団の旗がはまっていた。北の丸公園に映える激動の昭和史を伝えるモニュメントだ。そんなことは知ってか知らないでか、多くの人々が無心に建物の写生を行っていた。平和で長閑な風景が何より有り難い。
台東区上野公園12-49
入館無料
明治39年(1906)に帝国図書館として建設されたルネッサンス様式の洋風建築。
3階にはコリント式列柱に囲まれた大閲覧室が配されている。かっては、閲覧席のあきまちの行列ができたと言うが、本館が新築された昭和36年(1961)以降は存在感が薄れてしまった。
しかし、平成14年(2002)日本初の国立児童専門図書館として、その名も「国際こども図書館」として新たに全面開館をはたし、各方面から注目を浴びている。子供のための専門図書館として、上野の杜に蘇えった歴史的建造物と言えよう。
新宿区霞ケ丘町9
一般公開、有料
明治天皇と昭憲皇太后のご聖徳を後世に伝える目的で建てられた建造物。大正15年(1926)神宮外苑を造営する際に、設計の一般公募が行われ、その当選案を基にして昭和11年(1936)に竣工。地下1階、地上2階のルネッサンス様式の石造りで、内部は様式を簡略化したセセッションというスタイルを採り入れている。館内には明治史を伝える80枚の大壁画などが展示されている。
絵画館の前には見事なイチョウ並木が続いており、緑豊かな神宮外苑のシンボル的建物。
千代田区紀尾井町1-2
プリンスホテルの別館として使用中
明治43年(1910)の日韓併合によって、日本の皇室に組み込まれた韓国李王家のために建てられた。竣工は昭和3年(1928)。李朝最後の皇太子・李垠が、日本の皇族・梨本宮方子と結婚し、この邸宅の主となった。ゴシック・チューダー様式を基にしているが、細部にスペイン風のテ
文京区音羽1-7-1
一般公開、有料
音羽の高台に建つ洋館は、昭和29年から31年までの間、首相を努めた鳩山一郎が大正13年(1924)に建てたもので、設計は鳩山の親友であった建築家の岡田信一郎。随所に見られるハトをかたどった装飾は、もちろん鳩山の姓に因んだものだが、このようなユーモアが二人の親交の深さを物語るようでほほえましい。
最大の見どころは、やはり庭園。鳩山が愛したバラを主役にした庭から眺める建物南面は端正で、岡田の設計手腕の確かさを感じさせる。
目黒区駒場4-3-55
一般公開、無料
昭和4年(1929)に建設された前田利為の本邸。設計者の高橋貞太郎は、日本橋高島屋や川奈ホテルなどを手掛けたことで知られている。
イギリス・チューダー様式を基調にして仕上げられており、外壁には当時流行したスクラッチタイルを使用。内部の装飾には大理石をふんだんに用いている。洋館の裏手には、自然体を借景とした美しい日本庭園を有する旧前田邸和館もある。
東洋一の豪邸と称賛された旧加賀藩主前田家、16代当主の本邸。
港区白銀台5-21-9
一般公開、有料
この建物は昭和8年(1933)に建てられた旧浅香宮邸で、世界的にも類を見ないアール・デコの建築として知られている。だが、外観は全体的に装飾を排したモダンな構成で、どちらかと言うとインターナショナル・スタイルと言ったほうが近い。一方、内部はまぎれもないアール・デコの館。2階サンルームから見下ろす庭園も美しく、さすが建物の名称に「庭園」が冠されているだけのことはある。庭から眺める建物西側の外観もまた必見。正面側のファサードに比べ、様式的な色合いが見られ、豊かな緑と溶けあっている。
広大な庭園の緑に溶け込むアール・デコの貴重な建築である。
港区三田2-14-45
明治45年(1912)3年の歳月をかけて完成。
赤レンガと花崗岩などを交えた華麗なゴシック式洋風建築で、竣工当時は大学の図書館としては突出した規模を誇った。関東大震災や空襲によって甚大な被害を受けてはいるが、その都度修復されほぼ原型を保っている。かっての閲覧室は大会議室に、そして事務室は「福沢研究センター」となり、現在も使用されている。玄関ホール正面には、建学の精神「ペンは剣よりも強し」をラテン語で綴ったステンドグラスが配されている。
豊島区西池袋3-34-1
本館正面、写真には写っていないが左右に「図書室」「礼拝堂」がシンメトリーに配置されている
正面の裏側、構内から見た本館
礼拝堂のつた
ウイリアムズ主教が、明治7年(1874)に立教大学の前身である「立教学校」を築地に開設し、その後大正7年(1918)に現在地の池袋に移転。それと同時にレンガ造りの本館が建造された。
チューダー・ゴシック様式を忠実に伝える貴重な建物であり、関東大震災や大空襲もくぐり抜けて、当時の姿を今に伝えている。
この他にもチャペルや旧学生寮など、キャンパス内に貴重な建築物が多い。中世ヨーロッパの雰囲気を漂わせるツタの絡まる風格ある建物だか、一方ではメルヘンチックでもある。
ィストなども見られ、さまざまな様式が混在しているのが特徴だ。現在は赤坂プリンスホテルの別館として利用されており、2階にはフランス料理レストラン「トリアノン」が入っている。
東京法人営業部時代にしばしばこのレストランを利用したが、誰を招待しても決して恥じをかくことは無い、安心できるレストランであった。
千代田区霞ヶ関1-1-1
3階の「法務資料展示室」は見学可能
豊島区西池袋2-31-3
一般公開、有料。 重要文化財
中央棟全景
ラウンジホール
明日館は自由学園誕生の校舎で、アメリカが生んだ巨匠フランク・ロイド・ライトの設計建物である。学園の創立者羽仁吉一・もと子夫妻の友人であった遠藤新氏との縁で、当時帝国ホテルの設計のため来日中であったライトに設計を委嘱し、大正10年(1921)に最初の教室が完成、その後中央棟、西教室棟、東教室棟、さらには遠藤新氏設計による講堂が順次完成、今日まで関東大震災や太平洋戦争の災害を免れ80年にわたって保存されてきたもの。昭和9年(1934)学園は東久留米市に移転したが、その後明日館は卒業生の活動拠点として使用されていた。近年老朽化が一段と進んだため、平成9年(1997)国の重要文化財の指定を受け、順次国、都の補助事業による保存・修理工事を行い、別棟3棟の新築を含めて、平成13年(2001)9月に完成した。