アメリカ旅行2(ワシントン)

アメリカの首都、世界の政治の中心地ワシントン。綿密な都市計画に基づいて建設されており、その街路網は基盤目状の道路と、基点を結ぶ放射状の道路から構成され、とてもわかりやすい。
連邦政府がワシントンに移転してきた1800年当時、ここは人口5000人に満たない小さな町だった。初代大統領ジョージ・ワシントンと新大陸の発見者コロンブスに因んでWashington-District of Columbia(ワシントンーコロンビア特別行政区)と名づけられたその地区内には、現在のジョージタウン(メリーランド州)とアレクサンドリア(バージニア州)地域も含まれていたが、1847年に特別区のうちポトマック川西岸部分がバージニア州に返還され、特別区の面積は当初の259k㎡の3分の2になった。フランス人技師のピエール・ランファン少佐によってデザインされた特別区の街路は、今も整然とした美しさを保っている。

N.Y.のグランドセントラル駅から特急列車で２時間５０分で、ここワシントンのユニオンステーションに到着した。アムトラックの本部があり、長距離列車などが乗り入れる巨大駅。ローマ風の外観と構内ロビー上壁部を装飾するアーチ型の天井が見事だ。美術館と見まちがうほどの美しい駅である。地下1階、地上2階建ての駅構内には一大ショッピングセンターがあり、ブティック、ブックストアー、みやげ物店、ワインショップ、レストラン、カフェなど100店以上

が出店。地下のフードコートには、ハンバーガー、すし店、シーフードレストランをはじめ、世界各国の料理が揃っている。そのほかレンタカーのブースや待合室など、旅に関するあらゆる機能が整っている。
初代は1908年の建設。1988年完成した現在の駅舎は、建築家ダニエル・H・バーハムの設計。

ワシントン記念塔の真正面にあり、威容を誇る古代ギリシア神殿風の白亜の建物は、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの栄誉をたたえて建てられた国立記念堂。建築家ヘンリー・ベーコンの設計により、1914年2月12日着工、1922年5月30日に除幕式が行われた。
大理石、御影石、石灰石で造られ、内部は3つの部屋に分かれている。中央の部屋には、椅子に深深と腰を下ろした巨大なリンカーンの白い大理石の像が置かれている。

南側の部屋には有名なゲティスバーグの演説の原文が彫りこまれている。

That government of the people by the people for the people.

「人民の、人民による、人民のための政治」

初代大統領ジョージ・ワシントンを記念して建てられたワシントンのシンボル。石造りの塔としては世界最大の高さ169m。ワシントンで最も高い建物でもあり、この塔より高い建物を造ってはならないという法律があるほどで、頂上展望台からはワシントンの町を見渡すことができる。
材料の石は国内各州、世界各国から寄贈されたが、南北戦争中工事が中断され、下の1/3のあたりで微妙に色が異なっている。
手前の池は、リフレクティング・プールといってワシントン記念塔とリンカーン記念堂の間にあり、長さ690mの人工池。インドのタージ・マハルをモチーフとして造られたもので、周囲には緑豊かな憲法庭園が広がる。日没後、リンカーン記念堂から眺めると、ライトアップされたワシントン記念塔が水面に美しく浮かぶ。

1943年、独立宣言の起草者である第3代大統領トマス・ジェファーソンの生誕200年を記念して建てられた記念堂。
ローマ神殿風の円形建築の内部は白い大理石で造られ、ブロンズ製のジェファーソンの像が立っている。このそばを流れるポトマック川岸には日本から贈られた桜が、毎年みごとな「春」を演出する。

キャピトル(国会議事堂)から西に向かって、ワシントン記念塔を経てリンカーン記念堂まで真っ直ぐに伸びている緑地帯のことをモールという。その両脇に沿ってナショナル・ギャラリーや自然史博物館、アメリカ歴史博物館、航空宇宙博物館、フリーア・ギャラリーなどの膨大なスミソニアン博物館群が並んでいる。

　　　　　　　　　　　航空宇宙博物館
子供から大人まで、スミソニアン博物館群の中で最も人気がある。ライト兄弟やリンドバーグが大空を舞った飛行機などからロケット、アポロの指令船と、航空宇宙技術の進歩の歴史を知ることができる。ラングレー劇場の巨大スクリーンで上映されているスペース・シャトルなどの映画はは大迫力。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　ナショナル・ギャラリー　
世界でも五指に入る所蔵品を誇る美術館。古典作品中心の西館と現代作品を展示する東館からなる。西館では13世紀から現代までの作品のなか、フィレンツェ派とフランス印象派の作品が充実し、ダ・ウィンチ、レンブラント、ルノワールなど、西洋美術史で重要な役割を果たした作家の作品が並んでいる。東館にはピカソ、マティスなど20世紀の名作が並ぶ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

アーリントン国立墓地
第35代アメリカJ.F.ケネディをはじめとするアメリカの国民的英雄や建国以来の数々の戦争で亡くなった25万人の戦死者とその家族、政治家が埋葬されている国立墓地。広大な敷地の半分は、かっては南北戦争の南軍の将リー将軍の所有地で、墓地を見下ろす丘の上には彼の邸宅だったアーリントンハウスが立つ。緑の芝におおわれた丘には、墓地が整然と並んでいる。丘の上からワシントン市街を望む場所には、ワシントンの都市計画を手掛けたピエール・ランファンが眠っている。