金沢21世紀美術館中庭、これ自体が展示物

金沢21世紀美術館全景(パンフレットより)

時雨亭

県立歴史博物館

雪吊りの連峰

光に浮かぶ琴柱灯籠

ライトアップに浮かぶ雪吊りと紅葉

県立美術館

兼六園、金沢城周辺

兼六園 百万石前田家の庭園として造られた特別名勝・兼六園は、水戸の偕楽園、岡山の後楽園とともに、日本三名園の一つ。ほぼ現在の姿に造園されたのは13代藩主斉泰の時代で、「兼六園」の名は宋代の詩人・李格非が書いた「洛陽名園記」に由来し、宏大・幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望の六つを兼ね備える名園として時の老中松平定信が命名したと伝えられている。冬の風物詩・雪吊りや梅園の紅白梅など四季折々の自然と、代々藩主たちによる絶え間ない築庭の妙が織り成す景観は、屈指の美しさと雄大さを生み出している。有名な琴柱灯籠、雁行橋、霞ケ池など見所も多い。私が訪れた11月中旬はちょうど雪に備えて雪吊りの準備が始まり、ライトアップが始まる時だった。この時期はカニの解禁とも重なり観光客の増える冬シーズンの始まりとも言える。

夕照に映える雪吊り

夕顔亭 園内で最も古い建物1774年(安永3)に建てられた茶室。
茶席の次の間の袖壁に夕顔(瓢箪)の透かしがあるので夕顔亭という亭名がつけられている。

県立歴史博物館 かつて陸軍の兵器庫、戦後は金沢美大の校舎として使われていた赤レンガ棟がレトロな印象を醸し出す歴史博物館。充実した展示内容もさることながら、明治・大正期の代表的な洋風建築はなかなかの値打ちもの。季節によってはライトアップされ一段の輝きを増す。

時雨亭 5代藩主綱紀が作庭した頃からあった建物で、蓮池御亭と呼ばれていた。それが6代藩主吉徳により建て替えられ、藩政後期には時雨亭となった。

金沢城公園 前田家の居城だった金沢城の域内は、平成6年まで金沢大学のキャンパスとなっていたが、現在は鉛瓦と白いなまこ壁が特徴の石川門や三十間長屋に加え、新しく五十間長屋や菱櫓などを復元し、金沢城址全体を金沢城公園として開放している。
金沢城石川門(トップページに写真掲載) 石川郡の方を向いていることからその名がついた石川門は、金沢城址の東に位置する重要文化財である。宝暦9年の大火によって全焼したが、11台藩主冶脩の代に再建され、その後修理を重ねて現在の姿になった。
三十間長屋 安政5年に建てられた石垣・なまこ塀・鉛瓦という金沢城らしい装飾を備えている長屋。江戸時代には武器・弾薬などの倉庫として使われていた。現存する金沢城の遺構の一つとして国の重要文化財に指定されている。
 

復元した菱櫓

菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓 平成10年から3年余かけて復元された金沢城の城郭施設。明治以降に建てられた木造城郭建築物としては全国最大規模で、石川門や三十間長屋と同様に鉛瓦やなまこ塀が特徴。菱櫓と橋爪門続櫓を五十間長屋でつなぐかたちになっており、菱櫓、橋爪門続櫓はそれぞれ門を見張る物見櫓、五十間長屋は武器倉庫として使用されていた。現在では、建物そのものが展示物であり、その内部には建具構造の模型や映像が設置され、建築過程を分かりやすく説明している。一見の価値ある重厚な施設であり、現代の名工の技術が集積されている。

橋爪門続櫓

石川県立美術館 古九谷や前田家伝来の文化財をはじめとする古美術から、石川県ゆかりの作家の作品を中心とする現代美術までを収集・展示。野々村仁清の国宝「色絵雉香炉」、古九谷は必見。ほぼ等身大の雉の形をした香炉で、江戸時代前期の作。仁清の彫塑的作品の代表的傑作。

滞在中院展・金沢展が開催されていたが、過去の展覧会をみても地方としては珍しいメジャーなものが多く開催されている。さすが文化・芸術のまちだけのことはある。

金沢21世紀美術館 平成16年10月オープン。金沢のランドマーク的な美術館として人気絶大。「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創造」を目指した、気軽に立ち寄れる

「公園のような」美術館である。建物もユニークで、直径113m、周囲350mの円形のガラス張りとなっている。いろいろなコミッションワークや近現代の作品が人気を呼んでおり、併設の市民ギャラリーでは多彩な催し物が開かれている。滞在中は若者に人気のある「奈良美智展」、公募の「市民写真展」とか「北大路魯山人展」があり、多くの来場者で賑わっていた。早くも金沢の新名所となっている。

夕顔亭

これらの他に
中村記念美術館・・金沢の素封家が収集した茶道美術の名品など展示。
藩老本多贓品館・・筆頭家老の5万石本多家が歴代秘蔵した武具、工芸品など展示。

民族文化財展示館・・明治32年建築の木造ゴシック風の建物の中に職人の工具や生活上の民俗資料を展示。
西田家庭園「玉泉園」・・加賀藩士が4世代100年かけて築庭した純日本庭園で密生する青苔は見るものを圧倒する。
加賀友禅伝統産業会館・・加賀友禅の展示、小物販売、実演、友禅着用体験など豪華さを楽しみながら体験できる。

さすが百万石の加賀・金沢だけあって、この狭い地域だけでもこれだけの美術館、博物館、工芸館などがある。1週間程度の滞在ではとても回りきれたものではない。今後の楽しみに取っておきたい。季節を変えて訪れることにより、新しい展示物に巡り合えることだろう。


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ふるさと偉人館 金沢市が生んだ世界に誇れる「ふるさとの偉人」天文学者木村栄、仏教学者鈴木大拙、化学者高峰譲吉、国文学者藤岡東圃、思想家・評論家三宅雪嶺、建築家谷口吉郎、自然保護者・詩人中西悟堂、土木技師八田興一の8人の生涯や業績などを紹介している。

伝統産業工芸館 石川県の優れた伝統工芸品である九谷焼、輪島塗、加賀友禅、金沢箔など36種類の工芸品を展示し、現代の暮らしと伝統工芸品のトータルコーディネートを提案。

能楽堂 金沢の芸能を代表する加賀宝生流の能には300年以上もの歴史と伝統があり、ここではその練成、能楽師の育成のほか子供の謡教室などの活動を行っている。

成巽閣 13代前田斉泰が、母・真龍院のために造営した御殿で国の重要文化財。前田家伝来の調度、衣装、掛軸、屏風などの美術工芸品と見事な大名庭園を見ることができる。