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安直桜
南伊豆 下田
日本の長い鎖国時代に幕を下ろし、開国に向かった幕末の歴史を今も色濃く残す街。開国にまつわる名所・旧跡も数多く、中でも米国総領事ハリスと唐人お吉の悲話に関する観光名所が有名。港の近くには、なまこ壁の民家が立ち並び、アジサイの群落地として知られる下田公園や寝姿山といった景勝地もあり、南伊豆随一の観光地である。
1853年(嘉永6年)、ペリーは前年にフィルモア米大統領の親書を幕府に渡して開国・通商を求めたが、幕府側に1年の猶予を求められたため一時退去した。しかし翌年2月13日(嘉永7年1月16日)に再び来日して江戸湾(東京湾)へ入港した。約1ケ月にわたる協議の末、相模国神奈川(神奈川県)横浜村において全12カ条からなる和親条約を締結した。
その後伊豆国下田(静岡県下田市)の了仙寺へ交渉の場を移し、同年5月25日に和親条約の細則を定めた下田条約(全13ケ条)を締結した。なおペリー艦隊は同年6月1日に下田を去り、帰路琉球へ立ち寄り、琉球王国とも通商条約を締結させている。
日米和親条約

「天空の海」。私が勝手に命名した。
石廊崎の漁港から灯台へ向かう途中、一瞬この光景に出くわした。目の錯覚だが、天空に海が浮かんでいる不思議な光景。

寝姿山は標高181mの山で、下田街道から眺めると女性の寝姿に見えることからこの名がついた。下田駅前から山頂までロープウェイが通り、伊豆七島、天城連山の大パノラマを望める展望台のほか、縁結びや安産の神が祭られる愛染明王堂、近代写真の祖・下岡蓮杖写真記念館などがある。何よりも下田湾を見下ろす眺望は素晴らしい。

日米和親条約
1.アメリカに物資を補給(蒔水給与)するために下田、函館を開港すること。
2.漂流民の救助、引渡し
3.アメリカ人居留地を下田に設置する
4.片務的最恵国待遇
下田条約による細則
1.アメリカ人の移動可能範囲は下田より7里、函館より5里四方に限り、武 家・町家に入る事を禁ず。
2.アメリカ人に対する暫定的な休憩所として了仙寺、玉泉寺に置き、米人 墓所は玉泉寺に置く。
3.アメリカ人が鳥獣を狩猟する事を禁ず。(以上Wikipediaによる)
条約の内容(抜粋)
下田城山公園から見た下田湾
了仙寺ペリー提督と幕府の日本全権一行が安政元年(1854)に日米和親条約の付録協定、下田条約を結んだところ。境内の宝物館には、黒船来航と開国に関わる絵巻物や、ペリー自筆の公文書などの貴重な資料が展示されている。5月、アメリカジャスミンが境内を染め、あたり一帯が不思議な香りに包まれる。

イギリス人ブラント設計、1871年(明治4)建設

「蒸気船並びに乗組員人物図」(嘉永7年頃)
玉泉寺
安政3年(1856)タウンゼント・ハリス米国総領事は通訳ヒュースケンを伴ない下田に着任し、玉泉寺を日本最初の総領事館として開設した。
万国人物写生図
下田絵図(嘉永7年頃)
これら4点の絵はいずれも了仙寺宝物館内・黒船美術館内に展示のもの
ペリーロード
黒船から上陸したペリー提督が了仙寺に向かった道。平滑川を挟んで延びる2本の石畳の道には昔ながらのなまこ壁の民家を改築した喫茶店やショップなど風情ある家並みが続き、往時に思いを馳せながら散策を楽しめる。
ペリー上陸記念碑
ベイサイドプロムナード・和歌の浦遊歩道
潮風を頬に受けながら爽やかなハイキングが楽しめる波打ち際の散歩道。平坦で整備された道が続き家族連れ向き。ペリー上陸記念碑から下田海中水族館まではベイサイドプロムナード。吊橋で渡る雁島では手軽に磯釣りが楽しめる。続いて水族館から大浦までが、和歌の浦遊歩道。途中、赤根島に立ち寄れば石廊崎方面の美しい海岸線を眺めることができる。志太ケ浦あたりは波の小さな入り江なので磯遊びにも最適。今回は時間がなく、ベイサイドプロムナードだけで終わったが、来年度はぜひ和歌の浦遊歩道まで歩きたいものだ。
雁島からの美しい海岸線
湾内遊覧船・黒船「サスケハナ」
黒船祭「下田で3日間の幕末タイムスリップ」をスローガンに毎年5月20日前後に行われる下田ならではのイベント。米海軍主催墓前祭、同公式パレード、黒船サンセットコンサート、再現劇「下田条約調印」、白浜太鼓、天筒・海上花火大会など連日見どころが満載。
唐人お吉の悲話
本名・斎藤きち。下田でも指折りの名妓で、幕史の策により、わずか17歳の時に強制的に米国総領事タウンゼント・ハリスの世話係りとして奉公に上がった。3年の奉公を終えて帰ってきたが、外国人を野蛮な人間と見ていた周囲の人々に「唐人お吉」と蔑まれ、大酒で紛らわせるようになる。以前恋人だった鶴松と一緒になり、髪結業を営むが、その後離別。続いて小料理屋「安直桜」を営むが、酒に溺れてほどなく倒産。明治23年(1890)失意のうちに稲生沢川へ身を投げ、48歳の生涯に幕を閉じた。お吉と鶴松ゆかりの見どころは数多く点在し、下田の開国の歴史とともに語り継がれている。
爪木崎須崎半島に突き出した岬で、野水仙の群生地として有名。
ベイ・ステージ下田
下田の特産品が買えるショップやレストラン、ギャラリーなどがある「海の交流館」と下田の歴史と文化を紹介する常設展示室がある「歴史の交流館」がある。特に、館内の回転すし店が人気で地元の魚介類が美味しい。また、地元で水揚げした金目、アジ、カマスなどの直売所もある。
下田の新名所

寝姿山からの眺望

石廊崎

相模湾と遠州灘を二分する石廊崎は、太平洋の荒波に侵食されて出来た奇岩、断崖がつらなり、その海岸線は複雑に入り組んだ入り江となり、足元に砕ける怒涛が迫力満点の風景を展開する。遠く伊豆七島や神子元島を望め、伊豆きっての景観美が満喫できる。

断崖の下に船乗りの守り神「石室神社」がある。

とにかく、海岸線が素晴らしい。断崖突端からの眺めは飽きることがない。
漁港付近の老婆の話では、昔は観光客も多く、露天を含めて店先が漁港から灯台近くまで連なっていたとのこと。今は漁港付近に数軒あるのみ。

弓ヶ浜
石廊崎から少し下田寄りにある海岸。名前の通り、弓なりの海岸線が1.2q続き、松林の緑と美しい調和を見せてくれる。伊豆随一の長い海水浴場で、日本の渚百選の一つ。すぐそばに国民休暇村「南伊豆」があり、通年賑わっている。
ここから下田にかけては田牛海岸、碁石ケ浜、吉佐美海岸、多々戸浜と素晴らしい海岸美、良質な海水浴場が続き、夏の賑わいは大変なもの。