蓼 科
八ケ岳中信高原国定公園
諏訪盆地を取り囲む山々は、一帯が八ケ岳中信高原国定公園の美しい山岳で、真夏でも爽やかな風が吹き抜け、リゾート気分が満喫できる標高2,000mを越える高原地帯。現地の観光案内によれば、この高原地帯は次ぎのエリアに区分される。
蓼科高原、蓼科中央高原、白樺湖、白樺高原、車山高原、霧ケ峰高原、八島高原、美ケ原高原
この高原地帯を通り抜けるのが全国でも有数のドライブルート「ビーナスライン」。茅野市の国道152号から分岐し、蓼科高原〜白樺湖〜車山高原〜霧ケ峰高原〜美ケ原高原までの約75qを結ぶ。平均標高は約1,400m、最高標高は約1,940mあり、北、南、中央アルプスの山並みや初夏のニッコウキスゲに代表される沿道風景、山岳道路は爽快そのもの。
私たちが滞在したのはその入り口付近とも言える蓼科高原の中心地帯、カラマツの林に囲まれたT電鉄系のリゾートホテル。滞在中はリゾート内の循環バスを利用して付近の観光に出かけた。また、マイカーを持たない(現役時代から運転免許取得せず)のでタクシーを終日借り切りビーナスラインをドライブした。このアルバムは数年前と昨年(2005.8)の滞在中に尋ねたスポットを纏めたものです。美術館の写真などはパンフレット、ポストカードからスキャンした。
なお、今回未訪問の八島高原、美ケ原高原の2エリアーについては、今後訪れ次第追加する予定です。
蓼科高原
蓼科湖
カラマツの樹海に埋もれるホテル
ホテルから見える八ケ岳連峰の美しい稜線
雄大な八ケ岳の山麓でゆっくりと静かに時間を積み重ねてきた蓼科高原は、歴史と自然と文化がしっかりと息づいた魅力溢れるリゾート地。その素朴で暖かい自然美に魅せられた著名人も数多く、軽井沢と並ぶ避暑地として親しまれ、豊かな芸術・文化が育まれてきた。また、温泉地としての歴史も古く、カラマツや白樺林の中には、別荘や保養所を始め、ホテル、旅館が多い。静かな感動を求めて多くの人が訪れるここ、蓼科高原は心と体の乾きを癒す大きな安らぎに満ちたヒーリングスポットでもある。
蓼科湖 蓼科高原のシンボル。昭和26年に完成した人造湖で周囲1qほどの小さな湖。元は水田を灌漑する農業用溜池で、冬季にスケートリンクとして利用する目的もあった。現在は、釣り、キャンプ、ボート、サイクリングや湖畔の美術館などで多彩なアウトドアーライフが楽しめる。
マリーローランサン美術館
マリー・ローランサン美術館 フランスの生んだパステルカラーと幻想の女性画家、マリー・ローランサン。その作品だけを集めた世界唯一の美術館で、彼女の生誕100年を記念して開館したもの。淡い色調と、女性らしい繊細な官能を表現した自由な画風は、蓼科の豊かな自然とマッチし多くの来場者で賑っている。作品が年代順に展示されているコーナでは、作風の変化がよく分かり楽しい。右の絵は、60歳近くに描き始め10年余の歳月をかけ死の数年前に完成させた大作「三人の若い女」
正面ロビーを飾る「三人の若い女」
彫刻公園 アートランドホテル蓼科に隣接した自然林の中に彫刻が並ぶ野外彫刻美術館。長崎の平和祈念像で有名な北村西望の作品が多い。全体が芝生と森の部分に分かれているが、それぞれが彫刻と調和し美しい。屋内で見る時とは異なった発見がある。白樺やカラマツの林、湖、庭園など自然に包まれた彫刻たちも大いに満足していることだろう。
芝生の庭園は蓼科湖とも良く合う
北村西望
若き日の母親
ルノワール
洗濯女
ピラタス蓼科ロープウェイ
標高1,771mの山麓駅か標高2,337mの横岳坪庭山頂駅を結ぶ100人乗りのロープウェイ。全長2,147m、標高差466mを7分で登る。上昇するに連れ視界も広がり八ケ岳、南アルプスなど雄大な山岳パノラマが一望でき感激する。 
山頂駅一帯は、坪庭と呼ばれる約33万uの溶岩台地。その台地にハイマツが生え、根元にはコケモモ、ガンコウランなどが成育する高山植物の宝庫となっている。一周40分程度の遊歩道が整備されており、家族連れでも楽しめる。ただし、標高が高いだけに雨・風、寒さ対策は絶対に必要。
坪庭自然園、溶岩台地
標高差、刻々と変わる山岳風景の展開はまさに「空の旅」で迫力満点。足元に咲き誇る花々も見落とせない。
バラクライングリッシュガーデン
約1万uのスケールの地に、1990年の初夏ケイ山田の統一デザインのもと、設計から石工、ガーデナーまで全て英国人専門家による日本初の本格的な英国式庭園として建設。園芸の本場ロンドンで開催されるチェルシーフラワーショウでも受賞したケイ山田が「自然と人との共存を文化空間まで高めたい」という深い思いから、様々な困難と試行錯誤を積み重ねて今日に至った。当初、英国から移植した2,500本もの草花をはじめ、自ら植えた植物たちは造園デザインとともに、美しく見事に成長し、現在3,000種類を越える植物のコレクションとなっている。
「世界のイングリッシュガーデン」の一つとして、英国の権威ある専門書に収録され、米国のテレビにも広く紹介される存在となっている。園内にあるカフェレストランでは、ヨーロッパのカントリーランチや、アフタヌーンティーセット、英国紅茶協会認定のガーデンティーなどが楽しめる。英国のカントリーを旅行した人には大変懐かしくお薦めのポイントだ。
毎年5月、インボイスSEIBUドームで開催される「国際バラとガーデニングショウ」に大規模ブースで展示しており、私も例年楽しみに撮影に通っている。
ローズガーデン
ブルーガーデン
富士山よりも高かった八ケ岳が、富士山の神に叩かれた結果、8つの峰が誕生したと言われる八ケ岳。その8つの峰とはどこを指すのだろうか。深田久弥は著書「日本百名山」の中で@西岳A編笠岳B権現岳C赤岳D阿弥陀岳E横岳F硫黄岳G峰の松目としている。
ただし、地元では@西岳とG峰の松目の代わりに上のイラストのように天狗岳と北横岳を入れている。現在では「八」とは漠然と多数を表している、と言うのが一般的な見方のようだ。
八ケ岳とは

蓼科中央高原
国道299号線(メルヘン街道)に広がる蓼科中央高原は、横谷渓谷を中心とした豊かな自然美と温泉や味覚に恵まれた一帯。マイナスイオンを満喫しながら滝を巡る渓谷を歩くと、小鳥のさえずりや爽やかな緑を吹き抜ける心地よい風に癒される思いがする。横谷渓谷は八ケ岳の西麓にある渋川上流の渓谷で、秋の紅葉、冬の氷瀑でも有名。渓谷の入り口にある横谷温泉から奥蓼科の明治温泉まで遊歩道が整備されており、乙女滝〜横谷観音〜王滝〜おしどり隠しの滝〜明治温泉を2時間足らずで歩ける。
奥蓼科
横谷渓谷入り口の乙女滝
戦国の武将・武田信玄が傷兵を休ませる隠し湯として開いた、と伝えられる山あいの秘湯。八ケ岳の懐、渋川の渓谷沿いに重なる深い緑、静けさ、みしゃが池の神秘、おしどり隠しの滝の音色、手でそっとすくいたくなるようなみずみずしい自然、静寂が支配する緑に包まれた伝説の隠し湯の里、奥蓼科はそんなところです。
蓼科中央高原の入り口、横谷渓谷から歩いて終点とも言えるおしどり隠しの滝のすく傍に明治温泉がある。ここは、標高1500mの位置にあり四季折々の姿を見せる自然が素晴らしい。渓谷を眼下に望む露天風呂もあり、すぐ傍の滝の響きにも心が洗われる。
おしどり隠しの滝
みしゃが池(御射鹿池)
東山魁夷「白い馬のいる風景」シリーズ18作品の1舞台となったところ。カラマツの黄葉と木木の紅葉が池面に映り静謐さの中に美しさがある。