classic salon  NO.1

クラシック サロン

H26(2014)4.1石神井公園に隣接して「石神井公園ふるさと文化館分室」が開設されました。
この地は、日本銀行の総合グランドでしたが、練馬区が購入「松の風公園」としてスタートし、その一画に上記の分室が置かれたものです。館内には練馬区の住人であった小説家、檀一雄(直木賞受賞)の書斎再現展示、その他ゆかりの文化人41名の紹介などもあります。また、剣豪小説家で「オーディオの神様」とも称された五味康祐(芥川賞受賞)が愛したオーディオシステムも公開されており週2回メンテのための“音出し”が行われ試聴することができます。
何分にも、1964年製のイギリス、タンノイ・オートグラフを中心としたシステムで目下調整中ですが、日を重ねるにつれ本来の音色が復活している感じがします。

  別 館
  作曲家年表
                 classic  salon (本館)  
    1     2     3    4     5   6
  別 館
  作曲家年表
                 classic  salon (本館)  
    1     2     3    4     5   6
          H26('14)5.13
          私のLPジャケット
       ベートーヴェン 交響曲
                  第7番
ベートーヴェン 交響曲第7番
                           フルトヴェングラー 指揮 ウィーン・フィル
ベートーヴェン自身この交響曲を「私の最も優れた作品の一つである」と言っている。また、多くの専門家もその手法、構成、表現、内容、楽器の編成などあらゆる点においてベートーヴェンの交響楽中第一位の作品として認めている。
音楽知識の希薄な私でも一番のお気に入り曲なのだ。特に、第2楽章が素晴らしい。アレグレット(やや速く)のこの章は「結婚の祝典」とか「花嫁の行進」など言われている。詠嘆的で実に心地良い。一転する第3楽章の歓喜と活気に満ちた曲想も印象に残る。余談だが、3年前に観た映画「英国王のスピーチ」(アカデミー賞・作品賞)ではこの第2楽章がバックに流れていた。
私のLP・・ブルーノー・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
       CD・・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

シベリウス 交響詩フィンランディア
                    ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
ロシアの支配下にあったフィンランドは不幸な時代があった。その当時、作曲されたのがこの曲で愛国心を喚起する曲となった。後日この曲に詩が作られ、現在では国歌に次ぐ第2国歌として広く歌われている。
以前住んでいた埼玉・新座市が、フィンランドの都市と姉妹提携の縁があり、定年後の市民大学で知り合った友人が同市交響楽団のトランぺッターで、演奏会のつど招待してくれ、曲中の彼のトランペットソロが忘れられない。

私のCD・・今回聞いたものと同じ
           H26('14)5.27

           私のLPジャケット
        ベートーヴェン交響曲
               第3番 「英雄」
ブラームス 交響曲第1番
                     フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
ある指揮者はこの曲はベートーヴェンの第10番交響曲だ、と語っている。
それほど1番にしては円熟し完成度が高いということだ。この曲のため実に21年(22才から43歳)の歳月をかけている。最終章はベートーヴェンの第9の匂いがする。確かに雄大、荘厳な曲想と宗教的な集結は音楽の恍惚境を感じる。
私のLP・・カール・バンベルガー指揮 フランクフルトオペラ座管弦楽団

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
                           フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
万人にお馴染みの曲。久しぶりに聴き第2楽章“葬送曲”の持つ曲想と音色に感銘を受けた。何度聞いても最終章の怒涛のごとき管弦楽の音量には圧倒される。
私のLP・・アンドレ・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィルハーモニー

以上2曲の指揮者フルトヴェングラーは、20世紀最大の指揮者と言われ神格化されている。私の鑑賞能力では、他の大家との違いは判らない。
      
         H26('14)5.29

          私のLPジャケット
         ショスタコーヴィチ
        交響曲第5番「革命」
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番「革命」
                        ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド・オーケストラ
「現代のベートーヴェン・スタイル」と言われている。それは、全体が苦悩から克服、歓喜への内容と通ずるものがあるから。私には克服-勝利の方程式がベートーヴェンほどには判らない。
私のLP・・今回聞いたものと同じ

サン・サースン 序奏とロンド・カプリチオーソ、ハバネラ
マスネー タイスの瞑想曲
ベートーヴェン ロマンスへ長調
サラサーテ チゴイネルワイゼン
                     Vn前橋汀子 小泉和裕指揮 東京都交響楽団
いずれの曲も比較的馴染のある曲。この私ですらかつて聞いた曲ばかりだから。楽器の中でもヴァイオリンは非常に聴く機会も多く、親しみ深いものだからだろうか。自分が知っている曲は聴いていて実に気持ちが良い。
余談だが演奏者の前橋さん(石神井町出身、現在も在住中)とは変な関わりがある。以前、週刊朝日に彼女のお気に入りの店が紹介された時、当時私は四谷に勤務しておりその店によく行ったことがあった。女将に事情を話し厚遇された経験あり、その後数回接待などで利用したことがあった。
ただ、それだけのことですが・・・。

私のLP、CD・・ヴァイオリン名曲集など全集もの。奏者、楽団はまちまち。
      
          H26('14)6.3

           私のLPジャケット
      チャイコフスキー交響曲
            第6番 「悲愴」
バッハ ヴァイオリンとハープシコードのための六つのソナタ 
     第4.5.6番  Vnハイメ・ラレード Pfグレン・グールド
ピアノの前身ハープシコード(チェンバロ)のための協奏曲を作曲したのはバッハが最初で、主役の位置に引き揚げ後にピアノ協奏曲の土台を作った功績は偉大な業績と言われている。Pfのグールドは一生を通じてバッハの音楽を深く追求し、独自の世界を切り開いたピアニスト。全体を通じてVnとPfの織り成す音色は透明感があり、素晴らしいものだった。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
                              クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィル
初演から9日目に世を去った彼の最後の作品で、最大の傑作と言われている。彼の作品イメージとして、感傷的で甘悲しい旋律を記憶しているが、この曲は全く異なる。暗く絶望的な響きが全体を包んでいる。第3楽章で主旋律にウットリしていると、突然のシンバルの大音響にドキッとする。1975年収録で、やや音に難点があったのが惜しまれる。アバトは今年(2014)1月満80歳で死去した。
私のLP・・シャルル・ミュンシュ指揮 パリ音楽院管弦楽団
   CD・・エイドリアン・レーバー指揮 モスクワ交響楽団
          H26('14)6.5

              私のCD
           マーラー交響曲
              第1番「巨人」
バッハ ブランデンブルグ協奏曲 第5番 第2番 第6番   
              コレギウム・アウレウム合奏団
この協奏曲は全体で6曲ある。今日はその中で3曲聴いた。一般に人気が高いのは2番、3番、5番と言われている。第5番はチェンバロがメインで、軽快なメロディ。第2番はトランペット、フルート、オーボエの3管楽器とヴァイオリンを独奏に使う大協奏曲、贅沢極まりない。第6番はヴィオラ、チェロ、ダブルバスの弦楽器の合奏。いずれも変化に富み飽きない。
私のLP・・カール・ミュンヒンガー指揮 シュトゥットガルト室内管弦楽団

マーラー 交響曲第1番「巨人」
                 クラウディオ・アバド指揮 シカゴ交響楽団
マーラーは「やがて私の時代が来る」と言ったと言われている。確かに、1970年代から20年間に亘り世界的なマーラーブームが到来した。耽美的でほの暗い哀愁をおびた旋律が私たちの心を捉えたからか・・・。第3楽章の民謡風のゆったりとした旋律は印象的だった。第4楽章の激情的な盛り上がりも素晴らしい。とにかく、スケールの大きい迫力に満ちたシンフォニーだった。
私のCD・・小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
これまでの決まった形は4楽章だったが、このCDは第2楽章に「花の章」がついた5楽章編成のもので、抒情的でナイーブな美しさがある貴重なCD。
          H26('14)6.10

           私のLPジャケット
     ベルリオーズ幻想交響曲
ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンとチェロとオーケストラのため
          の協奏曲
                       Pf ゲザ・アンダ Vnウォルフガング・シュナイダーハン 
                       Vcピェール・フルニエ フレンツ・フリックロイ指揮
ピアノ、ヴァイオリン、チェロを独奏楽器とした協奏曲。3人の優秀な演奏者を揃える事は困難で、これまであまり演奏されていない。全体的に軽快なメロディで3つの楽器の音色の絡み合いが楽しめる。私はチェロが好きなのでその部分に特に聞き入った。チェロのフルニエは私のお気に入りで、自分の葬儀の時には彼が奏するドヴォルザークのチェロ協奏曲を予定している。

ベルリオーズ 幻想交響曲
                        クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィル
シェィクスピア劇の女優スミソンに熱烈な恋をして、その失恋の苦しみの中からこの交響曲を生み出した、と言われている。第5楽章からなる珍しい構成で存分に堪能できる名曲だ。
静かな心地よい旋律で始まった第1楽章は、終盤燃え狂う嫉妬からか早いテンポの大音響で終わる。その後の章で、舞踏会の華やかな雰囲気、夏の田園風景と続き心の安寧を感じ、第4楽章では一転して断頭台への行進曲となり暗く凄まじい。そして最終章、恐ろしい悪魔の群れの中であらゆる種類の幽霊や化け物が唸り笑い叫ぶ。狂気に満ちた大音響は深く胸を突く。
私のLP・・ジョルジュ・プレースト指揮  ボストン交響楽団

ワーグナー 歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
                      ルドルフ・ケンペ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 
少し時間が余り特別にこの曲がかけられた。お馴染みの結婚式の定番「結婚行進曲」で有名。しかし、その内容は大問題。新郎は心労のあまり絶命するのだから・・・。これを知っていれば結構式に使うには躊躇もの。
私のLP・・サ・コリン・ディヴィス指揮  バイエルン放送交響楽団
          H26('14)6.12

           私のLPジャケット
           チャイコフスキー
          ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
                          Vn前橋汀子 クリストフ・エッシェンバッハ指揮
            チューリッヒ・トーハレ・オーケストラ
ベートーヴェン、メンデルスゾーンとあわせヴァイオリンの三大協奏曲と言われているのはご存知のとおり。中でもこのチャイコフスキーの曲は人気が高く、ロシアを感じさせる民族的な色彩が強い。第1楽章の雄大な作風に比べ第2楽章は田園的な素朴さがあり聞いていて心地良い。
私のLP・・Vnダヴィド・オイストラフ ゲンナジー・ロジェストヴェンスキ指揮 
       モスクワ・フィル     
      LP・・Vnジノ・フランチェスカッティ トーマス・シッパーズ指揮 
       ニューヨーク・フィ ル

ベートーヴェン ピアノソナタ第8番「悲愴」
          ピアノソナタ第14番「月光」
          ピアノソナタ第23番「熱情」
                         Pf グレン・グールド
3曲とも、他の交響曲で感じるベートーヴェンの雄大さ、迫力とは異なる哀感をたたえたメロディに満ちている。「悲愴」は彼自身が命名したという。第2楽章はピアノソナタの中では最高の作品と言われている。哀愁を帯びたメロディはベートーヴェンの別の心情を見る思い。「月光」は静かにささやきかけてくるような曲の始まりが素晴らしい。静かな湖上に蒼白い月光のキラメク幻想感が漂う。「熱情」は最終章が傑出している。激烈な熱情の奔騰、天空からの雷鳴が大地をつんざく。私たちが抱くベートヴェンそのものの感がする。
私のLP・・第8番Pfワルター・ギーゼキング
   LP・・第14番pf.ワルター・ギーゼキング      
   LP・・第14番Pf.フィリップ・アントルモン
   CD・・第8番、第14番、第23番 Pf ウラディーミル・アシュケナージ                   CD・・第23番Pf.仲道郁代   
         H26('14)6.19

                 私のCD
    モーツアルト交響曲第25番
ヴィヴァルディ ヴィオラ・ダモーレ注.ヴィオラ・ダモーレとは・17世紀末イ
            タリアで生まれた楽器、18世紀ヨーロッパで流行した。
          Va レンツォ・サバティーニ 
          アンソニー・ベルサルド指揮 ロンドン室内管弦楽団 
ヴィヴァルディと言えば協奏曲「四季」が有名だが、その生涯に約650曲の作品を書いている。その内の450曲あまりが各種の独奏楽器のための協奏曲だという。彼自身がヴァイオリンの名手でまさに“協奏曲の王”と呼ばれるのに相応しい。この曲は初めて耳にしたが、真剣に聞き入っている内に終了。他の曲と混同してイマイチ印象に残っていない。私のLPも所持せず、今後再び耳にする機会は無いだろう。

シューマン歌曲集「女の愛と生涯」ほか
       S エリー・アメリンク Pf イエリフ・デムス
これまでの試聴で歌曲は初登場。澄み切ったソプラノに聞き入り、アットいう間に終わってしまった。

モーツアルト 交響曲第40番
         ブルノ・ワルター指揮 ウィーン・フィル
一度聞くとメロディが記憶に残る名曲だ。短音階の持つ独特の悲壮感が日本音楽に通ずるものがある。ベートーヴェンもシューベルトもメンデルスゾーンもこの交響曲を愛し称賛したと言う。何度聞いても素晴らしい。
私のLP・・ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
       CD・・ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィルハーモニー
    CD・・フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団
 
モーツアルト 交響曲第25番
         ブルノ・ワルター指揮 ウィーン・フィル
モーツアルトは35歳の短い生涯に番号のついただけでも41曲もの交響曲を作曲している。その中でト短調で書かれているのは第40番とこの第25番のたった2曲。それ故か40番同様、暗く胸をとらえるような悲壮感あり日本人の胸に響く。
私のCD・・ジェイムズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィル
          H26('14)6.24

          私のLPジャケット
            R.シュトラウス

       交響詩 「英雄の生涯」
モーツアルト ピアノ協奏曲第21番
         Pf ルドルフ・ゼルキン クラウディオ・アバド指揮 
         ロンドン交響楽団
第2楽章のアンダンテの優雅な旋律が素晴らしい。1967年スェーデン映画「短くも美しく燃え」に用いられ一躍有名になった。弦のアンサンブルにフリュート、オーボエ、バズーン、ホルン、トランペット、2つのティンパニーが加わり賑やかで明るい。反面、モーツアルトのため息も聞こえる感あり。
私のCD・・Pfアルフレッド・ブレンデル ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
   CD・・ Pf 内田光子 ジェフリー・テイト指揮 イギリス室内管弦楽団
 

ベルリオーズ 幻想交響曲
         クラウディオ・アバト指揮 シカゴ交響楽団
この曲は6/10にもアバド指揮ウィーンフィルのものを聞いている。学芸員の話では、オーディオ装置の建物との順化度合を検証するためで、重複の件は了解して欲しいとのこと。本日のシカゴ交響楽団との演奏の違いとか特徴などは私のレベルでは全く分からない。
私のLP・・ジョルジュ・プレースト指揮 シカゴ交響楽団

リヒャルト・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
             ロリン・マゼール指揮 クリーヴランドオーケストラ
R.シュトラウスの自叙伝と言われる作品。6つの部曲からなり40分の大作。多くの苦難と闘いそれを克服するさまを描いているのだが、出足からして凄まじい大音響と鋭角的な音の反転が続き疲れる事甚だしい。一般的な第2楽章のアダージョが恋しい。聞き終えて学芸員に「脳が揺れました」と話すと苦笑していた。
私のLP・・ロリン・マゼール指揮 Vnアンシェル・ブラシロー フィラデルフィア
                管弦楽団


7/14夕刊記事で知った。ロリン・マゼールが13日、肺炎による合併症のため米バージニア州キャッスルトンの自宅で死去、84歳だった。1930年パリ生まれ。8歳で指揮者デビュー、世界の主なオーケストラを指揮、20世紀最大の個性派として有名だった。2013年ミュンヘン・フィルを率いて日本公演を行った。
         H26('14)6.26

       私のCD
 R.シュトラウス 幻想的変奏曲
   「ドン・キホーテ」作品35
斉藤秀雄メモリアルコンサート1984  1984.9.18東京文化会館収録
モーツアルト ディヴエルティメント K.136 秋山和慶 指揮
         桐朋学園 斉藤秀雄メモリアル・オーケストラ(以下同じ)
注.ディヴェルティメント・・総称して「機会音楽」と呼ばれている。主として貴族の食事の時とか夕べのサロンなどでムードを演出するための楽曲。
ディヴェルティメントの意味が分かると、モーツアルトらしい明るさと爽快さが溢れ、さぞかし食事も美味しく戴けたものと頷ける曲だ。私もこのCDを持っていながら聴いたことがなく、帰宅後初めて聴いてみた。
私のCD・・トン・コープマン指揮 アムステルダム・バロック管弦楽団

リヒャルト・シュトラウス 幻想的変奏曲「ドン・キホーテ」作品35 
               小沢征爾 指揮
                                        Vaソロ 今井信子 Vcソロ 堤 剛
一昨日聴いた「英雄の生涯」の直前1897年の作曲らしく、曲想に共通点を感じた。同時に、哲学的で深遠な曲の多いシュトラウスが軽妙でユーモアたっぷりなドン・キホーテをテーマに取り上げたことが面白い。主題から始まり第10変奏曲まで続くが変化に富み最後まで飽きない。
私のCD・・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
                  Vc ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ Va ウルリッヒ・コッホ

シューマン 交響曲第3番「ライン」作品97 秋山和慶 指揮
                40歳の時ライン河畔のデュッセルドルフ市の楽長として着任後作られた。その時シューマンの病勢はかなり進んでおり、この作品の前後は半ば気違いの状態だったという。豊かなライン河の牧歌的風景が浮かぶ。特に、第4楽章のトロンボーンに始まる低音楽器の演奏は壮麗だ。

バッハ 斉藤秀雄編「シャコンヌ」 小沢征爾 指揮
             注.シャコンヌ・・16世紀末に中南米からスペイン、イタリアに伝えられた
       緩やか な3拍子の曲。            
音楽の父と呼ばれるバッハ、その流れの中にモーツアルト、ベートーヴェン、シューベルトなど次々に誕生、今日の音楽に繋がっている。私の頭にはオルガンで表現された荘厳な宗教音楽が大半を占めているが、この「シャコンヌ」で別の側面を見た感じ。

パガニーニ 常動曲 作品11 秋山和慶 指揮
注.常動曲(または無窮動)は常に一定した音符の流れが特徴的。通常は急速なテンポによる楽曲。殆どが何回も何回も繰り返されるよう作曲されている。
パガニーニはヴァイオリンの魔術者と称された超絶的技巧の持ち主で、多くの人々を魅了した。その彼に相応しい曲だ。出足からいつ終わるとも知れないヴァイオリンのアップテンポな響きは、永遠に続くものと錯覚を呼ぶ。短い曲ながら強く印象に残る。
           H26('14)7.1

            私のCD
            ブラームス
          ピアノ協奏曲第1番
ブラームス ピアノ協奏曲第1番 Pf クリスティアン・ツィーマーマン
        レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル
ブラームスは生涯に二つのピアノ協奏曲を書いている。この第1番は25歳の時の作品で、初めからピアノ協奏曲として作られたものではない。最初はソナタで交響曲へ変更、最後はこの協奏曲に改作された、と言われている。第3楽章のロンドーアレグロ・ノン・トロッポは実に軽快で歯切れよく気持ち良い。
私のCD・・Pf エレーヌ・グリモー
       クルト・ザンデルリング指揮 ベルリン・シュターツカペレ

チャイコフスキー 交響曲第5番
           エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮 レニングラー
           ド・フィルハーモニー
この曲の特徴は第4番と同じく一つの主題を全編に用いている。この重く暗い主題が曲の主人公となっていることだ。最初にクラリネットの第1主題が提示され弦楽器が加わり、更にフリュートとなって憂鬱な幻想的なメロディとなる。最終章では、暗雲は取り除かれ安らかな歓喜へと変化する。この主題は相次いであらわれ最高潮へ達する。チャイコフスキーの運命的な陰惨さ、憂鬱さ、絶望感は払拭される感じ。
私のLP・・ワルター・ゲール指揮 ローマ・フィルハーモニ管弦楽団
            H26('14)7.8

                  私のCD
       マーラー 交響曲第5番
マーラー 交響曲第5番(SACD) (2013.1ライブレコーデング)
       エリアフ・インバル指揮 東京都交響楽団
何と言ってもこの曲は、第4楽章のアダージェットの旋律がトーマス・マン原作の映画「ベニスに死す」で使われ一躍有名になった。
私もこの映画を見たが、耽美派の巨匠ヴィスコンティの作品で極めて質の高い映画だった。加えて撮影に使われたイタリア・リド島の格式あるホテル、デ・ヴァンに観光旅行で宿泊、眼前に広がる白い砂浜に主人公の作曲家が美少年を追っかけた姿がいまだに目に浮かぶ。今を去る18年前の事でしたが・・・。
第1楽章の「葬送行進曲」は彼の厭世的な暗さが出ている。反対に、第4楽章は切ない耽美的な音楽となっており、極めて対照的である。マーラーが残した言葉に「人が永遠に生きるためには、まず死ななければならない」がある。彼の作品には、死後の世界に永遠の理想郷を見ていたと思われる理想郷への切ない憧れを歌い上げたものが多いいが、この曲もその一つだと思う。
私のCD・・小沢征爾指揮 ボストン交響楽団

前橋汀子 ヴァイオリン小品集  ピアノ伴奏 前橋由子
亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)  アヴェ・マリア(シューベルト)
ロマンス第2番(ベートーヴェン)    ウィーン奇想曲(クライスラー)
美しきロスマリン(クライスラー) ほか
世界的に活躍しているヴァイオリニストだけあってなかなかの技巧派、安心して聞き入ることができる。いずれの曲も小品ながら、堂々とした大曲になるから大したものだ。伴奏の由子さんは実妹でよく一緒に活躍されていたらしい。残念ながら今は鬼籍の人となられた。
私のLP、CD・・ヴァイオリン名曲集などの全集もの。奏者、楽団はまちまち。
         H26('14)7.10

           私のLPジャケット
            ベートーヴェン
      ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
 ヘンデル ヴァイオリンソナタ 第4番
       Vn ローラ・ボベスコ Pf ジャツク・ジェンティ
初めて聴いた曲。ヴァイオリン、オーボエ、ハプシコードの合奏。6つの奏鳴曲の内、今日多く演奏されるのは第1番、第4番、第6番の3曲。いずれも各楽章が短く作られている。私が今回聴いた感じでは、この第4番は8つの区切りがあった。穏やかな出足で、スローテンポが心地よい。その後、緩急が交互に混じり最後はやや速く軽快で華やかな美しい旋律で終わった。

ベートーヴェン 交響曲第1番 作品21
          ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
ベートーヴェンはこの曲を発表する前までにピアノや弦楽器、管楽器などの作品を書きそれぞれの楽器の特性を十分に研究していた。そして1800年(30歳)に作曲されたこの第1番は、さすがに満を持して書かれただけあって記念すべき曲となった。最初に低音が広がる。期待に満ちた出足は素晴らしい。もちろん、第4楽章最後の意気揚々とした旋律も記憶に残る。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
         Pf グレン・グールド レオポルド・ストコフスキー指揮 
         アメリカン・シンフォニーオーケストラ
「皇帝」という呼び名はベートーヴェン自身が付けたものではない。その内容が皇帝の姿を彷彿とさせ他の協奏曲と比較しても皇帝の地位にふさわしい立派なものだから・・・、だそうだ。全体を通じてピアノが入った交響曲と言った感じで、実に豪華絢爛な大曲になっている。この協奏曲がベートーヴェンの最高傑作と言われる訳が理解できる。まさに“皇帝”である。
私のLP・・Pf.ヴラド・ベルミュテ クリスチャン・ヴェッヒティンク指揮
ウィーン・フィル
   LP・・Pf.ルドルフ・ゼルキン レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィル
   CD・・Pf.クラウディオ・アラウ コリン・ディヴィス指揮
ドレスデンシュターツカペレ
   CD・・Pf.仲道郁代 パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィル
          H26('14)7.26

          私のLPジャケット
            ベートーヴェン
     ヴァイオリンソナタ第5番
                   「春」
バッハ マタイ受難曲から 冒頭部分
    T エルンスト・ヘフリガー Bs ワルター・ベリー
     オイゲン・ヨッフム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ
平素から宗教曲とはあまり関係が無く、この曲も初めて聴いた。手元の本によれば、宗教音楽にはミサ曲のように礼拝と直接関係のあるものと、受難曲やオラトリオのように演奏会形式のものがある。受難曲は聖書の福音書によるキリストの十字架上の物語を描いた劇音楽のこと。本日聴いたこの曲は、バッハの死後100年近くも忘れられていたが、1829年弱冠20才のメンデルスゾーンによって取り上げられ蘇えったと言われている。
テノール、バスとも素晴らしい声でキリストの受難を歌い上げ、崇高な美しさが心に沁みた。

ベートーヴェン ピアノソナタ第21番 作品53番「ワルトシュタイン」
                       第1楽章
          Pf ウィルヘルム・バックハウス
この曲は完成時グランドソナタ(大奏鳴曲)と記されており、他のソナタ「熱情」や「悲愴」とともにベートーヴェンの最高傑作とされている。当時のウィーンの人々を圧倒的に征服したらしい。本日は第1楽章のみだったが、第3楽章の目覚めるばかりの律動は想像と情緒を駆り立てる。ベートーヴェンのソナタの中で最も男性的で豪壮なものだと思う。余談ながら、バックハウスは本日聴いたレコードが最後の演奏となり、死亡の1週間前だった由。
私のCD・・・Pf ウラディーミル・アシュケナージ

モーツアルト 弦楽四重奏曲 第14番Kv387 から第1楽章
         アマデウス弦楽四重奏団
弦楽四重奏曲第14番~第19番の6曲はハイドンの作品を手本にし、ハイドンその人に捧げたもので俗に“ハイドンセット”と言われている。私の手元には無く初めて聴いた。モーツアルトとハイドンは親子ほども年齢が違うが、なぜこの曲が生まれたのか・・・。年齢を超えて2人の友情は、相手の芸術に対する尊敬と理解によって堅く結びついていたからに他ならない。

ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ 第5番 作品24「春」から第1楽章
         Vn アルチュール・グリュミオー Pf クララ・ハスキル
「春」という題名は後の人によって付けられたもの。ベートーヴェンの数多くあるヴァイオリンとピアノのための奏鳴曲の中で最も明るく、朗らかな曲であり題名の「春」は納得。他の曲に見る深刻さは全く感じない。田園交響曲の一部や第8交響曲の一片に似ているものを感ずる。1957年1月録音のモノラルだったが、清澄な音とその伸びやかな広がりはステレオに負けない。メンテの良さと高質なオーディオセットのなせる技か・・・。
私のLP・・Vn ピンチャース・ズッカーマン Pf・・ダニエル・バレンボイム

ベートーヴェン 交響曲第9番 作品125「合唱」 から第4楽章
          S ギネス・ジョーンズ A タティアーナ・トロヤノス
          T ジェス・トーマス Bs カール・リッダーブッシュ
          ウィーン国立歌劇場合唱連盟 
          カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル 
交響曲に声楽を加えるという当時としては大冒険を試みたわけだが見事に成功、音楽史上不滅の偉業となった。この曲の演奏は、私たち日本人にとっては恒例の年末一大イベントとなっている。第4楽章の歌詞はドイツの詩人シラーの「歓喜に寄す」で“愛と平和と喜び”をテーマとしたヒューマニズムと人類愛を讃えたもので心に届くものがある。
ベートーヴェンはこの詩が発表された頃はまだ十代の終わりだったが、詩の思想に深く共鳴し曲を付けようと固く心に誓った。その宿願を果たしたのが実に40年後の1824年(54才)ということになる。芸術家の執念を感じる。第4楽章の旋律が次第に緊張感を増す中で突如としての中断、直後響き渡るバス(私のLPではバリトン)の「オー フロイデ~」の声は何度聴いても感動的だ。
私のLP・・ウィーン楽友協会合唱団
      ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
      H26('14)7.31

                私のCD
  ベートーヴェン交響曲第7番
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番
          Pf アルトゥーロ・ベネデンティ・ミケランジェリー
          カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ウィーン交響楽団
ベートーヴェンには番号のついたピアノ協奏曲が5つある。その内、第2番、第3番、第5番のLPは持っているが、第1番は保有せず本日初めて聴いた。一般的にピアノ協奏曲という形式はモーツアルトによって土台が作られベートーヴェンによって完成された、と言われている。モーツアルトに比べその曲数が大幅に少ないのは、その内容がモーツアルト時代のサロン的な軽いものから交響曲に近い密度の濃いものに変化したかららしい。
確かに本日聴いたこの第1番は交響曲に近い感じ。第2楽章のクラリネットが印象的だった。最終章の第3楽章は、ハイドンの曲風を感じさせるものだった。

ベートーヴェン 交響曲第7番
          クラウディオ・アバド指揮  ウィーン・フィル
5月13日の試聴会で、指揮フルトヴェングラー、ウィーン・フィルのLPを聴いた。今日のは同じウィーン・フィルながらアバド指揮のものだった。いずれも超一級の指揮者で専門家も絶賛しているが、私のレベルではその違いが皆目分からない。前回にも書いているとおり、この曲は私の最大の“お気に入り”で、指揮者が誰であろうとメロディを聴くだけで大満足。
私のLP・・ブルノー・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
   CD・・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

ベートーヴェン 交響曲第8番
          クラウディオ・アバド指揮  ウィーン・フィル
普段描いているベートーヴェンのイメージとは全く異質の、明るく幸福に満ちた曲。「英雄」や「運命」の勇壮で情熱的な曲では無く、歓喜とユーモアーに満ちた穏やかな作品である。特に第2楽章は軽快でユーモラス、美しく生々としておりベートーヴェンの交響曲中最も人々に好まれているのも頷ける。7月26日に聴いたヴァイオリンソナタ第5番「春」で書いたが、明るく朗らかなイメージは共通している。
           H26('14)8.5

           私のLPジャケット
     ブラームス 交響曲第4番
ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第7番「大公」 作品97
          Vn ダヴィッド・オイストラフ Pf レフ・オボーリン
          Vc スヴィヤトスラフ・クヌーシェヴィッキー
ベートーヴェンは10曲を超えるピアノ三重奏曲を作曲しているが、この曲は完成された最後の作品で最も傑出している。副題に「大公」とついているのは、ベートーヴェンの有力な後援者の一人で、強い友情で結ばれていたオーストリアのルドルフ大公に献呈されたため。曲はピアノにより第1主題が始まり、追ってヴァイオリンで反復され、チェロとピアノが伴奏するこの3つの楽器の調べがあたかも気の合った3人の友人が語り合うような感じがする。ヴァイオリンのオイストラフは私の好きなヴァイオリニストである。彼の奏するチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はお気に入りの一つです。

ベートーヴェン 交響曲第4番 作品60
         カルロス・クライバー指揮 バイエルン国立管弦楽団
※カールベーム(1894-1981年、来日4回、オーストリアの名指揮者、ウィーン・フィル名誉指揮者)追悼コンサートライブ
男性的で力強い「第3番(英雄)」と「第5番(運命)」との間に位置するこの曲は、のびのびとした曲調で幸福感に満ちている。低音で静かな序奏部から次第に勇壮な力強い調べとなり、ベートーヴェンの姿を感ずる。最終章は音がキラメキ溌剌として湧きたちベートーヴェンを聴いた、という満足感を覚えた。
私のCD・・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

ブラームス 交響曲第4番 作品98
        ルドルフ・ケンプ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー
この曲はブラームス最後の交響曲で、死の床で「自分の最も好きな曲だー」と言ったと伝えられている。彼は生涯独身を通し家庭は持たなかった。この曲を作った52歳の頃は大作曲家として栄光に包まれていたが、親しい友人たちとの別離や死別が続き“人生の秋”を味わっていた。この曲にはそうした孤独感や諦観が強く反映されている。直前に聴いたベートーヴェンの交響曲が希望に満ちた明朗闊達な曲だっただけに、このブラームスの曲の渋く憂鬱な感じが際立つ。
私のLP・・レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
            H26('14)8.7

            私のLPジャケット
   ベートーヴェン交響曲第5番
                    「運命」
モーツアルト ピアノ協奏曲第25番 K.503
         ピアノ協奏曲第19番 K 459
         Pf ルドルフ・ゼルキン クラウディオ・アバド指揮 
         ロンドン交響楽団
モーツアルトのピアノ協奏曲は全部で30曲もあるが、その内5曲は編集に近いものであまり重要視されていない。それにしても大変な数だが、一時生活に追われたころ生活費を稼ぐために催した予約演奏会用に作ったもので、それが数の多さにつながっている。その中でこの19番は秀でた作品といわれている。ピアノと木管楽器のハーモニーは心地よい。第25番については手元になんの資料もなく、モーツアルトにしてはわりあい平凡な曲と聴こえた。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 作品67
          フィデリオ序曲 作品72b
          ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
注.本日の試聴会のLPは全て今年亡くなった大指揮者のもの、学芸員の趣向。彼はマゼールのファンだった、とのこと。
アバド・・2014.1 死去80歳 マゼール・・2014.7死去84歳
久しぶりに聴いた。懐かしい友人に会った気分。「運命はかく扉をたたく」とベートーヴェンは最初の主題を説明しているが、聴くたびに新たなる感動が呼び起こされる。聴覚を失った彼が「苦しみを通じての歓喜」をそのまま音楽にしたものか・・・。冒頭の運命の動機、ダ・ダ・ダ・ダァーンの音から強い気迫、不屈の精神が運命を克服、歓喜に満ちた終楽章まで全楽章を貫く「暗黒から光明へ」のテーマが完璧に表現されている。このところの連日の猛暑を返上、明日への気力を貰った思いだ。
私のLP・・レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・ダヴィド・ジョセフォヴィッツ指揮 ハンブルグ交響楽団
   CD・・フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団
フィデリオ序曲
ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」は、発表当時大失敗で全く評価されなかったらしい。それでも彼は挫けず3回の修正を加え、ついに成功に至った。序曲はその都度修正され書き下ろしを加えて4つ存在する。本日聴いたものはその内の一曲。
 
          H26('14)8.11

          私のLPジャケット
   ベートーヴェン第9番「合唱」
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 作品67
        ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウィーンフィル
五味康祐はベートーヴェンがお気に入りで、指揮者の異なる多くのLPを持っている。この曲も8/7ロリン・マゼール指揮、クリーヴランド管弦楽団を聴いた。今日のは巨匠フルト・ヴェングラーの「運命」。世界的な大指揮者の一人で、世界楽壇の至高的存在、その名声は今に語り継がれている。(1886-1954年)
有名なバイロイト音楽祭には主指揮者として活躍。大戦中ナチスに協力したとされ、一時楽壇から追放されかけたが、その容疑もはれ国民の支持を受けた。以下は8/7記載の通り。
私のLP・・レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・ダヴィッド・ジョセフォヴィッツ指揮 ハンブルグ交響楽団
    CD・・フイリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 作品125
          S エリザベート・シュワルッコップ 
          A エリザベート・ヘンゲル       
          T ハンス・ホップ Bs オットー・エーデルマン
          ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮
          バイロイト祝祭管弦楽団 合唱団
7/26ベーム指揮、ウィーン・フィルで第4楽章のみ聴いた。今日は先刻聴いたフルトヴェングラー指揮で、1951年戦後初のバイロイト音楽祭が再開されオープニングに演奏されたものらしい。もちろん当時はモノラルだが、その後現代の技術でステレオ化したもの。久しぶりに全曲通しで聴いた。第1楽章から凄い。巨大な積乱雲の中で翻弄されている自分を見た。何かを求めもがいている現状の不満、焦慮の心、それが表現できずもどかしいさま・・・。
一転して第3楽章は実に素晴らしい。美しく洗練された旋律が弦楽奏でうたわれ、木管楽器が応答する神秘的な美しさがあり、ベートーヴェンの別の側面を堪能する。以下は7/26記載の通り。
私のLp・・ウィーン楽友協会合唱団 
      ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
  
         H26('14)8.14

          私のLPジャケット
バッハ ゴールドベルク変奏曲
本日演奏のLP保有せず、Pfグールドのデビューレコードを掲載
バッハ 平均律クラヴィーア曲集第1巻
      前奏曲とフーガー第1番~第24番 Pf グレン・グールド
クラヴィーアと言うのは鍵盤楽器の総称で、バッハの時代には2種類あった。弦を金属片で打ち音を出すクラヴィーコードと、なめし皮などの小片を弦で音を出すハープシコード(これは英語でイタリア語、フランス語ではチェンバロ)である。バッハは生涯200を超えるクラヴィーア曲を書いたが、この曲は代表傑作で19世紀の大指揮者ビューローが“ピアノの旧約聖書と呼んでいる。鍵盤楽器の音楽史上に輝く不滅の金字塔と言われている。素人の私には理解不能だが、この平均律はピアノやオルガンの基準になったものらしい。前奏曲第1番はグノーが「アヴェ・マリア」の曲に配してから一躍人々の注目を引いた。また、リストがこの曲集を崇拝し機会あるごとに演奏したのもこの聖典的な存在に押し上げる要因にもなっている。正直言って私には、この曲が良く分からない。

Pf グレン・グールド
五味康祐はグレン・グールドがお気に入りだったようだ。学芸員によれば、奥様も同様で彼の死後もグールドの作品を購入していたらしい。
経歴は次の通り
カナダ・トロント生まれ(1932.9~1982.10)3歳の時からピアノを習いトロント音楽院でピアノ、オルガン、作曲を学んで早くも12歳の時に同院創立以来最年少の会員となり、14歳でトロント交響楽団と協演してデビュー。その後55年アメリカにもデビューして成功を収め、更にヨーロッパ各地でも圧倒的な人気を博したが、60年代にはすべて演奏会から身を引きカナダにこもりレコード録音に専念した変わり種。一生を通じてバッハの音楽を深く追求し独自の世界を切り開いていったピアニストはグールドをおいて他にない、と言われている。

余談ながら、前奏曲とフーガ第1番は人類の文化的傑作として、宇宙船ボイジャー1号、2号にゴールデンレコードとして搭載された。
          H26('14)8.19

       私のCD
 シベリウス交響曲第5番、第7番
  第4番保有せずこのCDを掲載
シベリウス 交響曲第4番 作品63
                  スイス・ロマンド交響楽団 エルネスト・アンセルメ指揮
シベリウスの交響曲は第5番、第7番が有名で、カラヤン指揮ベルリン・フィルのCDはよく聴いているが、この第4番は初めて聴いた。これがシベリウスの本来の姿なのか・・・。序奏から弦楽器の低く重い旋律、救い難い絶望に満ちた憂鬱な雰囲気で始まった。第2楽章に入り軽快なリズムが現れるがそれも束の間、第1楽章同様の不吉な絶望感が漂う。終楽章はこれまでと一転、アレグロで幻想的な雰囲気となる。トライアングルの乱打が入り、管楽器の鋭い叫びが空気を切り裂く。最後に訴えるようなオーボエが絶望的な響きとなって終わった。絶望と憂鬱のてんこ盛り、疲れた!
私のCD・・交響曲5番7番 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

シベリウス 交響詩「タピオラ」 作品112
                   スイス・ロマンド交響楽団 エルネスト・アンセルメ指揮
この曲は晩年の傑作と言われ、最大傑作と絶賛されている第7番交響曲の作られた翌年にあたり彼の作った交響詩の最後の作品且つその頂点とも言うべきもの。フィンランドの民族伝承の古詩「カレワラ」の一節、
遠くかなたに北国の深い森が連なる
太古の、神秘な、原始の夢をえがきつつ
そこには森の神がすみ、森の精が、くらい暗黒の中にうごめいている
が、この曲を示している。霊感を持った民族の叙事詩が深く身に迫る。

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 作品47 「革命」
                        クリーヴランド管弦楽団 ロリン・マゼール指揮
5/29にも聴いている。昔から吹奏楽のコンクールなどでよく演奏されている。緩急のある軽快なテンポは吹奏楽向きなのか・・・。いつ聴いても第4楽章の盛り上がりは素晴らしい。
私のLP・・今回聴いたものと同じ
          H26('14)8.26
           私のLPジャケット
       バッハ オルガン大全集
バッハ ファンタジアとフーガ ト短調
     ファンタジア ト長調
     ファンタジア ハ短調
     パッサカリア ハ短調 
     ファンタジアとフーガ ハ短調
     Org ヘルムート・ヴァルヒャ
バッハは特にオルガン曲、オラトリオ、室内楽曲で多くの作品を残しているが、それは彼の経歴からも説明がつく。10歳の時、両親を失い兄の下で育ったが、その時クラヴィア(ピアノの前身)を習い才能を開花させた。特にオルガンとクラヴィアに異常な興味を持ち続けた。やがて教会のオルガン奏者となった。当時の教会では最も重要な立場で奏者であり、音楽長であり聖歌隊の指導、訓練、指揮者をし、礼拝曲の作曲も行った。その結果多くのオルガン曲を残すこととなった。
余談ながら、バッハは社会的な声誉を受けるとともに、家庭においては子福者であり前妻に7人、後妻に13人の子供を儲けている。
第1曲目「ファンタジアとフーガ」はバッハの代表的傑作曲と言われている。他の曲も含めての感想だが、現代のキーボードに近い音もあり、軽快なテンポのメロディもあり、切れ目なく続く大音響あり飽きない旋律が続いた。長く伸びたオルガン音が切れ次の音に移る瞬間の間合いに大いなる静寂を感じた。その瞬間の連続が実に心地よく、荘厳なサウンドに圧せられるも敬虔な気持ちになる

私のLP・・バッハ オルガン大全集(全六巻LP18枚) Org ヴァルター・クラフト

バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番 イ短調
             Vn ルッジェーロ・リッチ
バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは6曲ある。バッハ以前では独奏楽器としては不可能とされたヴァイオリンを独奏楽器として活かしたのは彼が初である。このソナタは4楽章から編成されている。グラーヴェ(厳かに)で始まりアレグロ(速く)で終わるが、軽快なメロディもあり全体が管弦楽曲に編曲され、歌謡風的な美しさもあり、深夜コーヒを飲みながら一人静かに聞き入る心安らかな曲だ。

ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」
                                 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
この曲は「ペトルーシュカ」や「春の祭典」とともに、ストラヴィンスキーの“三大バレエ音楽”と言われているもので、彼の出世作となった傑作。いずれの曲も独創的で世界に大きな波紋を起こした。そのため、評論家は彼を「音楽の破壊者」とか「ニヒリスト」と危険視したことがあったらしい。その後ロシア舞踊団とともに世界芸術の中心パリで赫々たる成功を収めストラヴィンスキーの名は一夜にして不滅のものとなった。「火の鳥」はロシアの伝説的なおとぎ話を題材としている。組曲で次の物語で構成。
序曲・魔の庭、火の鳥の登場とその踊り、火の鳥の嘆願、乙女と黄金のリンゴ、乙女たちの踊り、コッティ王の手下の「死の踊り」、間奏曲(子守歌)とコッティの死、終曲(本によっては異なる構成もいくつかある)
タイトルだけでも想像は膨らむ。結局は、王子と王女のめでたい結婚ハッピーエンドの物語。事前にこのストーリを読み音楽を聴くと更に想像が広がり楽しい。オーディオ装置の良好さも重なり臨場感タップリのレコードコンサーだった。
           H26('14)8.28

                  私のCD
              ドヴォルザーク
        交響曲第8番「イギリス」
ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調 作品88「イギリス」
                          イシュドヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団
ドヴォルザークは私の好きな作曲家の一人だ。以前(6/10)にも書いているが、自分の葬儀には彼のチェロ協奏曲作品104番で見送ってもらう予定にしている。
音楽史によれば、ベートーヴェンがシューマンを世に紹介し、シューマンがブラームスを斯界の焦点に置いた。そして、ドヴォルザークはそのブラームスの見出しによって運命を拓いた。音楽家の輪廻は本当に面白い。もちろん、本人の才能が第一だがこんな機縁がなかったらそのまま埋っていたかも知れないのだから。
この8番は「イギリス」という副題がついているが、これは音楽でイギリスを描こうとしたからではなく、単にその楽譜がイギリスで出版されたから・・・。作品の内容から見ても「イギリス」と言うよりはむしろ「チェコ」と呼ぶ方が似つかわしいほど全編チェコの香りが溢れた感じが漂う。特に第3楽章のスケルツォは優雅でゆったりとしており、素朴な田園情緒にあふれ印象に残る。
私のCD・・ブルノーワルター指揮 コロンビア交響楽団


モーツアルト 交響曲第25番 ト短調 K183
         交響曲第40番 ト短調 K550
         イシュドヴァン・ケルテス指揮 ウイーン・フィル
2曲とも6/19に聴いている。彼の41曲の交響曲の内でト短調で書かれたのはこの2曲だけ。ある音楽評論家は「モーツアルトの交響曲の中で何から聴いたらよいか、と質問されたら躊躇なくト短調の40番をすすめる」と言っている。たしかに全編を貫く悲劇的な色調は第41番「ジュピター」の壮麗な明るさとみごとな対比をなしている。第1楽章の悲哀を帯びた旋律は悲しみのシンフォニー」というポピュラー音楽にもアレンジされ有名になった。(その他は6/19参照)
私のCD・・第25番 ジェイムズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィル
   LP・・ 第40番 ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
   CD・・  同  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィル
    CD・・   同  フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団
 
     H26('14)9.4

        私のCD
      ベートーヴェン
   ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
ベートーヴェン  エグモント序曲 作品84
          小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
12曲あるベートーヴェンの序曲の中で最も知られている名曲。ゲーテの悲劇「エグモント」に感激して作った。エグモントは実在の人物で16世紀の貴族。オランダ連邦共和国の大統領になっている。ゲーテは史実を基に悲劇を書き、ベートーヴェンはこれに曲をつけ、自ら初演の指揮をとったと言われている。曲は2つの主題と幻想からなり、これがいろいろに変化してベートーヴェンが自ら述べた「勝利の交響曲」「愛国の熱火で燃ゆる如く」が奏出される。面白い見方もある。この曲が「運命」のダイジェスト版だと・・・。前半から中盤の重く緊張感が漂う楽想と後半の明るく力強い解放感に満ちた楽想が対照的であり、この運命説にも納得がゆく。
私のLP・・ワルター・ゲール指揮 ロンドン交響楽団

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 作品73 変ホ長調
          Pf.ルドルフ・ゼルキン 
          小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
          You Tube 全楽章 
7月10日試聴済
Pf.グレン・グールド レオポルド・ストコフスキー指揮 アメリカン・シンフォニー

私のLP・・Pf.ヴラド・ベルミュテ クリスチャン・ヴュッヒティンク指揮
       ウィーン音楽祭管弦楽団
   LP・・Pf.ルドルフ・ゼルキン レナード・バーンスタイン指揮 
ニューヨーク・フィル
    
CD・・Pf.クラウディオ・アラウ コリン・ディヴィス指揮 ドレスデン・シュターツカペル
   CD・・仲道郁代 パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン  

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 作品67 ハ長調
          小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
8月7日試聴済  ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
8月11日試聴済 ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
私のLP・・レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・ダヴィッド・ジョセフォヴィッツ指揮 コロンビア交響楽団
   CD・・フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団
   
      H26('14)9.9

       私のCD
 チャイコフスキー 交響曲第5番
ベートーヴェン ピアノソナタ第23番「熱情」
            同 上  第22番
           Pf.クラウディオ・アラウ
この「熱情ソナタ」と第8番「悲愴」、第14番「月光」、第21番「ワルトシュタイン」がベートーヴェンの“四大ソナタ”と呼ばれているが、最も内容があり聴きごたえのあるのがこの「熱情」である。フランスの文豪ロマン・ロランは、ベートーヴェンが耳の病気から立ち上がり交響曲第5番「運命」やヴァイオリン協奏曲など名曲を生み出していった30台半ば以降のことを「傑作の森」と名付けている。この「熱情」は、この時期に作曲されただけあって実に逞しく力強い情熱にあふれた曲だ。それは将に嵐のような一生だったベートーヴェンの生涯の縮図でもある。巨大なべートーヴェンがそのまま迫ってくるような迫力を感じた。
6月12日、グレン・グールドのピアノ版試聴済み
私のCD・・Pf.ウラディーミル・アシュケナージ
   CD・・Pf.仲道郁代 


チャイコフスキー 交響曲第5番 作品64 ホ短調
            エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮
            レニングラード・フィルハーモニー・オーケストラ 
この曲は彼の最高傑作第6番「悲愴」に次ぐ傑作と言われている。チャイコフスキーの運命的な陰惨さ、憂鬱さ、絶望は第6で最高頂を示しているが、この第5にはそうした特色はやや少ない。ある研究家は「この曲は執拗な死の思い出に悩む心持、哀しく暗い精神上の経験を現している。しかし、曲の終わりは暗雲が一掃され大空高く澄みわたる心地がする」と言っている。確かに最終章は宗教的な威厳と静寂、神々しさがあり安らかな歓喜を覚える。
私のCD・・クルト・ザンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団
  
     H26('14)10.9

        私のCD
 ワーグナー序曲・前奏曲集より
  ニュルンベルクのマイスタージンガー 
     第一幕への前奏曲  
シューベルト 交響曲第8番 ロ短調D.759「未完成」
         交響曲第9番 ハ長調D.944「ザ・グレート」
ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー
                         第一幕への前奏曲
        カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル
        1975年来日公演ライブ、3/19NHKホール収録
強度の腰痛で外出もままならず1ケ月振りのレコード鑑賞となった。回復に感謝!
交響曲第8番「未完成」
「未完成」という愛称で親しまれているこの曲は、シューベルトが25歳の時(1822年)に作曲されたものだが、生前に演奏されることはなく、初演は死後37年も経ってからだった、と言われている。「未完成」の通りこの曲は2つの楽章しかない。なぜそうなのか、一切謎に包まれている。然しながら、その芸術的内容は完成されたものであり2つの楽章で十分なものだ、とブラームスは語っている。
低音の美しい旋律から始まる哀調を帯びたオーボエにクラリネットが絡まり反復されてゆく。心地よい恍惚境の中から第2楽章へ移り曲想は一転する。運命は静かな足音で忍びより、不吉な薄気味悪い旋律が高調する。
私のLP・・レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・カール・バンベルガー指揮 パドル―管弦楽団
   CD・・フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団

交響曲第9番「ザ・グレート」
シューベルトの死後11年目に彼の兄の手元にあったものをシューマンが発見し、親友メンデルスゾーンの指揮で初演された。当時の評判は芳しくなかったが、メンデルスゾーンの地道な努力により真価の紹介に努めた結果大きな称賛を得るに至った。作品の出版元の目録では第7番目の交響曲となり、一般的には第7交響曲とされている。ただし、一部では制作の順序から見て第9交響曲と呼ばれておりややこしい。
第1楽章冒頭のホルンから引き込まれる。第2楽章のチェロの旋律も素晴らしい。第3楽章、第4楽章とベートーヴェンを感ずる生気と精力があり、特に弦の音がハチの大群に襲われるような不安を煽り印象に残る幕引きとなっている。

ニュルンベルクのマイスタージンガー 第一幕への前奏曲
「マイスタージンガー」とは中世に盛んだった本職とは別に持つ詩人兼音楽家の親方のことで、このドイツ・ニュルンベルク地方に多かったらしい。ワーグナーはこの作品で、これまで彼が用いてきた架空的、神秘的な題材から中世のマイスタージンガーたちの実生活を、歌合戦をバックにコミカルに描き楽しい作品に仕上げている。特に、今回聴いた第一幕への前奏曲は、ワーグナーの序曲や前奏曲の中でも有名で聴く機会が多い。
コンサートの余韻に浸り、幸せな気分にしてくれるアンコール曲に相応しい楽しい曲だ。
私のLP・・カール・バンベルガー指揮 フランクフルト・オペラ座管弦楽団
   CD・・カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル(本日聴いたものと同一の音源)
     H26('14)10.16

     私のLPジャケット
      モーツアルト
   交響曲第41番「ジュピター」
モーツアルト 交響曲第41番 ハ長調K.551「ジュピター」
ヨハン・シュトラウス 円舞曲「南国のバラ」OP.388
         皇帝円舞曲 OP.437 常動曲 OP.257 
         ピッチカートポルカ 喜歌劇「こうもり」序曲 OP.56
[アンコール]
ヨハン・シュトラウス ポルカ「トリッチ・トラッチ」OP.214
             円舞曲「美しく青きドナウ」OP.314
ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー 前奏曲
        カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル
        1975年来日公演ライブ、3/25NHKホール収録
交響曲第41番「ジュピター」
作曲家にとって“9”は不吉と言われているが、それは9番目の交響曲が最後になることが多く「交響曲の9番」を作ると死ぬと言われていたためである。しかし、モーツアルトの場合は41曲もの交響曲を残している。ハイドンの104曲には負けるものの非常に多い。今回聴いた第41番はモーツアルトの三大交響曲(第39番、第40番)の一つで、この3曲は僅か6週間の内に仕上げられた。しかもこの3つが相結んで最大傑作と言われている。この6週間は35年間の彼の短い人生の中で一番輝いた、才能が噴火した時期だったのだ。
「ジュピター」という名称は彼自身がつけたものではなく、後世の人によりつけられたものだが、実にこの曲にピッタリの名称だ。ローマ神話に登場する最高至上の神でギリシァ神話に出てくる最高神ゼウスに当る神だからだ。ゆったりとしたテンポの第1楽章から風格があり、モーツアルト最後の交響曲に相応しい。専門家によれば、第2楽章はベートーヴェンの第5交響曲第2楽章に似ている、と言う。私にはむしろ第6交響曲「田園」に似ている感じなのだが・・・。
私のLP・・ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
   LP・・ダヴィッド・ジョセフォヴィッツ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団
   CD・・ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィル

円舞曲「南国のバラ」
曲の内容に入る前に「ウィーンナ・ワルツ」について触れておきたい。音楽の都ウィーンでは、毎年大晦日と元旦にウィーン・フィルによる恒例のニュー・イヤー・コンサートが開かれ日本でもNHKにより新年早々に放映され毎年楽しみに見ている。これは、シュトラウス一家の作品を中心とした大変楽しい演奏会だ。本日聴いた曲も多くはここで聴いたことがあるものだ。ところで、“ウィーンナ・ワルツ”と普通のワルツはどう違うのか。ウィーンナ・ワルツは言わば音楽の“なまり”と言ったものらしい。ウィーン独特の情緒を持ち甘い官能をくすぐるような一種の演奏スタイルなのだ。当時社交界では、メヌエットが中心で男女相で踊るものではなく、何か物足りない踊りとされていたが、ワルツが生まれると男女相擁し陶酔するスタイルとなりウィーンを風靡したらしい。その後、瞬く間にヨーロッパ一円に広まって行った。
そこで「南国のバラ」だが、題名の通り明るい南国の空をイメージするような序奏、キラメク太陽、咲き乱れるバラ、そして情熱の高潮を示す合唱の効果。この曲は喜歌劇「女王のレースのハンカチーフ」からとられたもの。

「皇帝」円舞曲
勇ましく行進する軍隊の様が目に浮かぶ。ドラムの連打はやがてチェロの詠奏となり、ラッパの朗々とした快調につれ華麗な円舞曲が展開する。全体が勇壮広大、曲趣に富んでいる。ドイツのカイゼルに奉呈されこの標題がついた。

「常動曲」 ※無窮動とも言う。6/26パガニーニの時にも触れている。
休みなく次から次へ続けられる曲で、一つの旋律を基に終わりを知らない。これが又軽快で魅力的な楽趣を楽しめる。途中、指揮者ベームの声が入り、直後聴衆の拍手が入っていたが、終了後学芸員の説明でベームが指揮の途仲、聴衆側に顔を向け「終わりますか・・・」と呼びかけたらしい。彼独特のジョークでライブ録音の珍しく面白い場面だった。
当日の聴衆は大指揮者ベームのサービスに大いに満足したことだろう。

「ピッチカート ポルカ」
弦楽器のピッチカート(指揮演奏)で実に軽快なポルカ(19世紀初めボヘミアに起りその後世界中に広まった2/4拍子の軽快な舞曲)。聴いていて心地よい。

喜歌劇「こうもり」
シュトラウスは15の喜歌劇を書いているが、この「こうもり」と「ジプシー男爵」が有名。ある公証人のいたずらで男爵と夫人と小間使い、それに典獄等の間に起った滑稽なドタバタ騒ぎ。主人公の男爵が仮装舞踊会にこうもりの扮装をするところから題名がついている。軽快なリズムは楽しい舞踊会をイメージさせてくれる。

ポルカ「トリッチ・トラッチ」
この題名の意味は、女房たちの賑やかながやがやおしゃべりする様子。いずこの国も同じらしい。早いテンポで流れるような曲は、ちょうど女房たちの早口らしく軽快で陽気な曲だ。

円舞曲「美しく青きドナウ」
「第2のオーストリア国歌」とも言われる存在。それにはこの曲が生まれた背景を知る必要がある。1866年ドイツ連邦の主導権をロシアと争っていたオーストリア、しかしイタリアからも攻められ完敗に近い状況で戦を終える。人々の誇りは引き裂かれ、国内は深い悲しみに包まれていた。そんな中でシュトラウスⅡ世はウィーンに流れる川や、大きく聳え立つ山々、咲き誇る花などに目を向け、人間世界では殺伐とした展開があろうと自然はいつもと変わらぬ美しさで見守ってくれるウィーンの風景を「美しく青きドナウ」に込めたのだ。曲のイメージは楽しく明るいが、実は真逆の辛く苦しい混乱があったことに思いを馳せなくてはならない。音楽の絵巻物の中にある情景を楽しみながらも胸が苦しくなる思いだ。
私のLP・・ハンス・スワロフスキー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団

ニュルンベルクのマイスタージンガー 前奏曲
10/9にも試聴済みでそちらに記載済み 
     H26('14)10.23

        私のCD
  ベートーヴェン 交響曲第4番

 ベートーヴェン 交響曲第3番 変ホ長調作品55「英雄」
           交響曲第4番 変ロ長調作品60
           交響曲第5番 ハ短調作品67「運命」以上(SACD)
           スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
           読売日本交響楽団
           3番2012.9.29 みなとみらいホール
           4番、5番 2012.3.13サントリーホール ライブ
交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェンはこの曲を当初ナポレオンに捧げる予定だった。ところが人類に平和と自由をもたらす理想の英雄として尊敬していたナポレオンが、こともあろうに皇帝に即位した。このニュースを聞いて、怒りのあまり即座に献呈を取りやめ「シンフォニア・エロイカ」と題して出版したのであった。耳の病気の悪化から絶望のどん底に沈んだベートーヴェンが、不屈の闘志でそこから這い上がり第二の人生を踏み出す出発点となった記念碑的な作品である。ワーグナーは、この4つの楽章を活動、悲劇、寂境、愛とし、真のベートーヴェンの姿が出てきた、と評している。これまでの第1交響曲、第2交響曲がハイドンやモーツアルトの影響をうけ、ベートーヴェンの特性が曖昧なところ、この第3交響曲に初めて彼本来の姿を示す兆候が表れている、と言うところか。
5/27フルトヴェングラー指揮、ウィーン・フィル試聴済み。要参照

交響曲第4番
8/5クライバー指揮、バイエルン国立管弦楽団のLPを試聴している。今日、再度耳にしてベートーヴェンの一味違った名曲を聴いた感じだった。
彼の生涯の中で、第3番と第5番交響曲の間に作られたもので、最も静かな時代を反映している。歓喜、純情が込められ伸び伸びとした曲調で、他の曲に多い詠嘆、悲劇の感が最も少なく幸福感が漲り、第3や第5と際立った対照をしていると思う。標題がないので地味な存在に見えるが、この第4番と第7番は私好みの名曲だ。

交響曲第5番「運命」
8/7、8/11、9/4と過去3回試聴している。要参照。
     H26('14)11.13

        私のCD
    マーラー 交響曲第5番
マーラー 交響曲第10番 嬰へ長調「アダージョ」
       交響曲第5番  嬰ハ短調
       クラウス・テンシュテット指揮 
       ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
交響曲第10番
音楽家には縁起担ぎが多い。マーラーもその一人だった。ベートーヴェンもブルックナーも交響曲は9曲で終わっている。マーラーは交響曲第8番を完成したあと作曲した交響曲を第9番とはしないで「大地の歌」として発表した。しかしマーラーは次の第9番を書いたあと第10番の第1楽章を作っただけで未完のまま世を去った。そのため第1楽章のみ単独で演奏されることが多かったが、第2次大戦後補筆によって数種の全曲完成版が作られている。中でもイギリスの音楽学者リック・クックによるものが広く受け入れられており補筆完成版の演奏が増えている。私はこの曲を今回初めて聴いた。映画「ベニスに死す」で有名になった交響曲第5番第4楽章アダージェットの旋律と重なって聴き入ってしまった。
交響曲第5番
7/8に試聴済。ただしこの盤はエリアフ・インバル指揮、東京都交響楽団で2013.1東京公演のライブ盤だった。また、本日聴いた指揮者テンシュテットはロンドン・フィルを率いて1984年春来日している。自分のレベルでは、両者の聴き分けなど全くできないが、トランペットで始まる第1楽章の出足は印象深い。一般に「葬送行進曲」と言われているが確かに悲劇的な色合いが濃いい。あの有名な第4楽章の耽美的な表情アダージェットは何回聴いても実に美しい。以下7/8参照。
私のCD・・小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
 
     H26('14)11.18

        私のCD
 ワーグナー序曲・前奏曲集より
     トリスタンとイゾルデ
      第1幕への前奏曲
ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 ハイライト
       S キルステン・フラグスター Ms ブランシェ・テボム
       T エドガー・エヴァンス T ルートヴィッヒ・ズートハウス
       ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
       フィルハーモニア管弦楽団 
ワーグナーと言えば歌劇となるが、“楽劇”も多い。楽劇とは何か、マイペディアには次のような記述がある。
「オペラの一様式、ワーグナーが提唱した音楽、文学、舞踊などの総合としての全体芸術作品。従来のアリアをつないだオペラではなく、1幕ないし1場を通じて音楽が途切れることなく続く無限旋律を底流にしている。」
今日聴いた「トリスタンとイゾルデ」は将にその通りの内容。ハイライトであったがソプラノ、メゾソプラノ、テノールの各パートがソロで連続しており、無限旋律なのだ。ベートーヴェンが交響曲ならワーグナーは絢爛たる豪華な歌劇を完成し、今なお追随するものなき偉大な作曲家なのだ。オペラの世界に一石を投じたのは、これまでは「歌」を聴かせるオペラだったのが、ワーグナーはオーケストラに比重を置いた。当時人気の高かったイタリアオペラは、歌手のテクニックを中心としたメロドラマがメインだったが、そのオペラを文学(台本)、美術(舞台美術)、演劇(演出)、音楽など様々な芸術の総合だと考えたワーグナーはイタリアオペラを否定し、自分の哲学に基づいた壮大なオペラを創り上げた。その結果長大な作品が多い。中でも圧倒的なスケールを誇るのが「ワルキューレ」を第2部とする「ニーベルングの指環」である。全4曲を合わせると上演時間は実に15時間となる。
これまで私が観たのは最も有名な「タンホイザー」だが、序曲の「巡礼の合唱」がいまだに耳に残っている。男声合唱による敬虔な合唱曲で、全編一貫して歌われる主題と言うべき曲だ。本日聴いたこの盤は、巨匠フルトヴェングラーが残したオペラ録音の中でもトップクラスの秀盤と言われている。この作品が持つ官能美と抒情性をこれほど細やかに表現した演奏も少ない。モノラル盤のプチプチという静電気も全く気にならない1時間だった。
私のCD・・ワーグナー序曲・前奏曲集より 第1幕への前奏曲 
       カール・ベーム指揮 ウィン・フィル


ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調作品47「革命」(SACD)
            スタニスラフ・スクロヴァチェスキ指揮
            読売日本交響楽団 2013 横浜で収録
5/29、8/19 ロリン・マゼール指揮、クリーヴランド管弦楽団の盤を聴いている。
旧ソビエトを代表する作曲家(1906-1975年)で「イデオロギーのない音楽はあり得ない」という声明の下に作曲を進めた20世紀異色の存在。第5番交響曲は、第9番交響曲と共にベートーヴェン以来伝統的に重んぜられており、それぞれに問題の交響曲となっている。ドヴォルザークの第5番は有名な「新世界」であり、チャイコフスキーの第5番は美しい哀愁をもったアンダンテ・カンタービレで有名。ショスタコーヴィチもこの第5番交響曲を伝統を守る問題作とした。彼の想念の中に人格の創成ー苦悩から歓喜に到達する明るい人生ーこの到達する境地を楽想とした。これはベートーヴェンが第5番「運命」に示した「克服ー勝利」に通ずるものだ。全体を通じていきいきしたリズム、多彩で変化に富んだ響き、繊細な叙情から力感に至る振幅の大きな表現など素直に感激できる。最終章の盛り上げは聴くたびに印象に残る。
私のLP・・ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
     H26('14)12.2

        私のLP
       ベートーヴェン
     交響曲第6番「田園」

ベートーヴェン 交響曲第6番 ヘ短調作品68「田園」
           交響曲第5番 ハ短調作品67「運命」
          ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮
          ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1947.5.25 ベルリン・ティタニアバラスト
フルトヴェングラー復帰第1回目のコンサート(ライブ) 

交響曲第6番「田園」
耳疾に苦しんでいたベートーヴェンは、散歩をこよなく愛した。それは自然との絶好の対話となり、楽想を練るのに役立った。彼の日課は朝目が覚めると午後2時ごろまでぶっ続けに仕事に没頭し、その後夕方まで散歩に出かけたらしい。「自然がベートーヴェン唯一の友であった」と彼の恋人が言っている。彼の自然に対する愛と感謝の気持ちがこの「田園」に結集している。小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、雷鳴など自然の姿が音によって生き生きと描写され、親しみやすい曲となっている。私も散歩中にごく自然に主題の旋律を口ずさむことがある。
解説書には次のような記述がある。
第1楽章・・田舎に着いた時受けた愉快な感情の目覚め
第2楽章・・小川の辺への情景、清らかな水の流れ、鳥のさえずり
第3楽章・・田舎の人々の楽しい集い、祭り、民謡、舞曲
第4楽章・・風雨の襲来、雷鳴、暴風雨、やがて静まり太陽の光輝く
第5楽章・・牧人の歌、嵐の後の喜びと感謝
これらを想像しながら聴くと、ベートーヴェンが描いた田舎に完全に溶け込め、音楽の楽しさが満喫できる。
私のLP・・ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団

交響曲第5番「運命」
8/7試聴済  ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
8/11試聴済 ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウイーン・フィル
9/4試聴済  小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
10/23試聴済 スタニスラフ・スロヴァチェスキー 読売日本交響楽団
今日試聴したフルトヴェングラーについて学芸員から聴いた話をまじえ記しておきたい。彼はトスカニーニと並ぶ20世紀前半を代表する指揮者の一人として超有名。ベートーヴェン、ブラームス、ワーグナー等のドイツ音楽の本流を得意とした。今日は上記2曲に加え戦争に翻弄された逸話の残る名盤を聴いた。
1945.1.23 フルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィル、ブラームス交響曲第1番。激しい空襲により停電となり、第4楽章のみ録音盤が残っていた。それを本日聴いたのです。この年の2月彼はナチスの逮捕を逃れるためスイスへ亡命したが、5月戦時中のナチス協力を疑われ演奏禁止処分となっている。ナチスに追われながら、ナチス協力とは合点が行かない。ウィキペディアなどで調べた結果次の事が判明、遅まきながら納得した。
1947年「非ナチ化」裁判の無罪判決を受けて音楽界に復帰、ベルリン・フィルの終身指揮者に就任している。従って本日は亡命直前の演奏と、復帰後第1回目の演奏を聴いたことになり感銘を受けた。
ナチスとの疑点は次の事実から説明がつく。当時ドイツの新進作曲家ヒンデミットの新作オペラを音楽監督の立場にあったフルトヴェングラーが初演した。ヒンデミットはユダヤ人と共同で音楽活動をしており、ナチスは快く思っていなかった。にも拘わらずフルトヴェングラーは、純粋に音楽家としての立場からヒンデミットを擁護し、ナチスとの関係が不穏なものとなって指揮台を去った。ところが彼が去ることによりドイツ音楽会のイメージダゥンを恐れたナチスがフルトヴェングラーに歩み寄り両者は和解、指揮台に復帰した。この件がナチスに忠誠を誓ったと世界から誤解された一因となっているらしい。 
 
     H26('14)12.18

      私のLPジャケット
   ベートーヴェン交響曲第3番
        「英雄」
 
ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 ハイライト
        ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮
        フィルハーモニア管弦楽団
私のCD・・ワーグナー序曲、前奏曲より 第一幕への前奏曲
       カール・ベーム指揮 ウイン・フィル
11/18同じ盤を試聴済みにつき、ここでは彼のプロフィールを記す。
ワーグナー(1813~1883)ドイツ・ライプツィヒで生まれる。ベートーヴェンの作品に感動して音楽家をめざし、大学で音楽と哲学を勉強する。1849年に革命に積極的に参加したため、革命が失敗に終わると逮捕状が出てしまいスイスに亡命。経済的に悲惨だった彼に1864年、ワーグナー支持者のバイエルン国王ルートヴィヒⅡ世が援助した。1870年57歳の時、音楽家リストの娘コージマと2度目の結婚をし、その2年後にはバイロイトへ移り住む。そして、自分の音楽を演奏するためのバイロイト祝祭劇場を完成させた。ワーグナーの熱狂的支持者のことを「ワグネリアン」と呼ぶこともあり、歴代の音楽家の中でも特にカリスマ的な存在である。前述のルートヴィヒⅡ世は、日本人観光客に人気のあるノイシュワンシュタインの築城者として有名で、ワーグナーの熱狂的庇護者であった。バイロイト祝祭劇場の建設は王の後援があって出来上がったものだ。その王も禁治産宣言を受けた直後謎の死をとげている。自殺、プロイセンによる謀殺があり未だに謎のまま。

ベートーヴェン 交響曲第3番 変ホ長調作品55「英雄」 
          ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮
          ベルリン・フィル 新制作LP 1952.12.7ベルリンで収録
5/7試聴済み 今回と同じ指揮者、楽団
10/23試聴済み スタニスラフ・スロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
私のLP・・アンドレ・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィル
     H26('14)12.23

       私のCD
      モーツアルト
     ピアノ協奏曲第25番

モーツアルト ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調K.595
         ピアノ協奏曲第25番 ハ長調K.503
         Pf.アリシア・デ・ラローチャ
         サー・ゲオルグ・ショルティ指揮 
         ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ協奏曲第27番
この曲は彼の最後のピアノ協奏曲で、死の直前35歳の時の作品となっている。
 注.8/7に書いているが別の資料では、ピアノ協奏曲は30曲ある。内5曲は編集に近いもので、あまり重要視されていない。恐らく後世の研究家で整理され27曲になったものと思われる。このような事例は多くあり、交響曲などでも順番が変更されたケースもある。
「白鳥の歌」として讃えられており、アインシュタインは「告別の作」-「永遠の扉、天国の門に立つ作品」と評している。貧乏の苦しみと病苦、この二つの苦しみと闘いつつ最後の力を振り絞りこの傑作を生んだのだ。死を予感したような澄み切った境地が感じられ、しかも驚くばかりの明るさに溢れ聴く者の胸を打つ。第2楽章のピアノとオーケストラの交す淡々とした対話が素晴らしい。ベートーヴェンは研究時代に丹念にこの作品を研究したと言われている。

ピアノ協奏曲第25番
8/7試聴済み Pf.ルドルフ・ゼルキン クラウディオ・アバド指揮 ロンドン
交響楽団
前回初めて試聴した時は、わりと平凡な曲に聞こえ余り印象に残らなかった。ところが、本日第27番の後で聴いて、出足がかなり力強くベートーヴェンを彷彿させた。前回とは全く別の感じを持った。これが音楽の面白いところか・・・。手元の資料にもこの25番については全く無い。ピアノ協奏曲27曲中第20番と第24番のみが短調の曲として有名、そして第26番は俗に「戴冠式」として有名であり、真ん中の第25番は埋没している存在。でも、私の中では本日聴いて忘れがたい名曲として復権した。終了後の雑談の中で、学芸員もこの曲を認めていた。
私のCD・・Pf.フリードリヒ・グルダ
      クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調作品47 (SACD)
            スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー指揮
            読売日本交響楽団
            2013.10.6横浜みなとみらいホール ライブ
5/29、8/19試聴済み、私のLPとおなじもの
11/18試聴済み、本日聴いたものと同じ
注.SACDについて
7/8マーラー交響曲第5番、10/23ベートーヴェン交響曲第3番、第4番、第5番SACDのライブ盤を聴いている。これはSuper Audio CDのことで、1999年にソニーとフィリップスにより規格化された次世代規格の一つ。CDと同じサイズ120㎜光ディスクに、オーディオデータをCD以上の高音質で記録したもの。

レコード盤は異なるが、これまで3回聴いている。学芸員もお気に入りの曲なようだ。この曲には「革命」と言う標題がついていたが、現在はほとんどつけていない。5/29久しぶりに聴いたときは「現代のベートーヴェンスタイル」と言う評価がストーンと理解出来なかったが、8/19、11/18そして今回と聴き続け遅まきながら分かってきた。彼の想念に人格の創成-苦悩から歓喜に到達する明るい人生、これがベートーヴェンの第5番「運命」に示した「克服-勝利」に通ずるものなのだ・・・と。全体を通じての迫力と緊張感は素晴らしい。特に、最終章の爆発的なエネルギーは強く胸に迫る。
 

スピーカーは高さ1.5mの大型で左右一対の音響には迫力があります。微妙な低音も実にクリアーでコンサートホールの臨場感が味わえます。学芸員の話では、オーディオがその性能を発揮するためには設置場所、建物との馴染みが必要で、些かの時間を要するとの事。
私は田舎の出身で子供の頃にはクラシックとの接点は皆無に近く、社会人になってから当時のステレオセットを購入、少しずつクラシックに馴染んできました。もちろんコンサートなど通える機会、財力も無く専らLP、CDレコードで楽しんでおりました。
今回巡ってきたチャンスに、五味康祐が収集した数々の名曲を試聴でき大いに喜んでおります。
終了後、試聴室で同好の皆さんと話し合うのも楽しみの一つです。試聴した内容とチョットした感想を記録しておくためこのページを作りました。ご覧ください。

参考 五味康祐に関する練馬区のHP