私のCD
ベートーヴェン交響曲第2番

             私のCD
           モーツァルト
交響曲第35番「ハフナー」

        私のCD
    ブラームス 交響曲第2番

H29('17)4.27

れることが多いが、確かにこの2曲に漂う独特の悲愴美にはモーツァルトの音楽が持つ本質的な面が良く表れているのではなかろうか。ある評論家は、この曲の第1楽章を「駆けめぐる悲しみ」という有名な言葉で表現したが、確かに印象に残る曲だ。数多いモーツァルトの室内楽曲の中でも代表的な作品なのだ。通常の弦楽四重奏曲にもう一つのヴィオラが加わることによって全体の音色が和やかな落ち着き醸し出している。

ハイドン 交響曲第101番ニ長調「時計」
      交響曲第95番ハ短調
      フリッツ・ライナー指揮の管弦楽団

交響曲第101番「時計」(第95番ともに試聴会初登場)
ハイドンは「交響曲の父」と言われ、生涯に118曲もの膨大な交響曲作品を残している。この試聴会では27.2.24に交響曲第94番「驚愕」を聴いたのみで余り聴く機会が無かった。彼のプロフィールを見ると穏やかな人柄で皆に慕われ「パパ・ハイドン」と呼ばれていたらしい。24歳年下のモーツァルトとも親交を深め影響を与え合ったと言われている。また、ベートーヴェンの師匠でもあった。7歳の時ウィーン少年合唱団にスカウトされ、常に独唱パートを担うほどの美声の持ち主だったが、変声期に町に放り出されその後苦労したらしい。月日が経ち貴族の楽士として仕え成功し、国内だけでなくヨーロッパ中にその名は知れ渡り、77歳で亡くなるまで作曲家としての確固たる地位を保ち続けた。この曲第101番「時計」は、ハイドンが61歳の時に作曲されている。第2楽章ののんびりした規則正しいリズムが「チッタッタ、チッタッタ」と揺れる時計の振り子の様であることから後に「時計」と名付けられたもの。当時の演奏会では第2楽章が終わった途端に拍手が巻き起こったり、アンコールを求められたり、と初めから大変な人気を博したらしい。

 
 
 

なかったし正式にピアノを学んだわけでもなかった。にも拘わらずその生涯に100曲以上ものピアノ曲を生み出したのは、シューベルトがピアノと言う楽器の機能を良く知っていたからなのだ。しかし彼の場合ベートーヴェンとは対照的にソナタのような大曲ではなく、この「即興曲」のような自由な形式の作品に持ち味が発揮されている。シューベルトの「即興曲集」は作品90と作品142の2つがあり、ともに4曲ずつからできているがいずれも彼が世を去る1年前の1827年に書かれている。即興曲というのは文字通りあまり形式にこだわらないで、自由奔放に作曲した曲の事でこの8曲もそうした“遊び心”と“歌”に溢れた美しく抒情的な小品なのだ。私はこの2作品を初めて聴いたが、シューベルトの作品の中では大切なもので極めて有名な曲なのだ。大昔、私が購入した全集 The most beautiful music in the world の中に収載されているが、残念ながらこれまでに聴いたことがなかった。今回初めて聴いて心が和む美しい旋律に感激した。
私のLP・・Pf.ベンジャミン・オレン

ファリャ バレエ音楽「三角帽子」、歌劇「はかなき人生」
この試聴会でファリャが登場したのは初めて。彼の作品で私が持っている唯一のLPは、ピアノ及び管弦楽のための交響的印象「スペインの庭の夜」のみ。何時ごろ何の目的で購入しのか全く記憶にないが、当時国名、地名のついた曲を集めていたのでその一つとして揃えたのかも知れない(Pf.アルゲリッチ、バレンボイム指揮、コンセルド・パリ管弦楽団)。ファリャは近代スペインの大作曲家(1876~1946年)で、ピアニストの母親にピアノを習っている。後年パリに出てドビュッシー、ラヴェルなどと交わっている。このバレエ音楽「三角帽子」は、当時有名なロシアン・バレエ団のために書かれたもので、公演は大成功を収めファリャの名声は高まり、バレエ曲作曲家としての地位を確保したと言われている。第1部隣家の人々、第2部水車小屋の舞踊、第3部終幕の踊りの三部構成。町はずれの水車小屋の夫婦、妻は美しく夫は醜いが2人は愛し合っている。この夫婦に好色の市長が絡まり物語は展開する。新鮮な楽想に一抹の野趣もあり、明るくて楽しい曲だった。中学、高校などの吹奏楽コンクールなどでもよく演奏されているらしい。
もう一つの歌劇「はかなき人生」は、現代では上演される機会は殆どないが、いくつかの楽曲は抜粋して演奏されている。またヴァイオリンとピアノ用に編曲した「スペイン舞曲」は有名で、ピアノ演奏など他の編成でも演奏されている。ギターの演奏を聴いたこともあり、部分的に耳にする機会は珍しくない。


 

感覚に溢れており、それが大きな魅力になっている。本日聴いた「第4番」は「第5番」と並んで人気のある作品で1875年(40歳)に作曲された中期の傑作だ。
私のLP・・Pf.パスカル・ロジェ シャルル・デュトワ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

フォーレ ピアノとオーケストラのためのバラード
試聴会初登場。手元に何ら資料なくまたnet上にもないためコメント省略。

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
          ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団

次の試聴会でコメント済みにつき今回は省略。ただし、何回聴いても第2楽章の葬送の曲は人の心を打ち、胸をかきむしられる。そして、最終章の怒涛の如き力強い管弦楽にはその雄渾さで圧倒される。やはりベートーヴェンの交響曲には深い感動を覚える。
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
26.10.23、27.12.15、28.12.8 試聴済み スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
26.12.18、28.10.13 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
私のLP・・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィル


ブリテン チェロと管弦楽のための交響曲 作品68
ハイドン チェロ協奏曲ハ長調
      Vc.ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ 
      ベンジャミン・ブリテン指揮 イギリス室内管弦楽団

ブリテン チェロと管弦楽のための交響曲
今回初登場。ベンジャミン・ブリテン(1913~1976年)イギリスの作曲家、指揮者、ピアニストで現代作曲家としては若い世代に属し、彼の作品を聴いたのはこれが初。この曲は演奏者ロストロポーヴィチに献呈され、モスクワ・フィルとの共演により1964年3月世界初演が行われた。客観的には協奏曲なのだが「交響曲」の名称は伝統的な協奏曲の定石に比べて独奏楽器とオーケストラが互角に渡り合うことに因んでいる。また、3楽章制でなく4楽章制をとるところも交響曲風だが、最後の2楽章はチェロのカデンツァによって結合されている。自分としては交響曲風ではなく、チェロは協奏曲としてその独奏の音色を聴く方が好きだ。


ハイドン チェロ協奏曲
このコンサートでは初めて聴いた。昔CD(当時3,000円、今では1,000~2,000円で手に入る)を購入しているから自宅では数回聴いている。一時チェロの音色に取りつかれ、かなりの作品を買い込んだ記憶がある。名曲としては、このハイドンを初めシューマン、サン・サーンス、ラロなどあるが自分はドヴォルザークの104番が一番のお気に入りなのだ。話は横にそれたが、久しぶりにハイドンを聴いてモーツァルトかと一瞬錯覚したほど明るく快活だった。モーツァルトはハイドンより24歳後輩だから多分に影響を受けたものと思う。私の耳ではバロックの名残も多く感じられ、それに古典派としての形式もある2つの形式の融合作だと思う。一般的にはもう一つあるチェロ協奏曲第2番ニ長調の方が不朽の名作と言われているが、甲乙付け難い。
私のCD・・Vc.及び指揮 ロストロポーヴィチ アカデミー室内管弦楽団


ドヴォルザーク チェロ協奏曲
今回初登場。2月初旬の「急性心筋梗塞」の発症により入院・手術のため、このコンサートも3ケ月ぶりとなった。何と偶然ながら私のお気に入りの一つドヴォルザークのチェロ協奏曲だった。万一の際のラストプランニングにも記しているが、私の告別式にはこの曲を流すようにしている。久しぶりのLPコンサートが実にメモリアルなものになった。チェロ協奏曲にはシューマンやサン・サーンス、ラロなどの名作もあるが、それらの中で飛びぬけて優れているのがこの曲である。これは傑作「交響曲第9番(新世界より)」や「弦楽四重奏曲(アメリカ)」と同じく、実りの多かったドヴォルザークのアメリカ滞在中に作曲されたものだ。この曲でのチェロの扱い方は大変素晴らしいもので、第1楽章のオーケストラによる前奏部分が終わって、独奏チェロが登場するところはあたかも大スターが舞台にさっそうと現れる如く華やかさを感ずる。第2楽章は全曲中の白眉で、独奏チェロの歌う哀愁を帯びた旋律の美しさは素晴らしい。ノスタルジァーに満ち溢れたセンチメンタルな情緒がチェロという楽器の持ち味である甘く抒情的な表現と直結することによって、ドヴォルザークならではの懐かしく美しい音の世界が綿々と繰り広げられている。第3楽章のチェロの技巧的で華やかな活躍もフィナーレに相応しく記憶に残る。これぞ名曲だ。この曲を聞いたブラームスは「チェロによってこのような作品が作れると知っていたら私もとっくに書いていただろう」と言って悔しがったと言う。本日久しぶりに聴いてそのスケールの大きさに圧倒された。協奏曲でなく交響曲に近い。ボヘミアの特徴のある郷土色、その土の薫り高い民謡の旋律と和声を取り入れて、チェロ特有の音楽の中に醸成した素晴らしさは感嘆ものだ。
私のLP、CD・・Vc.ピエール・フルニエ ジョージ・セル指揮 ベルリン・フィル


フォーレ チェロと管弦楽のためのエレジー
初登場、手許になんら資料無く今回は省略。チェロに相応しい静かな優しい旋律が印象に残っている。ゆっくり聞き直したいものだ。


ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」 2012.9.29 横浜みなとみらいホール
          交響曲第4番変ロ長調 作品60       2012.3.13 サントリーホール
          交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」           同 上
          スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー指揮
          読売日本交響楽団(JACD)

交響曲第3番「英雄」
これまでの試聴会でコメント済みにつき今回は省略。
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
26.10.23、27.12.15   〃   本日の盤に同じ
26.12.18、28.10.13   〃   フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
私のLP・・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィル

交響曲第4番
比較的馴染の少ない曲だと思うが、一度聴くと病みつきになるくらいで、ベートーヴェンの別の一面を知ることになる曲だ。彼の作品の中でも一味違った名曲だと思う。本日聴いた超有名な3番5番の間に作られた曲で、彼の人生の中で最も静かな時代を反映している。人生の歓喜、純情が込められた伸び伸びとした曲調で他の曲に多い詠嘆、悲劇の感が最も控えめで幸福感に満ちている。シューマンがこの曲を「二人の北欧神話の巨人(交響曲3番と5番)の間に挟まれたギリシアの乙女」と例えたと、伝えられている。しかし、実際に聴くと「乙女」と呼ぶほどやわな曲でもなく、激しさも十分に持ち合わせている。もっとも、ギリシア美人にも案外気性の激しい人もいたのかも知れない。数回聞いているうちに第1楽章の素晴らしさに興奮を覚える。第2楽章のアダージョもロマンの香りが溢れ美しい。最終章のアレグロは再度躍動感と歓喜に満ちており流石にベートーヴェンと、感激を新たにします。
26.8.5・・試聴済み クライバー指揮 バイエルン国立管弦楽団
26.10.23、27.12.15  〃    本日の盤に同じ
27.3.17   〃    小沢征爾指揮 水戸室内管弦楽団
27.4.16、28.3.31   〃    スイートナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
27.7.2    〃     ベーム指揮 ウィーン・フィル
28.1.14   〃    カラヤン指揮 ベルリン・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

交響曲第5番「運命」
過去の多くの試聴会でコメント済みにつき今回は省略。
26.8.7 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
26.8.11、28.4.19  〃    フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
26.9.4、27.7.14   〃    小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
26.10.23、27.12.15 〃   本日の盤に同じ
27.4.21  〃   スイートナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
27.5.21  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 NHK交響楽団
27.6.16  〃   リスト編曲 Pf.グレン・グールド
27.8.20  〃   バーンスタイン指揮 バイエルン放送交響楽団
28.9.6   〃   ブレーズ指揮 ニューヨーク・フィル
私のLP・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・ジョセフォヴィッツ指揮 ハンブルグ交響楽団
    CD・・リスト編曲 Pf.グレン・グールド


             

バッハ 「マニフィカト」
     S.エリー・アメリンク  A.モーリン・レハーン  T.テオ・アルトマイヤー
     BS.ローラント・ヘルマン  テルツ少年合唱団
     クルト・トーマス指揮 コレギウム・アウレウム合奏団

「マニフィカト」とはラテン語で「崇める」という意味。聖母マリアへの讃歌なのだ。ルカ伝第1章にある聖母マリアの言葉ー彼女が神の子キリストを胎内に宿し祝意を受けた時に発したものーに対して多くの作曲家が「マリア讃歌」として作っている。それらの中でも最も優れたものがこのバッハの「マニフィカト」と言われている。バッハが38歳(1723)の作品で、クリスマスのために書かれたラテン語を歌詞とする12曲の間にクリスマスの歌やドイツ語によるコラールを4曲挿入している。合唱、独唱、オーケストラで構成されている。崇高で宗教的な情感に満ちており、宗教心の全く無い私でも敬虔な気持ちに満たされた。第1曲から第12曲の内容については下記へ記入済み。
28.7.26 試聴済み 本日の盤に同じ
私のLP・・S.ヴァルター・ガンペルト  A.アンドレアス・シュタイン  T.テオ・アルトマイヤー
      Bs.ジークムント・ニムスゲル  テルツ少年合唱団
      ゲルハルト・シュミット・ガーデン指揮  コレギウム・アウレウム合奏団

マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人」 (SACD)
        
クラウス・テンシュテット指揮  シカゴ交響楽団 

音楽史から見たマーラーの位置について、書いたものがあったのでここに整理しておきたい。
ドイツ・ロマン派の交響曲の元祖をベートーヴェン(1770)とすると、次にシューベルト(1797)、メンデルスゾーン(1809)、シューマン(1810)へと続く。メンデルスゾーン、シューマンは1850年ころ迄に仕事を終えた。彼らはロマン的精神を表出しながら交響曲と言う絶対音楽の形式の中にとどまった。同じ時期にリスト(1811)とワーグナー(1813)が現れたが、彼らは交響曲とは別のかたちの表現を目指した。二人はともに1880年代まで長く生き、ロマン主義の精神と音楽の語法を頂点まで導いていった。一方で彼らに少し遅れて生まれたブルックナー(1824)とブラームス(1833)の二人はドイツ・オーストリアの伝統に従って「交響曲」という形式にこだわった。しかしその後、音楽史の重要な作曲家は非ドイツ圏に表れ、「交響曲」は1840年以降に生まれた国民主義の作曲家によって担われて行くのである。従って、ブラームスの後30年の空白をおいて現れたマーラーがロマン派交響曲の最後の華を咲かせることになるのである。マーラーの交響曲は未完の曲や「大地の歌」を含めると11曲あるが、この1番が最も親しみやすいと思う。標題から見て青春の若やいだ気分とか、巨人的な力強さを想像するが、決してそうではない。彼がそれまでに経験した青春の喜びや苦悩を音楽に結集させたものだと思う。特に第3楽章の民謡風の甘く親しみやすい旋律は印象的だ。今でも広く人気を得ている理由は、彼の作品全般を通じて極めて耽美的でほの暗い哀愁を帯びた旋律が、現代に生きる私たちの心に響くものがあるからだろう。
26.6.5 試聴済み アバド指揮 シカゴ交響楽団
私のCD・・小沢征爾指揮 ボストン交響楽団


     

シューベルト    交響曲第8番ロ短調 D.759「未完成」
チャイコフスキー  交響曲第5番ホ短調 作品64
ショスタコーヴィチ  交響曲第5番ニ短調 作品47
             エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮
             レニングラード・フィル
            1978年6月 ウィーン・ムジークフェライン・ザール  ウィーン芸術週間での実況録音

シューベルト「未完成」
下記の試聴時にそれぞれコメント済みにつき今回は省略。
26.10.9 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
27.9.3    〃   本日の盤に同じ
27.9.29     〃   シノボリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
27.10.20   〃   テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
28.4.19    〃   フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
私のLP・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・バンベルガー指揮 パドルー管弦楽団
   CD・・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団


チャイコフスキー 交響曲第5番
次の試聴時にコメント済み、今回は省略。
26.7.1、26.9.9、27.9.3 試聴済み 本日の盤に同じ
27.3.24 試聴済み バディス指揮 ロンドン・フィル
27.11.26   〃   リッカルド・シャイー指揮 ウィーン・フィル
私のLP・・ワルター・ゲール指揮 ローマ・フィルハーモニ管弦楽団
   CD・・クルト・ザンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
これまでの試聴時にコメントしているが、今回net上で見たコメントを参考までに掲載したい。
20世紀ロシア最大の交響曲作家ドミートリイ・ショスタコーヴィチ。“モーツァルトの再来”と呼ばれ、国の期待を一身に背負うが、作品がブルジョワ的に過ぎると当局の批判を買うことになった。当時のソ連は社会主義推進のために芸術への抑圧も激しかった。しかし、ショスタコーヴィチはそうした情勢と正面から向き合い、時には当局の意向を受け入れ、また時には巧みにかわしつつ、最後までソ連を離れることなく作曲を続けた。国の信頼を取り戻し、その後の作曲家としての成功の礎となったのが、自身の代表作であり交響曲の名曲としても取り上げられるのがこの5番なのだ。ベートーヴェンの5番を意識して慎重を期して作曲されたといわれ、暗から明へ、苦悩とそれの克服という明確な図式が示されている。標題はないが、終楽章には「あらゆる疑念に対する解答」と添えられている。暫らくの間「革命」と呼ばれていたが、「運命」と同じくあくまで人生がテーマなのだ。夫人によれば初演はフィナーレの途中から興奮した観客が立ち上がり、終わると猛烈なスタンディングオベーションの中、荒れ狂ったような拍手が沸き起こったそうだ。この年はロシア革命20周年に当たり、曲の成功は彼に名誉回復をもたらした。第5番は古典的な交響曲の枠組みに則り、比較的分かりやすく書かれており、現代音楽というより後期ロマン派の趣で、それが人気の獲得にも繋がっている。
26.5.29、26.8.19 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
26.11.18、26.12.23  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日響
26.9.3 試聴済み 本日の盤に同じ
私のLP・・ロリン・マゼール指揮 クリーヴラント管弦楽団


    

交響曲に比肩しうる大作とすることが出来たのだ。確かに、聴いていると第4楽章にはベートーヴェンの第9の香りがする。雄大、荘厳を極める曲想と宗教的な強烈な感銘を与える終結は、音楽の法悦かも知れない。因みに、大作曲家の交響曲第一作時の年齢は次の通り。
モーツァルト8歳 メンデルスゾーン15歳 シューベルト16歳 ハイドン27歳 ベートーヴェン30歳 
シューマン31歳 ブラームス43歳
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.6.25   〃   ベーム指揮 ウィーン・フィル
28.5.10   〃   テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
私のLP・・カール・バンベルガー指揮 フランクフルト・オペラ座管弦楽団
   CD・・カラヤン指揮 ウィーン・フィル

26.8.7 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
26.8.11   〃   フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
26.9.4    〃   小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
26.10.23   〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
26.12.2   〃   フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.4.21   〃   スイートナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
27.5.21   〃   スクロヴァチェフスキー指揮 NHK交響楽団
27.6.16   〃   リスト編曲 Pf.グレン・グールド
27.7.14   〃   小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
27.8.20   〃   バーンスタイン指揮 バイエルン放送交響楽団
27.12.15  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
28.4.19   〃   フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
私のLp・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   LP・・ジョセフォヴィッツ指揮 ハンブルグ交響楽団
   CD・・リスト編曲 Pf.グレン・グールド

カンタータ「静かな海と幸福な航海」
初めて聴いた曲だ゜。ベートーヴェンはカンタータと呼べる作品を11曲残している。その内8曲は管弦楽と合唱を伴う大編成で構成され「合唱幻想曲」もその一つ。本日のカンタータはゲーテの二つの詩「海上の凪」と「成功した航海」を用いた混声4部合唱と管弦楽のための作品となっている。1813年頃から構想され、1814年の秋から1815年の夏の間に完成されている。1815年12月25日ウィーンで初演されたのち、この作品はゲーテに献呈されている。ベートーヴェンがゲーテに宛てた手紙には次のような一節がある。「海上の凪、成功した航海、この二つの詩のコントラストは音楽で表現するに相応しいと私は考えました。私が付けたハーモニーが閣下(ゲーテ)の詩に適切であったかどうかを知ることが出来れば幸いに存じます。」
この作品が演奏会などで取り上げられる機会はあまり多くは無い。2部構成で約8分の短い曲だ。第1部「海上の凪」第2部「成功した航海」。荘厳な雰囲気で合唱部分が心地良い。よく響く大教会で聴いているような臨場感タップリの曲だった。平素のベートーヴェンとは一味違う世界だった。

夜想曲
ショパンはよく男性的な面と女性的な面とを合わせ持った作曲家だと言われているが、「夜想曲(ノクターン)は、その女性的な面の表れた最も良い例だろう。夜想曲と言うのは、夜の静けさを表すかのような夢想的で物憂い感じのする音楽のことで、イギリスの音楽家ジョン・フィールドの創作。この第5番はショパンの夜想曲の中でも最も美しいと言われている曲だ。
ポロネーズ
ショパンは大変な愛国者だった。20歳(1830)の時、演奏旅行のためポーランドを離れ、そののち再び祖国の土を踏むことはなかった。当時ポーランドはロシアに攻略されていた。祖国に戻って戦うべきか迷っていたが、友人の「祖国のため芸術で戦え」という勧めに従い作曲に励んだ。ショパンは女性的な一面もある人だったが、この「ポロネーズ」は彼の芯の強さが感じられる作品だ。ポロネーズはマズルカと同じくポーランドの代表的な舞曲で、宮廷の儀式の中から生まれたもの。ショパンはピアノ用に16曲書いてるが、この「英雄」と「軍隊」が有名だ。
練習曲
本来の練習曲から離れてショパンの作品は1曲1曲に豊かな表情があり、芸術的な深い内容を持つものまで高められており独立して演奏されるものが多い。この曲「別れの曲」も非常に有名で、ショパンの伝記映画のタイトルにもなっているほどだ。子供の頃から音楽にはあまり縁のなかった私でさえ口ずさむメロディーの一つだ。
私のLP・・「ホームクラシック名曲集」全12巻
      スケルツォ第2番 Pf.ベンジャミン・オレン
      夜想曲第5番 ポロネーズ「英雄」 練習曲「別れの曲」 Pf.ルーシ・パルハム


      私のCD
  ベートーヴェン序曲集
レオノーレ序曲第3番72a

H28('16)10.13

モーツァルト ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
          ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
          Pf.内田光子
          ジェフリー・テイト指揮 イギリス室内管弦楽団

          交響曲第40番ト短調K.550
          交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
          ジェフリー・テイト指揮 イギリス室内管弦楽団

本日の試聴会は「モーツァルト」特集となった。いずれの曲も長編・大作で定刻の2時間を大きくはみ出した。休憩なしで、しかも堅いパイプ椅子ではさすがに疲れる。が然し、名曲揃いのため楽しい午後の時間だった。Pf.の内田光子さんは幼少時からの海外住まいで、国際的に活躍しているピアニストだ。1984年イギリス室内管弦楽団を自ら指揮してモーツァルトの協奏曲全曲演奏を行った。また、フィリップスにモーツァルトのピアノソナタとピアノ協奏曲を全曲録音している。そんな関係で内田光子=モーツァルトのイメージが仕上がっている。

ピアノ協奏曲第20番
27.9.8 試聴済み Pf.ハスキン バウムガルトナー指揮 ウィーン・シンフォニー・オーケストラ

私のCD・・Pf.ルドルフ・ゼルキン クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団

ピアノ協奏曲第21番
1967年スェーデン映画「短くも美しく燃え」に用いられ一躍有名になった。フォルテではここぞとばかり強く打ち込みベートーヴェンを連想さす。反面柔らかい響きは気持ちを潤ませる。硬軟取り混ぜた音の世界は格別だ。第2楽章のロマンティックなメロディは前述の映画の世界を駆け巡り、終楽章の速いテンポは生命力に溢れ心が躍る。
26.6.24 試聴済み Pf.ゼルキン アバド指揮 ロンドン交響楽団
29.1.17   〃    Pf.マリア・ジョアン・ビレシュ グシュルバウアー指揮 
リスボン・グルベンキアン室内管弦楽団
私のCD・・Pf.ルドルフ・ゼルキン クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団

交響曲第40番
26.6.19 試聴済み ワルター指揮 ウィーン・フィル
26.8.28   〃    ケルテス指揮 ウィーン・フィル
27.2.24   〃    フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.8.20   〃    スウィトナー指揮 シュターツカペレ・ドレスデン
私のLP・・ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
   CD・・フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団
   CD・・ヴォルフガング・サヴァリッシユ指揮 チェコ・フィル

交響曲第41番「ジュピター」
ジュピターという副題はモーツァルト自身がつけたものではない。誰が付けたのかも分かっていないが、ローマ神話に出てくる最高の創造神(ギリシア神話ではゼウス)の名前というイメージが、この曲の崇高で壮大な内容にピッタリと合うからか・・。実際、モーツァルトの交響曲の最後を締めくくるにこれほど相応しい曲はないと思う。この曲以降亡くなるまでの3年間、交響曲は一切書いていない。ひとつ前の第40番ト短調とは対照的に、ハ長調ということもあってか明快さと壮麗さを持った作品だと思う。
26.10.16、27.7.30 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
私のLP・・ジョセフォヴィッツ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団
   CD・・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィル

余談ながら去る2月「急性心筋梗塞」により救急車で搬送され入院・手術を行った。その間、次のCDを持ち込みベッドの上で心行くまで聴き、気持ちの安静と早期退院への活力を得て音楽の“力”を感じた。
ブラームス チェロ・ソナタ第1番、第2番
        Vc.ヤーノシュ・シュタルケル Pf.ジェルジ・シェペック
モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 第21番(本日聴いた曲)
        Pf.ルドルフ・ゼルキン クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団
        交響曲第40番 第41番「ジュピター」(本日聴いた曲) 
        ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィル


H29('17)5.30

フォーレ ピアノ四重奏曲第2番ト短調 作品45
      Pf.ヴィクター・ベイピン
      Vn.シモン・ゴールドベルグ
      Va.ウイリアム・プリムローズ
      Vc.ニコライ・グロウダン
      フェスティバル・カルテット

前の試聴会(H27.1.15)にも記しているが、フォーレはピアニスト、オルガニスト、作曲家としても活躍したフランスの近代大作曲家の一人だ。生涯多くの作品を残しているが、歌曲が約100曲にも及んでいる。室内音楽は19曲あり、この作品45は有名な曲だ。1886年に完成し翌年1月パリの国民音楽協会のコンサートで彼自身のピアノにより初演されている。名指揮者のハンス・フォン・ビユーローに献呈されているが、不思議なことに出版譜にはその記述は見られない。フォーレの作風はこの曲を転換点として中期へと入った。技能は円熟しフォーレならではの独創性が随所に表れていると言われている。全体に叙情性に富み力強い中にも心地良さに満ちている
27.1.15 試聴済み
私のCD・・Pf.ジャン・ユボー Vn.レイモン・ガロワ・モンブラン
       Va.コレット・ルキアン Vc.アンドレ・ナヴァラ
       ヴィア・ノヴァ四重奏団
 
ブルックナー 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
         クラウス・テンシュテット指揮
         ベルリン・フィル

これまでに記載済みにつき今回は省略。
27.1.8 試聴済み 本日の盤に同じ
27.10.20  〃   テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
28.1.28    〃   ケンペ指揮 ミュンヘン・フィル
私のCD・・シノーボリ指揮 シュターツカペレ・ドレスデン
 


              私のCD
 フォーレ ピアノ四重奏曲第2番

H29('17)5.23

H29('17)5.16

H29('17)5.9

H29('17)4.25

      私のCD
マーラ 交響曲第1番「巨人」

      私のCD
マーラ 交響曲第1番「巨人」

               私のLP
ショスタコーヴィチ交響曲第5番

     モーツァルト
セレナード第7番「ハフナー」

H29('17)1.17

H29('17)1.12

シベリウス 交響詩「フィンランディア」  「カレリア」組曲  交響詩「ポホヨラの娘」
        悲しき円舞曲  レミカイネンの帰郷
        サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレル管弦楽団

「フィンランディア」
国民音楽の典型作とも言える「フィンランディア」は、フィンランド政府が国民賛歌に推挙し、シベリウスの名を不朽のものとした。13世紀から19世紀初めまでスウェーデン支配下の大公国だったフィンランドは、1809年以降は侵入してきたロシアの支配下に入った。当初は自治権が認められていたフィンランドだったが、ニコライ二世の時代になると属領化が急速に進行した。そのような状況はフィンランドの愛国独立運動に火をつけた。1899年11月ヘルシンキのスウェーデン劇場で愛国劇「歴史的情景」が上演され、この時に劇場音楽を担当したシベリウスはその後、そこから2つの独立した作品を創った。その1つが劇の最終場面「フィンランドの目覚め」に基づく交響詩「フィンランディア」である。荒々しくも美しい自然に囲まれた故国への賛歌を歌い上げるとともに、常に他民族の支配に苦しめられてきたフィンランド民族の叫びが表現されている。重苦しい導入部に始まり、やがて人々の心を鼓舞するような力強い楽想が現れる。讃美歌のような第1主題とフィンランドの民謡風の第2主題、これが次第に展開し金管楽器と太鼓の響きが脈動する。第2主題は弦から木管楽器にそしてチェロ、ヴァイオリンへと変転する。シベリウスが抱くフィンランドへの愛国心は荒々しい感情で示され、管楽器は鳴奏し最高潮へ、壮絶な頂点へと達する。
26.5.13 試聴済み カラヤン指揮 ベルリン・フィル
私のCD・・交響詩「フィンランディア」、「カレリア」 オッコ・カム指揮 ヘルシンキ・フィル

カレリア(以下3曲、初試聴)
シベリウス28歳(1893年)の作品。フィンランドの東南方カレリア地方にある海港ヴィボルクで催された野外劇に付属音楽として作曲されたものから8曲のみ残し、この組曲としている。組曲は、1.間奏曲、2.譚詩曲、3.行進曲で構成されている。カレリア地方は、かつてはフィンランドの領土であったが、ロシアから再三に亘り蚕食されている。現在はロシアの自治共和国の一つになっている。野外劇は歴史的な事件を取材したもので、この地の人々を大いに勇気づけるものであった。民謡を中心にした極めて素朴な音楽だが、それが反って心に残る。

ポホヨラの娘

幻想的交響曲。フィンランドの民謡叙事詩「カレワラ」に基づきその英雄ヴァイナモイネンの物語が、音楽によって繰り広げられてゆく。ヴァイナモイネンが暗い景色の中を橇で滑っているとき、虹に腰かけて金糸で布を織り上げている「北国ボホヨラの娘」を見つける。ボホヨラとは、フィンランド神話に登場する伝説の地名で、ポホラ(北)即ち北の国を意味するらしい。英雄は娘に同行するように誘ってみるが、娘は「自分が課した数々の困難な試練を果たせるような男にしかついて行かない」と答える。その試練とは、彼女の糸巻き車のかけらで船をこしらえるとか、目に見えない結び目に卵を結わえ付けるとか、というものだった。ヴァイナモイネンは熟練した魔術によってこれらの試練を果たそうとするも、悪霊に裏をかかれて自分の斧で負傷してしまう。ヴァイナモイネンは諦めて試練を投げ出し、粛々と旅を続けるのであった。演奏時間13分程度の短い曲。物語については勉強不足で、アットいう間に何が何だか分からないまま終わってしまった。

悲しき円舞曲
「クレオマ」フィンランド語で「死」を意味するが、この劇音楽の中の1曲。
「悲しきワルツ」Op.44-1、「鶴のいる情景」Op.44-2 初めて試聴した。背景も全く分からず、十分に理解できなかった。他に詳しい資料もない。

レミカイネンの帰郷
28.7.14 試聴時記載済み。今回は省略。

シューベルト 交響曲第9番ハ長調「グレイト」
         テォドール・グシュルバウアー指揮 ニューヨーク・フィル

下記試聴時にコメント済みにつき今回は省略。
26.10.9、27.8.6 試聴済み ベーム指揮 ベルリン・フィル
27.1.20、28.10.18  〃   テンシュテット指揮 ベルリン・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル



 

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 作品23
ラフマニノフ    ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
            
 Pf.ヴァン・クライバーン
           キリル・コンドラシン指揮
           フリッツ・ライナー指揮  シカゴ交響楽団

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
作曲されたのは1874年、チャイコフスキーが34歳の時である。発表当時は「構成自体が体裁悪く下品だ」などさんざんな批評で、初演すら叶わなかったが、指揮者兼ピアニストのビューローにこの曲を贈った。そして、彼によって初演され大成功を収めた。これ以来、西欧各地でたびたび演奏されチャイコフスキーの名は一躍世界に知れ渡った。その評価は、単にピアノの技巧が華やかに駆使されているからでなく、西欧風の古典的な様式の中に、ロシアの民謡を巧みに忍び込ませドイツ、フランスにないスラブ特有の感覚を生かした作品になっているからである。第1楽章の印象的な出足が非常に有名だ。ホルンの4つの音から始まり、第1主題がたたみかけてくる。展開部のロシア風の舞曲、壮麗な終結部も圧巻だ。ある人は言っている。この曲はピアノ協奏曲の「女王」だと。そして、「王様」はブラームスの第2番だと・・・。

27.8.4、28.2.23 試聴済み Pf.ギレリス メーター指揮 ニューヨーク・フィル
私のLP・・Pf.ネルソン・フレーア ケンペ指揮 ミュンヘン・フィル
   Lp・・Pf.ソンドラ・ビアンカ バンベルガー指揮 コンセール・ド・パリ管弦楽団

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
彼のピアノ協奏曲の中でも最も有名な曲で、作曲家としての地位を確立した曲、と言われている。しかし、この曲が完成する前、彼の作曲家人生は危機に直面していた。モスクワ音楽院をトップの成績で卒業したラフマニノフは、オペラの発表やピアノの演奏により、将来有望な音楽家として早くも頭角を現していた。そして22歳の時、満を持して交響曲第1番を発表。しかしこれが大失敗に終わったのだ。批評家から浴びせられる手厳しい批評、若きラフマニノフはすっかり意気消沈して全く作曲に手がつかなくなってしまった。周辺の人たちはあらゆる慰めが無駄なことを悟ると、ニコライ・ダール博士の催眠療法に頼ることに。博士が「君は必ず良くなる。次に書く作品は大傑作になる」と暗示をかけると・・・なんとみるみる回復、作曲に取り掛かり始めたのである。“催眠”というと、何やら怪しいイメージもあるが、陰謀による中傷を簡単に受けてしまう純粋な彼には、暗示は最も効果的な手段だったのかも知れない(嘘のような本当の話?)。1900年、ピアノ協奏曲第2番の草案をまとめ、翌年11月彼自身がピアノを担当し全楽章の初演を行った。深刻な感情と緊張した力に満ち、詩的な情緒あふれる作品だ。曲の冒頭雄大な感情を込めてピアノが始まる。これが全管弦楽の発出する主題を誘発し、滑らかな旋律が続く。第2主題は、魅惑と詩情に満ち第1主題と反復される。転じて行進曲風となり、劇的な結末へと運ばれる。第2楽章も良い。夢の中を漂うようなアダージョ、将に法悦の静けさを持った楽章だ。第3楽章は雄渾絢爛を極めている。クライマックスに相応しい最終章だ。
28.8.23 試聴済み Pf.中村紘子 渡辺暁雄指揮 東京都交響楽団
私のLP・・Pf.フィリップ・アントルモン バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル

サン・サーンス 交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン」
          Org.ヴァージル・フォックス
           ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

彼は若いころからオルガニストとしての最高位と言われる、パリのマドレーヌ寺院のオルガニストを務めていた。後にこの交響曲第3番に壮麗なオルガンを加えたのは、彼自身がオルガンの名手だったからだ。彼が51歳(1886年)の時に書き上げたこの曲は、彼が尊敬したリストに捧げられている。16歳の時リストにその才能を認められて以来、生涯リストに心酔していたのであった。曲は2つの楽章から構成されているが、その各楽章がさらに2部に分かれているから、結局普通の交響曲の形式に準じていることになる。第2楽章の後半突如耳に届くオルガンの大音響は、荘厳で気高く美しい。
27.6.16、28.8.2 試聴済み Org.ピーター・ハーフォード デュトワ指揮 モントリオール交響楽団
私のCD・・上記試聴時の盤に同じ



    

      私のCD
ベートーヴェン交響曲第4番

      私のLPジャケット
ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」

      私のLPジャケット
ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」

       私のCD
   フランク 交響曲ニ短調


 H28('16)10.18

           私のCD
モーツァルト 交響曲第38番「プラハ」

    私のCD
フランク 交響曲ニ短調

H28('16)9.13

 H28('16)8.9

ブラームス 交響曲第2番ニ長調 作品73
         大学祝典序曲 作品80 
        レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル

交響曲第2番
この「第2番」は俗に「田園」と呼ばれているが、ベートーヴェンの「第6番・田園」のように標題的な意味や描写的な内容を持っているわけではなく、この曲の伸び伸びとした明るさがほのぼのとした「田園」情緒を有しているからだ。ある人はこの交響曲はブラームスの曲の中で最も優れた作品で、ベートーヴェンをしのぐ内容を持っている、と激賞している。私には些か退屈気味な曲で、その意味がよく理解できない。ただ、最終章の盛り上げはベートーヴェンを超える大げさなものだった。詳細は28.11.8試聴記にコメント済み。
28.11.8 試聴済み
私のCD・・カラヤン指揮 ウィーン・フィル

大学祝典序曲
試聴会初登場。ブラームスは1880年(47歳)に全く性格の異なる演奏会用序曲を2つ作曲している。彼自身「一方は笑い、一方は泣く」と言った「大学祝典序曲」と「悲劇的序曲」である。本日聴いた「大学祝典序曲」はブラームスとしては珍しく陽気で明るい曲だった。ドイツの古い学生歌を取り入れた若々しく喜びに満ちた愉快な曲だった。


交響曲第4番
今回初試聴。チャイコフスキーは全部で6曲の交響曲を作っているが、それらの中で第4番と第5番、第6番の3つは傑作と言われているが、中でもこの第4番の評価は高い。この曲が作られた1877年(37才)という年は、チャイコフスキーの生涯にとっても重要な出来事が立て続けに起こった年である。その一つは、その後13年間も続くことになった富豪の未亡人で音楽愛好家のナジェージダ・フォン・メック夫人からの経済的援助と、手紙による交際が始まったことで、もう一つは教え子のミリューコヴァとの不幸な結婚である。彼はミリューコヴァからの熱烈なプロポーズに押し切られた形で、結婚に踏み切ったが彼女は低俗な女性で、そのためチャイコフスキーは強度のノイローゼとなって僅か2ケ月予でこの結婚は幕となった。この曲は、転地療養のため訪れたイタリアで仕上げられたもので、彼の味わった人生体験が色濃く反映し「人生と運命」をテーマとしたスケールの大きい音楽となっている。この曲を聞くと二人の対照的な女性の落とした影の明暗がはっきりと感じられる。曲は彼の最大の援助者メック夫人に捧げられ、こまごまとした曲に対する詳述が次のように書いてある。ーー第一楽章の初めに出る主題は、この交響曲全体への源泉で運命の前に立つ悲劇的な力である。第4楽章では自分自身について、喜びも悲しみも感じないときには、自分たちの周囲を見よ、世の中を見よ。そこには楽しげな喜ばしい幸福に浸っている人々があるだろう。それを見れば、この世にはまだ楽しみがあることを知るに相違ない。まだまだ純なありのままの幸福があるのだ。、生き甲斐はあるのだ。--
以上のように内容はかなり深刻なものであるにも拘らず、表現なりその感想の明るいところは、彼のその時分の豊かな楽しい境遇の故ではなかったのか・・・。各楽章を通じて第3楽章ピッチカート奏は強く印象に残る。もちろん、最終章の迫力も素晴らしい雄渾且つ絢爛とも言うべきか、チャイコフスキーの手腕が遺憾なく発揮されている。シンバルは鳴り響き弦は狂奔し旋律は疾駆する。
私のCD・・交響曲第5番記載の通り。



完成させている。それらの影響からかこの第2番は俗にブラームスの「田園交響曲」と呼ばれているが、ベートーヴェンの第6番「田園」のように標題的な意味や描写的な内容を持っているわけではなく、この曲の伸び伸びとした明るさがほのぼのとした「田園」情緒を伝えているからであろうか・・・。
私のCD・・カラヤン指揮 ウィーン・フィル


私もこのサン・サーンスの交響曲第3番はお気に入りの一つで、第2楽章第2部の始まりオルガンの荘重な響きはいつまでも心に残る。フランクは遅咲き、大器晩成型と言われているが、事実この曲も死の3年前に書かれ翌年初演されたが、評判は芳しくなかったらしい。交響曲としては珍しく3つの楽章で構成されている。第2楽章のイングリッシュホルンによる旋律は印象的だった。
27.5.14 試聴済み 今回の盤に同じ
27.10.6   〃   マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
私のCD・・ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

とである。死の3年前であった。第4楽章のフィナーレ「歓喜の歌」は誰でも歌える極めて単純な旋律で、日本では年末の風物詩として定着しており、各地でこの合唱が鳴り響いている。今日、東京は気温38度を記録、各地でも猛暑の一日だった。この真夏に聴く「第9」も、広島、長崎の原爆平和記念日への祈りを込めて聴き入るには最適の曲だった。
蛇足ながら、第4楽章の旋律が次第に緊張感を増す中で突如として中断、一転響き渡るバスの「オーフロイデ~」の声は聴くたびに新たな感動を覚える。
26.7.26 試聴済み  ベーム指揮 ウィーン・フィル ウィーン国立劇場合唱連盟
26.8.11    〃     フルトヴェングラー指揮 バイロイト祝祭管弦楽団 合唱団
27.1.20    〃    ヨッフム指揮 ロンドン交響楽団 合唱団
私のLP・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル ウィーン楽友協会合唱団


  ベートーヴェン
交響曲第6番「田園」

H29('17)1.24

     モーツァルト
セレナード第7番「ハフナー」


ピアノ協奏曲第21番
モーツァルトは彼自身がピアノの名手でもあったことから、自分で弾くためのピアノ協奏曲を27曲も書いている。それらの大半は1781年(25歳)に故郷ザルツブルクからウィーンへ出て自活するようになってから作曲されたもので、特に1784年から86年までの3年間だけで第14番から第25番までの12曲ものピアノ協奏曲を作っている。特に第20番から後の8曲はいずれ劣らぬ傑作揃いだ。この第21番は第20番の完成後すぐに作曲され、彼自身の手で初演されて大成功を収めた。第2楽章のアンダンテの優雅な旋律が、スウェーデン映画「短くも美しく燃え」に用いられ、この曲は一躍有名になった。ここにはモーツァルトの悲哀の涙とため息が込められている。
26.6.24 試聴済み Pf.ゼルキン アバド指揮 ロンドン交響楽団

ピアノと管弦楽のためのロンド 二長調K.382 以下の3曲は試聴会初登場  
1782年(26才)の作品で、ウィーンに定住して予約演奏会などを開催し大いに活躍していた頃だ。彼自身は「変奏曲ロンド」と呼んでいたが、本来はピアノ協奏曲第5番ニ長調K.175の第3楽章用として作り、後年書き改めたものであるが今日ではK.382として独立した曲になっている。音の絵巻物を繰り広げるように、踊り立つような喜びの感情を込めた明るい主題が変奏を重ね多彩な表情を表し、華麗なモーツァルトの手法が見える。

ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調K.386
7,8世紀頃に広く用いられるようになった音楽形式に「ロンド」がある。主要楽句を繰り返してゆくもので華美な生き生きとした変化に富んだ形式である。モーツァルトはこれを盛んに用いている。このロンド形式は前記のニ長調K.382とこのK.386イ長調が残されているが、いずれもピアノ協奏曲の第3楽章に充てるために書かれたもので、このイ長調はK.414の第12番イ長調ピアノ協奏曲から取られたもの。先に聴いたニ長調K.382よりも潤いを持ち優美で変化に富んでいる。

ロンド イ長調K.511
手許には何ら資料が無いためWikipediaによれば次の通り。この作品は1787年(31歳)に作曲されている。この年は父レオポルトの死亡を迎えることになる年に重なるが、他の時期に比べ表現力に富んだ作品が多い。ロンドはもともと明るく軽やかで、急速なものが多いがこの曲はそれとは対照的な作品だ。当時の手紙によれば、父の死亡を予感していたらしい。その心情が反映されているのだろうか・・・。そのせいかこの曲から聞こえるのは静かな哀愁なのだ。軽快で明るいモーツァルトの旋律とは一味違うものだった。


クラシック サロン

        私のCD
    ブラームス 交響曲第2番

ハイドン 交響曲第88番ト長調
      交響曲第100番ト長調「軍隊」
      ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団

交響曲第88番
試聴会初登場。1784年から89年にかけてパリのコンセール・スピリチュアルの依頼により作られたもので、通常「パリ・シリーズ」と呼ばれている12曲の内の1つ。ハイドンの円熟期に入る頃の傑作で、ハイドン特有の美しい旋律が展開され豊かな感情を感じさせる曲だ。特に第2楽章ラルゴーは、牧歌的な旋律から始まり荘重な感情を込めて終わり印象に残った。

交響曲第100番「軍隊」
この曲も試聴会初登場。“交響曲の父”と呼ばれるハイドンは、交響曲に「めんどり」とか「哲学者」「校長先生」と言った楽しいニックネームのついた曲が多くある。この曲の「軍隊」と言う名称は、初演の時から既につけられていたと言う。何故そのような名前が付けられたかと言うと、第2楽章と第4楽章にトライアングルやシンバル、大太鼓など当時の軍隊用の打楽器が勢いよく打ち鳴らされ、第2楽章の終わりではトランペットによる軍隊の進軍ラッパが勇ましく吹奏されるからである。しかもリズムが明快で親しみやすい旋律が多く使われているため、発表当時から人気が高かった。

大序曲「1812年」
この試聴会発登場。チャイコフスキーがこの曲を作曲したのは1880年(40才)で、再建されたモスクワの中央大寺院の祝賀演奏会のためであった。依頼したのはモスクワ音楽院院長のニコライ・ルービンシュタインだが、チャイコフスキーは歴史的なナポレオンのロシア遠征のため1812年に焼失した中央大寺院の再建を祝うのに相応しい内容の大序曲を完成した。ナポレオンは60万の大軍でロシアに侵入したものの、結局はロシア軍の抵抗と寒さと飢えのため大敗。それをチャイコフスキーは極めて描写的な手法で音楽にしている。曲は大きく3部に分けられるが、冒頭に奏される荘重な旋律(ギリシア正教の聖歌)によってロシア国民の苦悩が描かれる。やがて太鼓のリズムによってロシア国歌が奏された後、フランス国歌「マルセイエーズ」が断片的に表れ、次第に高まりナポレオン軍の勝利が決定づけられる。そして美しい民謡風の旋律と舞曲風の旋律によって曲は静まるが、この部分はモスクワ市民の抵抗を表したものだと言われる。しかし、それも束の間、ナポレオンとロシア軍の激しい戦いが2つの国歌を巧みに用いて描かれ、フランス国家が次第に遠ざかったのち、冒頭の聖歌が壮麗に奏され最後に国歌が高らかに歌われ絢爛たるクライマックスでロシアの勝利を讃えて曲は終わる。1882年8月20日、中央大寺院の前の広場で初演された時は、最後の部分の大太鼓のパートでは本物の大砲が使用されたとの事。実にドラマチックな曲だった。
私のLP・・ロシア音楽名曲集 バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
      チャイコフスキー 大序曲「1812年」 イタリア奇想曲 スラヴ行進曲
      リムスキー・コルサコフ スペイン奇想曲
      ボロディン 中央アジアの草原にて




    

しかし、貧乏な無名の青年音樂家に大女優が振り向くはずもなく、彼は失意の苦しみの中から「幻想交響曲」を生み出したのであった。「幻想交響曲ーある芸術家の生涯の挿話」、これこそが標題交響曲の先駆けをなすものとして、交響曲史上大きな意義を持つ作品となった。各楽章には長い標題(物語の内容と音楽の展開を暗示する詩文)が付けられているが、要約すると次の通り。
第1楽章・・夢、情熱 情熱と言う病に冒された若い音楽家が、一人の女性に出会い恋に落ちる。恋の幻影が楽想となって絶えず彼を追いかけ、憂鬱な夢想から錯乱に至る様々な感情がこの楽章の素材となっている。
第2楽章・・舞踊会 華やかな舞踊会のざわめきの中に見え隠れする恋の面影。その面影はどこにいても彼の心を苦しめる。
第3楽章・・野辺の情景 2人の牧童が吹く笛の音、そよ風にささやく木々のざわめきは心を癒しかすかな希望をもたらす。しかし、もし彼女に裏切られたら・・・。遠雷の音、孤独、静寂。
第4楽章・・断頭台への行進 愛が拒絶された作曲家はアヘンを呑んで自殺を図り、奇怪な夢をみる。恋人を殺し死刑を宣告された彼は、自分の処刑を目の当たりにする。恋人の面影が一瞬現れるが、オーケストラの一撃によって消されてしまう。
第5楽章・・魔女の夜宴の夢 彼を埋葬するために集まったありとあらゆる妖怪たちの群れ、異様な物音、叫び、不気味な笑い、恋人の旋律がグロテスクな姿で現れる。埋葬の鐘の音がグレゴリオ聖歌「怒りの日」とともに聴こえ、自虐的な滑稽味を帯びてくる。そして、魔女たちのロンド。「魔女のロンド」は「怒りの日」と重ねられ激しく終曲を迎える。まさに幻想の極め付けのような音楽で、大スペクタルのオペラを観ている心地がする。これ以上にドラマチックな音楽があるだろうか・・・。何回聴いても感激一入の音楽だ。後日談。「幻想交響曲」初演後の3年後、ベルリオーズはハリエット・スミソンと結婚した。念願かなって妄想が現実となったのである。メデタシ、メデタシ。
26.6.10 試聴済み アバド指揮 ウィーン・フィル
26.6.24   〃    アバド指揮 シカゴ交響楽団
27.2.19、28.7.26  〃 モントー指揮 ウィーン・フィル
私のLP・・ジョルジュ・プレースト指揮 シカゴ交響楽団   




       私のCD
  サン・サーンス 交響曲第3番


       私のCD
     チャイコフスキー
交響曲第4番、5番、6番(悲愴)

         私のCD
シューベルト 交響曲第9番「グレイト」

      私のCD
 シベリウス 「カレリア」組曲

         私のLP
シューベルト交響曲第8番「未完成」

       私のCD
チャイコフスキー交響曲第5番

26.7.10 試聴済み 本日の盤に同じ
26.9.4、27.7.14 試聴済み  Pf.ゼルキン 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
私のLP・・Pf.ベルミュテ ヴェッヒティンク指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団
   LP・・Pf.ゼルキン バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   CD・・Pf.アラウ ディヴィス指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
   CD・・Pf.仲道郁代 ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

交響曲第5番「運命」
この試聴会でこれまで12回聴いている。実にさまざまなオーケストラ、指揮者の盤で、私にはそれぞれの盤の特徴とか違いは良く分からないが、世評の高い先入観にもよるが、これまでの試聴会の中ではモノラル盤ながらフルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィルの演奏が印象に残っている。過去の試聴会でコメント済みにつき今回は省略。

 H28('16)9.6

     私のLPジャケット
     チャイコフスキー
     交響曲第6番「悲愴」

交響曲とオルガンの組み合わせは実に壮麗な響きで結構行けてる感じ。指揮者のシャルル・デュトワはかつてNHK交響楽団の指揮者としてなじみ深い。その彼の若き時代の演奏が今日聴けたのだ。フランス音楽のスペシャリストとしても高い評価を得ていることが頷ける指揮者振りだった。
27.6.16 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・本日の盤のCD盤

       私のLP 
ホームクラシック名曲全集全12巻

classic salon  No.5

28.4.26 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

ドヴォルザーク
彼はチャイコフスキーと肩を並べるほどの旋律の大家だった。早くから彼の才能を認めていたブラームスは「ドヴォルザークは我々の誰よりもはるかに多くの楽想を持っている。あの男が屑籠に捨ててしまった旋律を集めても交響曲が作られるくらいだ」と言ったという。ドヴォルザークが世に認められた1875年(34歳)に作られたこの曲は、いかにも青年らしい情熱と希望、初々しさに満ち溢れており、ことに第2楽章の流麗なワルツと第4楽章のロマンティックなラルゲットは非常に美しい。私たちが知っているイタリア映画「道」の主題歌“ジェルソミーナ”の哀愁を帯びた旋律にソックリなのだ。偶然の一致か・・・。
28.4.26 試聴済み 本日の盤に同じ


りオーボエの哀愁を帯びた旋律が広がり、荘厳な雰囲気を醸し出す。最終章は音の大伽藍とも言うべき巨大さが圧倒的スケールで迫ってき、心の底から感動を呼ぶ。不思議なパワーに満ちている感じ。これぞブルックナーの魔力なのか・・・。
28.3.17 試聴済み チュリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル
私のCD・・ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団

 

  別 館
  作曲家年表
                 classic  salon (本館)  
    1     2     3    4     5   6

シューベルト 四つの即興曲 作品90 D.899
          四つの即興曲 作品142 D.935
         Pf.ウイルヘルム・ケンプ

ファリャ バレエ音楽「三角帽子」
      歌劇「はかなき人生」より間奏曲と舞曲
      Ms.テレサ・ベルガンサ
      エルネスト・アンセルメ指揮
      スイス・ロマンド管弦楽団

シューベルト 四つの即興曲
2曲とも今回初登場。シューマンはシューベルトのピアノ曲を歌曲に劣らず優れたものだと高く評価し、ベートーヴェンのピアノ曲をもしのぐものだと言い切っている。シューベルトはベートーヴェンとは違って、ピアノの名手でも
     

サン・サーンス ピアノ協奏曲第4番ハ短調 作品44
フォーレ ピアノとオーケストラのためのバラード
      前奏曲ニ長調、ト短調、ニ短調
      Pf.ロベール・カサドシュ
      バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル

サン・サースン ピアノ協奏曲第4番
この試聴会初登場。サン・サーンスは多才な人で交響曲や協奏曲、室内楽曲、器楽曲、オペラ、声楽曲といったあらゆるジャンルの音楽を書いたばかりでなく、ピアノとオルガンの名手として高齢に至るまで活躍している。
 傑作「チェロ協奏曲」や「ヴァイオリン協奏曲第3番」を初め彼の作曲した10曲の協奏曲の内ピアノ協奏曲は5曲ある。いずれの作品も彼自身が優れたピアニストだっただけに、ピアノ独奏部が華やかで極めて技巧的に書かれているのはもちろんだが、全体にフランス的な洗練された

ショスタコーヴィチ
 交響曲第5番ニ短調 作品47

マーラー
 交響曲第1番ニ長調 「巨人」

レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィル

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
マーラーを最後に交響曲の歴史は殆ど終わりかけたかにみえた。しかし、20世紀に入って15曲もの交響曲を書き続けた作曲家がいた。それがソヴィエト・ロシアの作曲家ショスタコーヴィチなのだ。1989年から90年にかけては東欧諸国とソヴィエトが大きく揺れ動き、世界中の注目を集めた。諸方面で自由化が進められたが、経済面では政府の強い統制下におかれ、芸術活動に対しても例外ではなかった。1930年代にスターリンが政権を取って以来、総ての芸術は社会主義リアリズムの線に沿っていなければならないとされ、多くの芸術家が当局の方針に従わないとして社会的に葬りさられた。ショスタコーヴイチも1936年(30才)当局から批判を受けた。そこで彼は誰の目から見ても非難の余地のない作品を発表し、名誉挽回しようとした。こうして発表されたのがこの交響曲第5番なのだ。この曲はよくベートーヴェン・スタイル呼ばれるくらいベートーヴェンの「交響曲第5番」と相通ずるところがある。それは、曲全体が苦悩から克服、歓喜へと言った内容を持っていることや、第1楽章で印象的な主題を巧妙に展開させているところなどに窺える。それ故「現代におけるベートーヴェン・スタイル」と称せられている。手元の資料によれば、第1楽章-幼い時の回想、第2楽章-再び帰らぬ過去への微苦笑、第3楽章-苦悩の涙、第4楽章-あらゆる疑問に対する回答、と記されている。
その後1948年、彼は再び思いもかけぬ批判に晒された。この時は彼れのみならず、プロコフィエフ、ハチャトリアン、カバレフスキーなど国際的に有名な作曲家たちがことごとく俎上に載せられた。西側の作品をブルジョワ的退廃として非難しながら党のイデオロギーを強化しようとしたのである。ショスタコーヴィチは第8、第9交響曲を名指して批判され、彼はこれに応えてオラトリオ「森の歌」を書いた。歌詞は人民の国土建設の姿と党の指導者スターリンの賛歌であった。これにより彼はスターリン賞をもらった。こうして彼は、叩かれては蘇って生き延びレーニン勲章、ソ連邦国家賞、社会主義労働英雄、ソ連邦最高会議代議員などありとあらゆる肩書きをもって世を去っている。皮相的には時の権力に靡き、転向を繰り返しているかに見えるが証言によれば、本日聴いた第5交響曲の発表時、「あそこにどんな歓喜があるというのか。あれは強制された歓喜なのだ。ここの主題は誰にも明白である、と私は思う」と語っている。さらにスターリンの死の直後に書いた第10交響曲の第3楽章までの暗い悲劇性とフィナーレのあまりにも軽快で嬉々とした表情、その奇異なバランスが人々の憶測を呼び、論争を巻き起こした。彼はそこで無言のうちに何かを語ろうとしているのだ。当時の音楽家としてはこれが生き延びるためのギリギリの抵抗だったのかも知れない。
26.5.29、26.8.19 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
26.11.18、26.12.23  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日響
27.9.3、28.11.15    〃   ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル
私のLP・・ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団 26.5.29、26.8.19試聴済みの盤に同じ

マーラー 交響曲第1番「巨人」
下記の試聴時にコメント済みにつき今回は省略。
26.6.5 試聴済み アバド指揮 シカゴ交響楽団
28.11.29  〃   テンシュテット指揮 シカゴ交響楽団
私のCD・・小沢征爾指揮 ボストン交響楽団

 

H29('17)1.31

モーツァルト ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
        ピアノと管弦楽のためのロンド 二長調 K.382
        ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調  K.386
        ロンド イ短調 K.511
        Pf.マリア・ジョアン・ビレシュ
        テオドール・グシュルバウアー指揮 
                      リスボン・グルベンキアン財団室内管弦楽団

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調 作品36
           大序曲「1812年」 作品49
           ユージン・オーマンディ指揮
           フィラデルフィア管弦楽団
           ヴァリィ・ミリタリー・アカデミーバンド

交響曲第4番
前回の試聴時にコメント済み、今回は省略。
29.1.12 試聴済み ロストロポーヴィチ指揮 ロンドン・フィル
私のLP・・ワルター・ゲール指揮 ローマ・フィル
   CD・・クルト・ザンテルリンク指揮 ベルリン・フィル
   

H28('16)12.20

H28('16)12.8

シューベルト 交響曲第9番ハ長調 D.944「ザ・グレート」
         クラウス・テンシュテット指揮
         ベルリン・フィル

どんな名曲でも本当の理解者がないと長く埋もれることが多い。この交響曲もシューマンの発見とメンデルスゾーンの理解が伴わなかったら世に出なかったかも知れない。シューベルトの没後11年目、シューベルトの兄フェルディナンドの手元に保管されていた一山の楽譜の中からシューマンが発見し、メンデルスゾーンがライプチッヒで自ら指揮して初演した。長大な作品で50分余必要とし、ブルックナーとかマーラーに匹敵する時間だ。第2楽章の哀調を帯びた感動的な主題は、流暢なシューベルトの歌謡のようで心地良い。また、終楽章の明快な旋律は心に残る。以下次の試聴記参照。
26.10.9 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
27.1.20
  〃   本日の盤に同じ
27.8.6    〃   ベーム指揮 ベルリン・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル


 

の「交響曲ニ短調」なのだ。重厚さと荘重な雰囲気に満ちたこの曲は、同時期のサン・サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」(私のお気に入り曲の一つ)と共に、フランス・ロマン派の傑作として親しまれている。曲は、交響曲としては珍しく3つの楽章で構成されているが、第2楽章にスケルツォ的な中間部を持つことから4楽章構成と見る向きもある。第2楽章のホルンの旋律が印象的だ。以下次の過去2回の試聴記参照。
27.5.14 試聴済み バーンスタイン指揮 フランス国立管弦楽団
27.10.6   〃   マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
私のCD・・ユージン・オーマンディ指揮 フィアデルフィア管弦楽団

ピアノと管弦楽のための交響変奏曲
この曲はピアノとオーケストラのために書かれた作品で、実質的にはピアノ協奏曲だ。フランクの作品の中でも最も優れた作品の一つであると同時に、数多くあるピアノとオーケストラによる作品の中でも異彩を放っている。曲は「序奏」、「変奏曲」、「フィナーレ」の3つの部分に分けられ、それは協奏曲における3楽章形式と見做すこともできるが、切れ目なく続けて演奏される。
27.10.6 試聴済み Pf.パスカル・ロジェ マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
私のCD・・Pf.ロベール・カサドシュ ユージン・オーマンディ指揮 フィアデルフィア管弦楽団


フランク 交響曲ニ短調
      ピアノと管弦楽のための交響変奏曲
      Pf.フィリップ・アントルモン
      ジャン・マルティノン指揮
      フランス国立放送管弦楽団

交響曲ニ短調
パリ聖クロチルド教会のオルガニストを務め、パリ音楽院の教授として多くの人材を育てたフランク(1822~1890年)は、ドイツ系のベルギー人ということもあってかバッハなどドイツ音楽の影響を受けながらフランス近代音楽への道を切り拓き独自の作風を確立した。サン・サーンス、フォーレらと「国民音楽協会」を設立して、フランスの独自性に根差した音楽の創造を目指した。そのフランクの唯一の交響曲であり、代表作の一つがこ

交響曲第38番「プラハ」
この試聴会初登場。モーツァルトはザルツブルグで生まれウィーンで活躍したが、彼の音楽を大変暖かく迎え入れモーツァルト自身も愛した街がボヘミアの首都プラハであった。プラハは俗に“百塔の街”と言われるほど塔の多い街でその美しい佇まいは今でも古い歴史を偲ばせる。モーツァルトが愛妻コンスタンツェを伴ってプラハを訪れたのは、1787年1月のことであった。その前年、ウィーンで大成功を収めたオペラ「フィガロの結婚」が続いてプラハでも大当たりをとり、その成功をモーツァルト自身の目で確かめてもらいたいという、プラハの音楽愛好家の招待によるものであった。プラハでのモーツァルトの人気は凄いもので、気を良くした彼は早速演奏会を開いて携えていた新作の交響曲を発表したのである。それがこの「第38番」でこの曲もプラハの聴衆から熱狂的に迎えられた、と言う。
私のCD・・ジェイムズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィル

た時、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世も臨席して大成功を博した。元来祝典用に作られた音楽だけに、全編を通じて明るく華麗な美しさに溢れた曲だ。
28.5.24 試聴済み テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
私のCD・・トレヴァー・ピノック指揮 イングリッシュ・コンサート(演奏集団)

交響曲第32番
この試聴会初登場の曲。モーツァルトの交響曲の中で第32番、33番、34番はいずれも3楽章からなり、イタリア風序曲形式のものでメヌエットがない。この32番は、1779年から80年にかけてザルツブルグで書かれたもので、当時ザルツブルグではこういった形式のものが好まれていたようだ。彼は最愛の母とともにパリに旅行したが、そのパリで母を失いザルツブルグに帰って来たものの傷心の日々を送っていた。その悲しみから脱却するかのように創作に没頭しこの曲を作っている。



モーツァルトセレナード第7番ニ長調 K.250「ハフナー」
        Vn.ウィリー・ボスコフスキー
        カール・ミュンヒンガー指揮
        ウィーン・フィル

モーツァルトは生涯に13曲ものセレナードを作曲しているが、その中でも最も大規模なのがこの「ハフナー・セレナード」だ。この時代のセレナードは、現在とは異なり大規模で喜遊曲(ディヴェルトメント)のように4つまたはそれ以上の楽章からなり、室内楽と交響曲の中間に位置するような型式をとっている。この曲は、モーツァルトがまだ故郷のザルツブルグにいた20歳(1776年)の作品で、ザルツブルグの名門ハフナー家の令嬢エ

モーツァルト 交響曲第35番二長調 K.385「ハフナー」
         交響曲第32番ト長調 K.318
         交響曲第38番ニ長調 K.504「プラハ」
         カール・ベーム指揮
         ベルリン・フィル

交響曲第35番「ハフナー」
前述のセレナード第7番を作った6年後、父レオポルトを介してハフナー家から新しいセレナードの作曲を依頼された。それはハフナー家の当主ジークムントが貴族に列せられた祝宴の席で演奏するためのものであった。当初祝典用のセレナードとして6楽章構成で完成され、その後行進曲とメヌエット楽章1つを削り、4楽章構成の交響曲として姿を変えた。1783年3月ウィーンのブルク劇場で初演され

この試聴会で3回目、しかも同一盤である。五味さんはこの盤がお気に入りで他の盤は持っていなかったのだろうか。ベートーヴェンの曲などは指揮者、オーケストラを変えて複数枚持っているものが多いから、チョット不思議な気分だ。ヴァイオリン協奏曲としては有名なメンデルスゾーンやチャイコフスキーなどと比較すると全体に交響曲的な重厚さがあり、やや親しみにくい感じがするが、継続して聴いていると強く惹きつけられる魅力を持った曲だと思う。下記2回の試聴会にコメント済みにつき今回はこれで終了。

ドビュッシー 前奏曲集第1巻
         Pf.モニク・アース

この試聴会2回目。前回27.11.17今回と同じ盤を聴いている。各12曲からなる2巻の「前奏曲集」は、ドビュッシーのピアノ音楽の最高傑作であるばかりでなく、近代ピアノ音楽の最高峰の一つと言われている。フランス印象主義の画家たちが絵の中で光を色で表そうとしたように、ドビュッシーは色彩を音で表そうとした。これは簡単に言えば、旋律よりも音そのもの、つまりハーモニーや音色を大切にするやり方で、彼が長い間研究し続けたこの手法が完璧に用いられている。
1901年(48才)に完成された第1巻の中の「亜麻色の髪の乙女」がヴァイオリン曲やチェロ曲にも編曲され有名になっているが、そのほか「沈め

失意の中にあって、その友人たちの追悼の念を込め作曲を始めた。そのため一つ一つの曲が「○○の追悼に」と記されている。18世紀フランスの古典的音楽の集大成としてこの「クープランの墓」が完成された、と言っても過言でない。後に、管弦楽組曲になっている。
1.前奏曲 繊細優美、なめらかで温かい旋律
2.フォラーヌ イタリアに伝わった舞曲。気品の中に異国情緒を盛り込んでいる。
3.メヌエット 憧れ、想い、柔らかな濃淡の美しい舞曲
4.リゴドン フランスのブロヴァンス地方の舞曲、快活な力に満ちた曲趣
初めて聴いたが、総体に追悼の意が覆い、地方色豊かな舞曲の中にも快活な趣がある反面物悲しさも強く感ずる不思議な曲だった。

「展覧会の絵」
この曲はラヴェル編曲の管弦樂曲をよく聴くが、本日のようなピアノ曲は聴く機会が少ない。ときおりコンサートでプログラムを目にすることはあるが・・・。もともとこの組曲はピアノ独奏曲として作曲されたが、不幸なことに彼の生前には一度も演奏されなかったらしい。死後、管弦楽用に編曲されてから広く知れるようになった。現在オーケストラで多く演奏されるのは冒頭に書いたラヴェルの編曲したもの。変化に富んだ物語性の高い曲で、想像を巡らせながら聴けば結構楽しめる曲だ。本日久しぶりに原曲のピアノ版で聴いたがPf.ワイセンベルクの力強く且つ表現豊かな弾きぶりには恐れ入った。
27.1.20 試聴済み ラヴェル編曲 本日の盤に同じ
27.11.12  〃    ラヴェル編曲 カラヤン指揮 ベルリン・フィル
私のLP・・Pf.アシュケナージ
                                                          
   

ピアノ協奏曲第2番
数多くのピアノ協奏曲の中でも、この曲はグリークやチャイコフスキーのコンチェルトと並んで最もポピュラーな作品だ。この曲の特徴は、主題の旋律がいずれもロマンチックで息が長く、ひとつの歌のように存分に味わえるところにあると思う。ラフマニノフはこの曲の作曲に取りかかる前、長期間に亘って強度のノイローゼにかかつており、殆ど筆をとれない状態になっていたらしい。先に発表した「交響曲第1番」が、批評家たちから手ひどく叩かれ、完全に自信を失ってしまったからである。どんな治療も効果がなかったノイローゼから彼を救ってくれたのは、ダール博士の催眠療法であった。こうして立ち直った再起第1作が1901年(28才)に作曲されたこの曲で、感謝をこめてダール博士に捧げられている。曲はラフマニノフの音楽が持つ抒情性や旋律の美しさが全編にみなぎる作品だ。そのせいかイギリス映画「逢いびき」などいくつかの恋愛映画に使われ、一段と広く知られるようになった。第2楽章アダージォが素晴らしい。夢見るがの如くゆったりと流れる旋律、法悦の境地、これぞまさに恋愛映画にピッタリという感じ。
前奏曲変ホ長調、同嬰ト短調
前奏曲の形式で楽想を盛った小品で、全部で24曲ある。その中の代表的な作品らしい。祭りの日、クレムリン宮殿の鐘の音を聞いて感じたものを小品として残したもの。何となく聞き流してしまい特別な印象はない。
私のLP・・Pf.フィリップ・アントルモン バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル



      

 H28('16)8.23

       私のCD
      モーツァルト
 ピアノ協奏曲第20番、第21番

リムスキー・コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」
        レオポルト・ストコフスキー指揮
        ロンドン交響楽団

この試聴会で過去4回聴いているが、何度聴いても楽しい曲だ。子供の頃読み耽った「アラビアン・ナイト」の妃が主人公で、冒険あり、お色気ありに加えてスリルに満ちた物語で、その雰囲気を音楽としたものだから楽しいのだ。「近代オーケストレーションの大御所」と言われるだけあって、彼の多彩な持ち味が存分に生かされている。特に、全楽章で繰り返されるヴァイオリンの奏でるシェエラザードの美しい主題は素晴らしい。次の試聴記も参照されたい。
27.3.10  28.5.31 試聴済み カラヤン指揮 ベルリン・フィル
28.2.2  28.7.7    〃    アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団

H29('17)4.18

ドビュッシー 前奏曲集第1巻
         Pf.アルトゥーロ・ベネデッティ.・ミケランジェリ

下記の2回の試聴会でコメント済みだが、一つだけ重ねて記しておきたい。第7曲「西風の見たもの」は、このLPコンサートの主人五味康祐が芥川賞を受賞した「喪神」の着想を得た作品だ。
実に荒々しく激しいタッチの曲だった。フランスの西風は大概強風となるそうで、その西風が吹き荒れる様子を大胆に描いている感じで、私がイメージしている普段のドビュッシーとは少し異なるものだった。

H27.11.17 試聴済み 本日に同じ盤
H28.9.27    〃    Pf.モニク・アース

モーツァルト セレナード第7番ニ長調 K250「ハフナー」
         Vn.ウィリー・ポスコフスキー
         カール・ミュンヒンガー指揮 ウィーン・フィル

次の試聴時にコメント済み
27.12.10、28.10.6 試聴済み 本日の盤に同じ

ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
          テオドール・グシュルバウァー指揮 ニューヨーク・フィル

次の試聴時に記載済み、今回は省略
26.12.2 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
28.1.14   〃    プロムシュテット指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
             リスト編曲 Pf.シブリアン・カツァリス
28.6.7    〃
   スウィートナー指揮 ベルリン・シュターツカペレ
私のLP・・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
    


      

       私のCD
 ベートーヴェン/リスト編曲
    交響曲第5番「運命」

ブラームス 交響曲第1番ハ短調 作品68
        レナード・バーンスタイン指揮
        ウィーン・フィル

これまで4回試聴済みで、その都度コメント済みにつき今回は省略。
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.6.25    〃   ベーム指揮
 ウィーン・フィル
28.5.10    〃   テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
28.10.13    〃   フルトヴェングラー指揮 北ドイツ放送管弦楽団
私のLP・・カール・バンベルガー指揮 フランクフルト・オペラ座管弦楽団
   CD・・カラヤン指揮 ウィーン・フィル
 

ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調 (CD)
         スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
         ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
           (2015.10.31 ロンドンフェスティバルホールライブ)

味な主題で始まるが、第2楽章では優しい慰めの主題が広がり、ベートーヴェンの後期作品のような印象を与えるものがあり、第1楽章とは対照的な明るく上向きの主題となっている。
第19番
1828年9月シューベルトは体調を崩し兄フェルディナントの許へ身を寄せた。死の僅か2ケ月前の事だ。しかし彼の創作意欲は衰えず最後のピアノ・ソナタを一気に生み出している。この第19番はその1作目にあたる。のちに「シューベルト最後の作品3大ソナタ」として第20番、第21番と共に出版されシューマンに献呈されている。ベートーヴェンのピアノ変奏曲を意識したことは明らかで、前年に没した偉大なる先輩に対するオマージュとなっている。4楽章形式で最終楽章は舞曲のようなリズムを感じさせる生き生きとしたフィナーレだ。

ラヴェル      組曲「クープランの墓」
ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」
           Pf.アレクシス・ワイセンベルク

ロマン主義の時代はまさに“パッション”の時代だった。革命の情熱、恋愛への情熱、巨大な作品への情熱。19世紀前半のロマン主義の興隆期を担った人々は、過剰とも思われるパッションによって生き、作品を生んだ。その強烈な個性を持ったロマン派の代表選手はベルリオーズであり、リストであり、ワーグナーではなかろうか。中でもこの「幻想交響曲」にまつわるベルリオーズの恋愛ドラマは、まさにこの時代を象徴する物語である。ベートーヴェンが死んだ1827年、24歳のベルリオーズは公演に来ていたイギリス劇団のシェイクスピア劇「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」を観て、舞台の花形女優ハリエット・スミスに熱烈な恋をするところとなった。

       私のCD
      モーツァルト
交響曲第40番、第41番「ジュピター」

        私のLPジャケット
          R.コルサコフ
 交響組曲「シェエラザード」

     私のCD
ブルックナー 交響曲第4番
    「ロマンティック」

モーツァルト 弦楽五重奏曲第3番長調 K.515
          弦楽五重奏曲第4番短調 K.516
         第1Va.ヨセフ・スーク
         スメタナ四重奏団

弦楽五重奏曲第4番(第3番、第4番とも試聴会初登場)
モーツァルトは2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ、1つのチェロの5部からなる弦楽五重奏曲を5つ作っている。父親の死の僅か19日前に作曲されたもので、この曲全体を覆っている暗鬱な気分は、おそらく父親の死を予感したモーツァルトの心境の反映と言われている。この曲はほぼ1年後に書かれた同じト短調の「交響曲第40番」とあたかも兄弟のようにして語ら
   

     私のLPジャケット
            サン・サーンス
           ピアノ協奏曲第4番

      私のCD
  ハイドン チェロ協奏曲

H29('17)4.6

                私のLP
ショスタコーヴィチ交響曲第5番

交響曲第5番
これまで6回試聴済みでコメント済みにつき今回省略。
26.7.1、26.9.9,27.9.3,28.11.15試聴済み ムラヴィンスキー指揮 レニングラードフィル

27.3.24 試聴済み バディス指揮 ロンドン・フィル
27.11.26  〃    リッカルド・シャイー指揮 ウィーン・フィル

私のLP・・ワルター・ゲール指揮 ローマ・フィル
   CD・・クルト・ザンデルリンク指揮 ベルリン・フィル

H29('17)1.5

   私のLPジャケット
  バッハ「マニフィカト」

 H28('16)11.29

H28('16)11.15

ブラームス 交響曲第2番二長調 作品73
        カール・ベーム指揮
        ウィーン・フィル

本日最初に聴いた第1番交響曲が1876年に作られているが、その翌年にこの第2番交響曲が完成している。この第1番交響曲に21年の歳月をかけているだけあって、この第2番は僅かに4ケ月で一気呵成に完成させた感あり。第1番の雄渾壮大な曲に対して、この第2番は明るく軽く伸び伸びとしている。ブラームスは1877年(44歳)の夏、オーストリアの南部ペルチャッハという風光明媚な保養地に滞在、美しいヴェルター湖畔にあるこの町ののどかな風景に大変感銘を受けたのである。そしてこの地の大自然から受けた感動を即興的に綴り、前述の通り僅か4ケ月で作曲を

H28('16)11.8

     私のCD
ブラームス 交響曲第1番

ワーグナーはこの4つの楽章を活動、悲劇、寂境、愛とし真のベートーヴェンの姿が出てきた、と評している。確かに、彼の第1及び第2交響曲はハイドンやモーツァルトの影響を受けているが、この第3交響曲に至って初めてベートーヴェンの姿が現れている、と感ずる点が多い。第2楽章の“葬送の曲”は何回聴いても心に沁みる。最終章の怒涛の如き力強い管弦楽は雄渾で圧倒される。
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
26.10.23  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
26.12.18  〃   フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
27.12.15  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
私のLP・・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィル

ベートーヴェン 序曲「レオノーレ」第3番 作品72-a
          ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮
          ウィーン・フィル 1950.8.22収録

次の通り過去5回試聴済でコメント済みにつき今回は省略。
27.2.10 試聴済み イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル
27.6.25    〃   ベーム指揮 ウィーン・フィル
27.9.17    〃   イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル
27.12.15  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
28.3.24    〃   イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

チャイコフスキー 弦楽セレナードハ長調 作品48
ドヴォルザーク  弦楽セレナードホ長調 作品22
            ネヴィール・マリナー指揮
            アカデミー室内管弦楽団

チャイコフスキー
彼はモーツァルトを神のように敬愛していた。そこで彼がモーツァルトの傑作「セレナード第13番」(アイネ・クライネ・ナハトムジーク)を手本として作曲したのがこの曲。全部で4つの楽章からなり、特に第2楽章のワルツと彼の体臭が滲み出た第3楽章のエレジー、それに最後を飾る「ロシア主題による変奏曲」でさまざまに表情を変えてロシア舞曲を思わせる様で、ハーモニーの美しさも絶妙だ。

        私のCD
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

        私のCD
   ブルックナー交響曲第8番

                私のCD 
    ブルックナー交響曲第5番

オルファールの道
この試聴会で初めて聴いた曲。柔らかい雰囲気で全身を包み込み浮遊感タップリだった。手許の資料、web検索でもこの曲についての資料は皆無、サン・サーンスの作品一覧にも記載なし。

交響曲ニ短調

フランク(1822~1890年)は、パリクロチルド教会のオルガニストを務め、パリ音楽院教授として多くの人材を育てている。彼はドイツ系のベルギー人ということもあってか、バッハなどドイツ音楽の影響を受けながらフランス近代音楽への道を切り開き独自の作風を確立した。さらに、サン・サーンス、フォーレらと「国民音楽協会」を設立してフランスの独自性に根差した音楽の創造を目指した。この曲はそのフランクの唯一の交響曲である。重厚さと荘重な雰囲気に満ちた音楽で、同時期のサン・サーンスの交響曲第3番(オルガン付き)とともにフランス・ロマン派の傑作として親しまれている。

       私のCD
ブラームス ヴァイオリン協奏曲

27.6.18、28.2.2 試聴済み 本日の盤に同じ
私のLP・・Vn.リカルド・オドノポゾフ  カール・バン・ベルガー指揮  フランクフルト・オペラ座管弦楽団
   CD・・Vn.ナージャ・サレルノ・ソレンバーグ エド・デ・ワールド指揮  ミソネタ管弦楽団


サン・サーンス 交響詩「オルファールの道」
フランク      交響曲ニ短調
           レナード・バーンスタイン指揮 フランス国立管弦楽団

H28('16)9.29

H28('16)9.27

ウィーンは1805年と1809年の2回にわたってナポレオン軍の侵攻をうけた。この第5番は1809年(39才)、ウィーンがナポレオン軍によって攻撃されている最中に作曲されている。この曲の「皇帝」と言う呼び名は、ベートーヴェン自身が付けたものではない。これには二つの説があって、一つはその雄渾無比の内容が皇帝の姿を彷彿とさせるからと言うもので、もう一つは古今のピアノ曲を通じて規模の点でも、内容からも皇帝の地位に相応しく立派なものである、と言うものである。いずれにせよ、この曲はベートーヴェンの協奏曲の中でもひときわ男性的で、まさに「皇帝」の名に相応しい絢爛豪華な大曲になっている。ピアノが入った交響曲といった感じ。

   私のLPジャケット
   ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

第14番
この試聴会初登場。コンサートでもあまり演奏される機会が少なく、私の手元には何の資料も無くnet上で調べた結果次の通り。1823年ピアノ・ソナタにおける長いスランプからようやく這い上がった結果の作品。前作は1819年あるいは1817年の5曲まで遡る。しかし、前年の1822年にはソナタ風の要素を持った「さすらい人」幻想曲を作曲し、ピアノ・ソナタ分野に自信がついたものと思われる。第1楽章は暗く不気

   シューベルト
 ピアノ・ソナタ 第19番

本日を含めてこの試聴会5回目。自宅でもしばしば聴いているが何度聴いても全体を包む暗く絶望的な響きは身に染む。これまでにそれぞれコメント済みにつき今回は省略。
26.6.3  試聴済み アバド指揮 ウィーン・フィル
27.10.22   〃   ビシュコフ指揮 アムステルダム・
コンセルトヘボウ
27.10.29   〃   本日の盤に同じ
28.6.7     〃   ザンデルリンク指揮 ベルリン・フィル
私のLP・・ミンシュ指揮 パリ音楽院管弦楽団
   CD・・レーバー指揮 モスクワ交響楽団
   CD・・ザンデルリンク指揮 ベルリン・フィル

チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」
            ロリン・マゼール指揮
            クリーヴランド管弦楽団

「クープランの墓」
この試聴会初登場。オーケストラの魔術師と言われたラヴェル独特の色彩豊かな音楽だ。初期フランスの作曲家クープラン(1630~65年)を尊敬していた彼は、クープランを含めた音楽全般への捧げものいわゆるオマージュを書こうと思い立ち、1914年にこの曲の構想を練り始めた。しかしその直後、第一次世界大戦が勃発ラヴェル自身も野戦病院の病院車運転手として従軍した。その後1916年健康を害しパリに戻ったが、時を経ずして愛する母親が亡くなった。その母が伝えたバスク人の血というものを強く意識するようになった。大戦で多くの友人を失い

私のLPジャケット
 ムソルグスキー
組曲「展覧会の絵」





サン・サーンスの作品で最も親しまれているのは組曲「動物の謝肉祭」だ。その中の「白鳥」は独立の器楽独奏曲としても有名で、私も大好きな曲だ。特にチェロの演奏が素晴らしい。この曲は有名な舞踊家アンナ・パブロワが「瀕死の白鳥」として踊り、一躍世界的な名声を博した。しかし彼の代表作と言えばこの交響曲第3番だろう。楽章は第1及び第2の2つに分かれているが、その各章がそれぞれ2部に分かれているから結局、4楽章編成となり普通の交響曲の形式に準じている。楽譜には傾倒していた「リストを追慕して」と記されている。リストはこの曲の初演後2ケ月の後亡くなっている。オルガンの音が弦とともにリズムを深め、神秘的な雰囲気が醸し出される。

サン・サーンス 交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」
        Org.ピーター・ハーフォード
        シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団 

ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 作品97「大公」
          Pf.中村紘子
          Vn.海野義雄
          Vc.堤 剛

この試聴会2回目、約2年ぶりだが改めて聴き入った。チェロの好きな自分には、この盤のVc.堤剛の音色に大感激。ベートーヴェンは10曲を超えるピアノ三重奏曲を作っているが、この曲は最後の作品で最も傑出しており、この種の室内楽曲の中でも王者の貫録を持った傑作だ。作られた1811年ごろは「交響曲第5番(運命)」や「第6番(田園)」、「ヴァイオリン協奏曲」などの名作が相次いで生み出された時代だっただけに、この曲も交響曲的な雄大なスケールを持ち、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3つの楽器が渾然一体となった品格の高さが素晴らしい。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
        前奏曲変ホ長調  前奏曲嬰ト短調
        Pf.中村紘子
        渡辺暁雄 指揮
        東京都交響楽団
本日のレコードコンサートは、中村紘子の追悼コンサートとなった。後記のベートーヴェン「ピアノ三重奏曲」、ショパン「スケルツォ」ほかも全て彼女の演奏である。彼女は今年(2016)7.2死去したが、1965年ショパン国際ピアノコンクールで最年少入賞を果たし、その後国際的ピアニストとして活躍、後年は同コンクールの審査委員も務め、世界の音楽界にも大いに貢献している。桐朋学園の出身で第1期生の仲間には、国際的指揮者・小沢征爾、チェロの国際的な奏者・堤剛などがいる。後記のベートーヴェン「ピアノ三重奏曲」にはPf.中村紘子、Vc.堤剛が演奏している。

           私のLPジャケット
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

ベートーヴェン 交響曲第2番ニ長調 作品36
          交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱」

          S.ヘレーナ・ドゥーゼ
          A.マルガ・シュイムル
          T. ペーター・シュライアー
          Bs.テオ・アダム

          ライプツィヒ放送合唱団
          ドレスデン国立歌劇場合唱団
          オトマール・スウィトナー指揮
          シュターツカペレ・ドレスデン 

交響曲第2番
この試聴会初登場。1801~02年、ベートーヴェン31~32歳のころ、ウィーンの郊外ハイリゲンシュタットで作曲された。自分の聴覚に異常を感じ始めて既に数年経っており、種々の治療をしたものの効果なく、絶望の淵に陥っていたころだ。彼は耳の病や体調を気遣って滞在中のハイリゲンシュタットで2人の弟あてに手紙を書いている。これがあの有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」だ。この手紙の中でベートーヴェンは、耳が聞こえない不安や絶望、屈辱を赤裸々に告白し、今の自分にとって死は余りにも早すぎる、しかし一方でこの屈辱的な苦悩から解放されることを考えればそれも本望である、と言うような不安定な精神状態をも曝け出している。
このような精神的なダメージの大きい中であったにも拘らず、この作品が健康的な情熱や生命力にあふれた作風になっているのは、ベートーヴェンの不屈の精神力に、この頃経済的に安定した生活の見通しがついてきたことがその要因の一つと考えられる。即ち、カール・リヒノスキー公爵から年金を受けられるようになったことや、楽譜の出版にも道が開けてきたことによる。また、女性関係も大きく影響している。ジュリエッタという女性に心をときめかせ彼女に作品27ピアノ・ソナタ「月光」を捧げている。しかし、このような幸せは長くは続かなかった。遺書まで書くような惨憺たる状況にも拘らず、健康的な明るさと喜びに溢れた作品を創ったのはベートーヴェンの不屈の精神力の賜物だろう。ロマン・ローランは記している。「この交響曲には彼の青春の恋愛が反映されている。彼の意志は断固として勝ち、哀しい思いは追い出されている」と。
私のCD・・フランス・ブリュッヘン指揮 18世紀オーケストラ(古楽奏者の集団)

この交響曲第4番は一番の傑作として知られている。第1楽章のゆったりした序奏から始まり第2楽章ではオーボエとチェロによる哀調のある主題が展開する。第3楽章のスケルツオの冒頭部分も良い。第4楽章フィナーレは、シューマンの生き生きした能動的な情熱を感じさせ全体を充実した昂揚に導いている。この交響曲は楽章を区切らず、全曲通じて演奏される珍しいタイプだ。
27.10.22、28.3.31 試聴済み 本日の盤に同じ
28.1.21 試聴済み クーベリック指揮 バイエルン放送管弦楽団
私のCD・・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル

  

シューマン 交響曲第4番ニ短調 作品120
        クラウス・テンシュテット指揮 ベルリン・フィル

      私のCD
 シューマン 交響曲第4番

H28('16)8.2

  私のLPジャケット
  ドヴォルザーク
チェロ協奏曲 作品104

ブラームス 交響曲第1番ハ短調 作品68
        ウイヘルム・フルトヴェングラー指揮
        北ドイツ放送交響楽団 1951.10.27収録

有名な指揮者ビューローは、これはブラームスの作ではない。むしろベートーヴェンの第10番交響曲ともいうべきものだろうと評している。実際にあらゆる大作曲家の処女作としての交響曲中、これほど円熟し完成している曲はない。ブラームスはこの曲のため約21年の歳月を費やしている。即ち、32歳ころから下書きにかかり慎重に推敲を続け1876年ブラームスが43歳の時になって完成したのである。同年、初演されたベートーヴェンの「不滅の交響曲」が目の前にあるため、ブラームスもよけいに慎重に取りかかったのであるが、結果的にベートーヴェンの

 H28('16)10.6

ブラームス ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品77
        Pf.ジノ・フランチェスカッティ
        レナード・バーンスタイン指揮
        ニューヨーク・フィル

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(第2、3、4楽章)
         ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
         ベルリン・シュターツカペレ
         第2,3楽章1944.6.28
           第4楽章(ステレオ)1994.9.29ベルリン放送会館
注.本日は時間の関係で第1楽章はカット、この第4楽章の原盤はステレオで収録されており、これは世界初のステレオ盤と言われている。

ブルックナーはオーストリアのリンツ近郊アンスフェルデンに生まれた。この村にはヨーロッパ屈指のパイプオルガンが備え付けられた聖フロリアン修道院があり、彼はこの修道院の大オルガンの下で眠っている。こ
 

ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14
        シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団

H29('17)6.6

   私のLPジャケット
 The most beautiful music
            in the world

 シューベルト 四つの即興曲

     私のLPジャケット
 チャイコフスキー大序曲「1812年」

チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 作品64
            交響曲第4番ヘ短調 作品36 
            ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮
            ロンドン・フィル
           

リザベートの結婚祝いの宴席のための曲として作られた。華やかなこの曲は全曲を通じて演奏すると1時間近くを要する。もっとも、当時は現代のように全曲一気に演奏されたわけではなく、適当に分割して演奏されるのが普通で人々はこの素晴らしい音楽をBGとして、きままなおしゃべりを楽しんでいたようだ。第2楽章ではヴァイオリンの独奏もあり、全曲通して聴いても飽きることはない。
27.12.10 試聴済み 本日の盤に同じ

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73「皇帝」
          Pf.グレン・グールド
          レオポルド・ストコフスキー指揮
          アメリカ交響楽団

交響曲第9番「合唱」
まさにこの9番はベートーヴェンの生涯の音楽と思想を凝縮した巨大な作品だ。彼はこの最後の交響曲において、自らの思想を集約して表現するに相応しい型式を創りだしたのである。ブルックナーやマーラーの長大な交響曲が現れるのは「第9」から50年以上も経ってのことであるから、この当時「第9」がいかに驚異的な作品であったことか・・・。斬新だったのは第4楽章に声楽を加えたことだ。当時としては、大冒険だったが、見事に成功させ音楽史上不滅の傑作を生みだしたのであった。
これに用いられたシラーの詩「歓喜に寄す」は、“愛と平和と喜び”をテーマとしたヒューマニズムと人類愛を讃えたもので、ベートーヴェンの十代の終わりの頃であったが、この詩に深く共鳴しこれに曲を付ける、と意志を固めていた。その宿願を果たしたのが実に40年後の1824年(54才)のこ

ドヴォルザーク ピアノ協奏曲ト短調 作品33
       Pf.ブルーノ・リグット ズデニク・マカル指揮
       フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団

今回初登場。ドヴォルザークはピアノ、ヴァイオリン、チェロのための協奏曲をそれぞれ1曲ずつ書いている(チェロ協奏曲は若いころの作品が発見され2曲となっている)。このピアノ協奏曲はあまり演奏される機会がなく、これまでに聴いたことがなかった。Wikipediaによれば1876年秋の作曲だ。評論家によれば「ピアノ・パートが効果的に書かれているとは言いかねるも、魅力的な協奏曲」と記している。管弦楽に重点をおいた交響的な楽曲で、ピアノの独奏部があまり目立たない感じだった。

                  私のCD
モーツァルト ピアノ協奏曲第21番

         私のCD
       サン・サーンス
     交響曲第3番「オルガン」

            私のLPジャケット
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
ラフマニノフ    ピアノ協奏曲第2番

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
          ウイルヘルム・フルトヴェングラ指揮
          ベルリン・フィル 1952.12.7収録

ベートーヴェンは、当時巻き起こっていたフランス革命に多大の関心を持っていた。彼はナポレオンを理想の英雄と見てこの第3変ホ長調交響曲をナポレオンに献呈する予定だった。ところが、ナポレオンは即位を宣言してフランス皇帝についたので、ベートーヴェンは失望し総譜を破ってしまった。そしてある英雄の想い出を祈るための“英雄交響曲”と記したのである。この曲は1804年完成、同年12月にロブコヴィッツ公邸で私演され、翌年7月公演されロブコヴィッツ公に献呈された。
 

                 私のCD
チャイコフスキー弦楽セレナード

デルスゾーンの指揮により1844年5月ロンドンで演奏してから大変有名となり、今日の名声を得るに至った。彼がこの曲を書いた時代は、オーストリアがフランスに占領されていた時代であるが、ベートーヴェンの最も幸福な時代で創作意欲は旺盛で芸術作品の数多く創られた頃である。独奏楽器としてのヴァイオリンは、広大な構想と豊かな情緒をもって燦然と輝き、円熟したベートーヴェンの手法によって新しい天地を築いたものと言える。第1楽章の終わりのカデンツァは、ヴァイオリン奏者の技巧を示す部分で、ベートーヴェンの深い意図が伝わる。
27.9.8 試聴済み Vn.メニューイン フルトヴェングラー指揮 フィルハーモニア・オーケストラ
28.5.19  〃   本日の盤に同じ
私のCD・・Vn.アンネ・ゾフィー・ムター クルト・マズア指揮 ニューヨーク・フィル

ブルックナー中期の傑作でスケールの大きさが目立つ。本日の盤も75分の長大なものだった。敢て表現すれば、ヨーロッパで目にする巨大なゴチック様式の大聖堂を仰ぎ見るような感じか・・・。聳え立つその姿には完全に圧倒される。第1楽章の荘重な導入部から印象的な主題が何度も繰り返され、早くもブルックナーの醍醐味が味わえる。第2楽章に入

る寺」や、第2巻の「水の精」「夜火」なども単独でよく演奏されている。本日聴いた第7曲「西風の見たもの」は、学芸員の話によれば、五味康祐が芥川賞を受賞した作品「喪神」の着想を得た作品とのこと。実に荒々しい激しいタッチの曲だった。小説「喪神」は未読にて果たしてどのように繋がるのだろうか・・・。手許の資料によれば「西風の見たもの」の曲想は次の通り。「夜明けの蒼白い微光の世界を横切って過ぎ去った幻影、夜の恐怖、海の怒号の中を苦しい叫び声が通る」と、あった。別の本では「フランスの西風は、ふつう強風となるそうで、その西風が激しく吹き荒れる様子を技巧的に大胆に表現されている」とあり、私の感じた音楽のイメージと同じで納得した。
27.11.17 試聴済み Pf.アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェロ
私のCD・・亜麻色の髪の乙女「珠玉のピアノ名曲集」に収録 Pf.江原郊子

ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」
          カンタータ「静かな海と幸福な航海」 作品112
          合唱 ジョン・オーディス合唱団
          ピエール・ブーレーズ指揮
          ニューヨーク・フィル
 

シューベルト ピアノ・ソナタ第14番イ短調 D.143
          ピアノ・ソナタ第19番ハ短調 D.958
          Pf.ハンス・リヒター・ハーザー
 

H28('16)8.30

ショパン スケルツォ 第2番       夜想曲第5番
      ポロネーズ第6番「英雄」  練習曲「別れの曲」
      Pf.中村紘子
スケルツォ
スケルツォはベートーヴェンが交響曲やソナタの第3楽章に好んで用いた形式である。スケルツォはベートーヴェンによって快活で力強い性格を持つようになった。ショパンはピアノ独奏用のスケルツォを4曲書いている。リストが言っているが、ショパンのスケルツォには「やり場のない怒りや絶望の気持ちがそのまま表れたもの」で憂愁の気分が色濃く立ち込め、時には激しい感性のほとばしりがみられる、と言うように大変男性的な音楽になっている。この第2番は美しい音色で柔らかく表現した部分と、それとは対照的に鋭くデモーニッシュな性格とを巧みに描き分けながら男性的な豪快さで作品を引き上げている。

    私のLPジャケット
 ベルリオーズ 幻想交響曲

  別 館
  作曲家年表
                 classic  salon (本館)  
    1     2     3    4     5   6

       私のCD
ハイドン交響曲第101番「時計」

ラヴエル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」
      エルニスト・アンセルメ指揮
      スイス・ロマンド管弦楽団

27.8.11 試聴済み ミュンシュ指揮 パリ管弦楽団
  〃    〃   カラヤン指揮 ベルリン・フィル
それぞれコメント済みにつき今回は省略。

ドヴォルザーク チェロ協奏曲ロ短調 作品104
フォーレ     チェロと管弦楽のためのエレジー 作品24
                      Vc.ヤーノシュ・シュタルケル
          ワルター・ジェスキント指揮
          フィルハーモニア管弦楽団                                       

       私のCD
   ブラームス 交響曲第1番

     私のCD
シューベルト 交響曲第9番

 H28('16)10.4

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
          Vn.ギドン・クレメル
          ネヴィル・マリナー指揮
          アカデミー室内管弦楽団
指揮者ネヴィル・マリナー(イギリス1924.4.15-2016.10.2)一昨日死去満92歳、本日は3曲とも彼の指揮で追悼コンサートとなった。2015年までに過去5回N響の客演指揮者として来日している。

いかなる名曲も最初のスタートが悪いと、埋もれてしまうことがある。この傑作も、最初の演奏者クレメント・トマシーニ、ヴュータン等の当時の名手たちがそれぞれ演奏したが、いずれも成功しなかった。そして長く埋もれていたが、ヴァイオリンの名手ヨアヒムがメン
    

の第8番は、ブルックナー自身最も美しい交響曲と考えていたと伝えられている。ブルックナーは60歳にしてようやくその作品が認められ、第7番交響曲で一応成功したのであるが、その成功の力を得てこの第8番を完成したと言う。全体で90分近い長大な作品で、特に第3楽章のアダージョは美しい。晩年のブルックナーが到達した深い精神性が見事に表れており、彼の交響曲の総てがここにある。
27.8.27、28.1.21 試聴済み ケンペ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
28.3.24 試聴済み チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル
私のCD・・ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団


  

  ドビュッシー
  前奏曲集第1巻

     私のLPジャケット
ベートーヴェン交響曲第5番「運命」

       私のCD
      ベートーヴェン
     ピアノ三重奏曲第7番

副題に「大公」とつけられているのは、ベートーヴェンの最も有力な後援者の一人で、終生変わらぬ友情で結ばれていたルドルフ大公に捧げられているからで、彼はこの曲の外にも「ピアノ協奏曲第5番(皇帝)」など多くの曲を捧げてその厚い友情に応えたのであった。冒頭ピアノにより第1主題が始まり、直ちにヴァイオリンで反復されチェロとピアノが伴奏する。優雅な柔らかい旋律がチェロによって演出されると、ピアノは優しく高音から低音へと走る。ピアノが歌うときヴァイオリンとチェロは従い、チェロが語る時ピアノとヴァイオリンは応答する。あたかも気の合った3人の友人が語らうようである。まさに、三重奏の醍醐味なのだ。
26.8.5・・試聴済み Pf.オボーリン Vn.オイストラフ Vc.クヌーシェヴィッキー
私のCD・・Pf.アシュケナージ Vn.パールマン Vc.ハレル

彼が最初の交響曲を完成するのは1841年、31歳のことである。それまでの作品は殆どピアノ曲に限られていた。その後結婚を機に歌曲に集中し「ミルテの花」(ゲーテ、ハイネ、バイロンなどの詩による)など百数十曲もの作品を一挙に作曲している。さらに交響曲、弦楽四重奏曲など室内楽ばかりに集中する。シューマンは結婚の前年ウィーンにシューベルトの兄フェルディナンドを訪ねた折、シューベルトの交響曲第8番ハ長調(従来の第9番)の楽譜を発見し、メンデルスゾーンがそれを初演した。シューマンはこの交響曲を聴いて大感激し、それが刺激となって交響曲に取り組み始めた。結婚後の精神的な安定と自信が彼の想像力の充実をもたらした。。

           私のLPジャケット
ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」