クラシック サロン

classic salon  No.6

H29('17)8.1
シューベルト 交響曲第8番ロ短調D.959「未完成」
         交響曲第9番ハ長調D.944「グレート」
ワーグナー  楽劇「ニュルンベルクの名歌手」第1幕への前奏曲
         カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル 1975.3.20NHKホール・ライブ

この試聴会もH26('14)5.13に第1回を聴いてから3年3ケ月経過、約450曲ほど聴いたことになる。皆勤ではないのでこの間、実に多くの名曲がかけられたわけだ。直近の6、7月は病気その他で全く参加できず、本日久しぶりの参加となった。次第に重複した曲が多くなり、今後は試聴会の記録に留め、初試聴の曲に限定してメモることにしたい。

シューベルト 交響曲第8番「未完成」
26.10.9 試聴済み 本日の盤に同じ
27.9.3     〃   ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル
27.9.29   〃   シノボリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
27.10.20   〃  テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
28.4.19   〃  フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
28.11.15   〃  27.9.3に同じ
私のLP・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
        LP・・バンベルガー指揮 パドル―管弦楽団
        CD・・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団 

シューベルト 交響曲第9番「グレート」
26.10.9 試聴済み 本日の盤に同じ
27.1.20、28.10.18   〃   テンシュテット指揮 ベルリン・フィル
27.8.6    〃   ベーム指揮 ベルリン・フィル
29.1.5       〃    グシュルバウアー指揮 ニューヨーク・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクの名歌手」
26.10.9、10.16、27.7.30 試聴済み 本日の盤に同じ
私のLP・・バンベルガー指揮 フランクフルト・オペラ座管弦楽団
   CD・・ベーム指揮 ウィーン・フィル(本日聴いたものと同じ音源)


H29('17)8.8
ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調 作品13「悲愴」
          ピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2「月光」
          ピアノソナタ第23番ヘ短調 作品57「熱情」
          Pf.グレン・グールド
26.6.12試聴済み 本日の盤に同じ
26.9.9、27.1.15  〃
  第23番「熱情」のみ Pf.アラウ
27.1.27  〃  第8番「悲愴」、第14番「月光」、第23番「熱情」 Pf.ケンプ

私のLP・・第8番、第14番 Pf.ワルター・ギーゼキング
      第14番 Pf.フィリップ・アントルモン
   CD・・第8番、第14番、第23番 Pf.ウラディーミル・アシュケナージ
       第23番 Pf.仲道郁代

ファリャ バレー音楽「三角帽子」
      歌劇「はかなき人生」から 間奏曲と舞曲
      ソプラノ テレサ・ベルガンサ
      エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団
29.5.9試聴済み 本日の盤に同じ
「三角帽子」
当時ヨーロッパのバレー界に旋風を巻き起こしていた、バレー・リュッスの主宰者で辣腕の興行師であったディアギレフの依頼で作ったのがこの「三角帽子」。スペイン・アンダルシァ地方を舞台として美しい粉屋の女房に横恋慕する好色な代官を、村人たちがやっつけるという痛快な物語。題名となっている「三角帽子」は、その代官がかぶっているもので、いわば権力の象徴なのだ。全編に強烈なスペイン色が立ち込めており、冒頭のティンパニが力強く打ち鳴らされ、鮮やかなカスタネットの響きが聞こえてくると、途端に心はスペインに飛ぶ心地がする。本日の盤の指揮者アンセルメは、若いころディアギレフの主宰するロシア・バレー団の指揮者を務めており、その時初演した作品の中にはこの「三角帽子」も含まれていたという。そうした彼だけあって、冒頭の金管の旋律やカスタネットの音、手拍子そしてソプラノ・ベルガンサの歌う悩ましい歌声などを聴いただけで、強烈に惹きつけられる魅力を持っている。大昔、1週間スペインを旅行した時のことが昨日のように浮かんできた。

H29('17)8.17
モーツァルト 交響曲第25番ト短調K.183
         交響曲第40番ト短調K.550 
         イシュトヴァン・ケルテス指揮 ウィーン・フィル
交響曲第25番
26.6.19 試聴済み ワルター指揮 ウィーン・フィル
26.8.28   〃    本日の盤に同じ
私のCD・・ジェイムズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィル
交響曲第40番
26.6.19 試聴済み ワルター指揮 ウィーン・フィル
26.8.28   〃    本日の盤に同じ
27.2.24   〃    フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.8.20   〃    スウィトナー指揮 シュターツ・カペレ・ドレスデン
29.6.6    〃    テイト指揮 イギリス室内管弦楽団
私のLP・・ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
   CD・・ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィル
   CD・・フィリップ・ギブソン指揮 ロンドン交響楽団

ブラームス 交響曲第1番ハ短調 作品68
        イシュトヴァン・ケルテス指揮 ウィーン・フィル
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.6.25   〃    ベーム指揮 ウィーン・フィル
28.5.10   〃    テンシュテット指揮 ロンドン・フィル
28.10.13   〃    フルトヴェングラー指揮 北ドイツ放送交響楽団
28.11.8   〃    バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル
私のLP・・カール・バンベルガー指揮 フランクフルト・オペラ座管弦楽団
    CD・・カラヤン指揮 ウィーン・フィル
26.5.27試聴時にも記しているが、ある指揮者はこの曲はベートーヴェンの第10番交響曲だ、と語っている。第1番にしてはそれほど円熟し完成度が高いということだ。これの完成のため実に21年(22歳から43歳)の歳月をかけているのも十分に頷ける。久しぶりに聴いていると、第2楽章などは夢幻的な愁いを含む瞑想的な感じに満ちており、ブルックナーの曲を連想させるものがあった。

指揮者 イシュトヴァン・ケルテス(1929~1973年)
自分にとってはあまり馴染みのない指揮者のため、その経歴を記しておきたい。
ハンガリー出身、ベルリン・フィル、ロンドン・フィルなどの首席指揮者を務めている。1968年日本フィルでも客演指揮。1973年4月イスラエル・フィル客演の時、テルアビブの海岸で遊泳中高波にさらわれ溺死、43歳の若さだった。ケルテスの最期は日本を代表するバス歌手岡村喬生著「ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ」(新潮社1983年)に記載あり。

H29('17)8.24
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 作品19
          ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37
          Pf.ウイルヘルム・バックハウス
          ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル

これら2つのピアノ協奏曲は試聴会初登場。27.8.20の試聴会で第4番は聴いている。ベートーヴェンはピアノ協奏曲を5曲残しているが、前記の第4番が最も抒情的で幻想的な雰囲気を持っており人気も高い。ピアノ協奏曲という形式は、モーツァルトによって土台が築きあげられベートーヴェンによって立派に完成された。モーツァルト(27曲)に比べてその数が大幅に減っているのは、一つには作品の内容がモーツァルトの時代に見られるサロン的な軽いものから、交響曲を思わせるかのような密度の濃いものに変わっていったからである。ベートーヴェンがウィーンの楽壇にデビューしたのは、最初は優れた腕前のピアニストとしてであった。彼は公開の席上で当時の名だたるピアノ名人たちと競演して圧倒的な勝利を収めている。彼の作曲した5曲のピアノ協奏曲は、そうした優れたピアノ演奏家としての一面を語るもので、第5番「皇帝」以外の4曲はいずれも彼自身が独奏を受け持って初演されている。第1番や第2番はまだ先輩ハイドンやモーツァルトの影響が強いと言われているが、1803年(33歳)に完成された第3番以降はベートーヴェンらしさが前面に出ており、スケールも一段と大きくなってきている感じがする。
私のLP・・Pf.バックハウス ベーム指揮 ウイーン・フィル

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
          オトマール・スゥイトナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
26.10.23、27.12.15、28.12.8 試聴済み スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
26.12.18、28.10.13 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
29.4.25 試聴済み マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
私のLP・・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィル

H29('17)8.29
バッハ ヴァイオリンとハープシコードのための六つのソナタ
     第1番ロ短調 BWV1014  第2番イ長調 BWV1015  第3番ホ長調 BWV1016
     第4番ハ短調 BWV1017   第5番ヘ短調 BWV1018   第6番 ト長調 BWV1019
     Vn.ハイメ・ラレード Pf.グレン・グールド

ヴァイオリン・ソナタというと、どちらかと言えばヴァイオリンを中心に展開して行く音楽と思いがちだが、バッハのこの作品群はヴァイオリンとハープシコード(チェンバロ)が殆ど対等に活躍する。そして和やかな対話のような作品なのだ。Pf.のグールドは一生を通じてバッハの音楽を深く追求し、独自の世界を切り拓いたピアニストだけあって、ヴァイオリンと織り成す音色は清澄感があり素晴らしいものだった。第1番から第6番まで全曲を通じて聴いたのは初めてだが、オーケストラと異なりヴァイオリン、ピアノの音色が単独で奏されその音色は心に沁みた。
26.6.3 試聴済み 第4番~第6番 Vn.Pf.今回に同じ
28.7.7   〃    第1番~第3番     〃
28.7.12   〃    26.6.3に同じ 


H29('17)9.5
ベートーヴェン/リスト編曲 交響曲第5番「運命」ハ短調 作品67
                  Pf.グレン・グールド
27.6.16 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・本日のLP盤をCD化したもの

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(原典版)
         カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル
27.8.27、28.1.21 試聴済み(ハース版) ケンペ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
28.3.24 試聴済み チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル
28.9.13   〃    (第2~第4楽章) カラヤン指揮 ベルリン・シュターツカペレ
私のCD・・ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送管弦楽団(ハース版) 

H29('17)9.12
チャイコフスキー 弦楽セレナードハ長調 作品48
            
 ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
H28.4.26、28.10.4 試聴済み 本日の盤に同じ

ウラディーミル・ホロヴイッツ イン・コンサート1966 カーネギー・ホール
ハイドン ピアノソナタ第2番 ヘ長調
今回初試聴。ハイドンはピアノソナタを約50曲ほど作っている。28歳頃から第2曲のイギリス訪問の頃までのほぼ総ての作曲活動の時期に及んでいる。但しこれらのソナタは、厳密な意味でいうとピアノソナタではなくクラヴィアのためのソナタである。
シューマン 花の曲 変二長調
今回初登場。1838年~1839年ウィーン滞在中の作品。「アラベスク」作品18や「フモレスケ」作品20もこの頃の作品だ。この「花の曲」は、ウィーンの画家たちが好んで描いた花たちを題材とした抒情的な作品。彼自身が番号を付けた5つの楽想の連結により成っている。
スクリャービン ピアノソナタ第10番
初登場。スクリャービン(1872年~1915年)はモスクワ生まれ。父は法律家で母は有名なピアニストだった。しかし彼の出生後間もなく世を去り、叔母に引き取られ5歳の時からピアノを学んでいる。長じてモスクワ音楽院でピアノ教授となり、1906年にはアメリカに渡りカーネギーホールで演奏会を催し、更に全米各地を歩いて大成功を収めている。
ドビュッシー 喜びの島 イ長調
初登場。愛の女神ヴィーナス島シテール島へ恋人が船出すると言う情景が官能的な喜びとオーバーラップする。大胆な表現力と鮮やかな色彩感に満ち溢れた傑作だ。
モーツァルト ピアノソナタ第11番イ長調(トルコ行進曲付き)
この作品が作られた1783年頃のウィーンは、トルコ軍によるウィーン包囲網に対してハプスブルクが勝利を収めてから100周年の年に当り、最終楽章のトルコ行進曲風はこのような世相を反映して作られたものと考えられる。
私のCD・・Pf.ピーター・デゲンハート
ショパン 夜想曲第19番 ホ短調作品72番11
初登場。夜想曲ほどショパンの特性の表れたものはない。美趣、魅惑、実に陶酔的だ。本来、夜想曲はジョン・フィールドが創始したものであったが、彼が1832年から3年までパリに滞在中ショパンに影響を与えた。その結果ショパンによって全く新しい型式が生まれたのだ。この19番はショパン17歳の時の作品。
ショパン マズルカ第25番 ロ短調作品34番の4
初登場。この曲はショパンの母国ポーランドの民謡的な舞曲で、ポロネーズが男性的なものとすればマズルカは女性的なものである。ショパンの作ったマズルカは56曲あり内6曲は作品番号が無い。本日聴いた第25番はユーモアーのある美しい曲だった。
リスト オーベルマンの谷(巡礼の年第1年、スイスから)
初登場。資料では「巡礼の年報」のタイトルで、リストの小品を集め全4巻26曲を編集したもの。1835年からスイスへ恋の逃避行をしていたリストが、愛の法悦と美しい自然、かしましい社交界を離れた心境の中に創作した作品。第1年はスイス、第2年はイタリア、第2年補遺ヴェネツィアとナポリ、第3年は文学、いわば随想に属するもの、と言ったところ。
第1年スイスは次の通り
1.ウイリアム・テルの礼拝堂 2.ヴァレンシュタットの湖 3.牧歌 4.泉のほとり 5.あらし 6.オーベルマンの谷 7.牧歌 8.郷愁 9.ジュネーブの鐘

全編を通じてのホロヴィッツの演奏は素晴らしい。さすが巨匠と呼ばれるだけある。会場のカーネギー・ホールは一曲終る毎に聴衆の熱狂的な拍手に包まれ興奮がそのまま伝わって来た。

H29('17)9.26
レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」
          1.夜明けのジュリア谷の噴水 2.朝のトリトンの噴水 3.昼のトレヴィの噴水
          4.たそがれのメディチ荘の噴水
        交響詩「ローマの松」
          1.ボルゲーゼ荘の松 2.カタコンブ付近の松 3.ジャニコロの松
          4.アッピア街道の松
        エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団

この試聴会初登場。レスピーギはイタリア音楽界の巨匠とも言われている。1879年ボローニアに生まれ1936年に57歳の生涯を閉じた。彼の代表作として知られているのが“ローマ三部作”といわれている「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」である。彼は古都ローマをこよなく愛し、この三部作はいずれもローマ市内の有名な噴水や泉、松、古代ローマから現代までの祭りと言ったローマの風物を題材としており、それらを通じてローマの栄光を描き出そうとしたのである。いずれも豊かな色彩感に溢れた作品で“オーケストラの魔術師”といわれたリムスキー・コルサコフに作曲技法を学んだレスピーギの、輝かしいオーケストレーションが聴きもの。かつて観光で訪れた懐かしい地名がいくつかあり楽しく聴いた。
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調(ハース版)
         ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 ドレスデン・シュターツカペレ

27.11.10 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル この時にコメント済みにつき今回は省略。
私のLP・・ショルティ指揮 ウィーン・フィル

H29('17)10.3
グリーグ 劇付属音楽「ペール・ギュント」  合唱 アンブロジアン合唱団
       Va.シドニー・エーリントン S.シェイラ・アームストロング
       サー・ジョン・バルビローリ 指揮 ハレ管弦楽団

試聴会初登場。グリーグの作品ではピアノ協奏曲作品16が有名で、この試聴会でも過去5回聴いている。本日の曲はこれらとは異質の劇音楽で、北欧的なリリシズムに溢れた名曲だった。イプセンの戯曲の主人公、ペール・ギュントは冒険心の強い放浪癖のある男。物語はソルヴェイグという純情な婚約者がいるにも拘らず、故郷を捨てたペールが各地で大冒険を繰り返し、ついにアメリカで大金持ちとなる。だが、故郷へ引き上げる途中嵐のため船は難破し、無一文になって帰りつき、彼を待ち続けていた白髪のソルヴェイグの膝を枕に、その波瀾に富んだ生涯を閉じる、という筋である。劇音楽の中でも傑作と言われている。

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64
ブルッフ       ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
            Vn.シュロモ・ミンツ アバド指揮 シカゴ交響楽団

メンデルスゾーン
27.8.4 試聴済み Vn.ハイフェッツ ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団
28.3.29  〃    本日の盤に同じ
私のLp・・Vn.フランチェスカッティ ジョージ・セル指揮 コロンビア交響楽団
   Lp・・Vn.カブリロフ・ジョセフォ・ヴィッツ指揮 ハンブルグ放送管弦楽団
ブルッフ
28.3.29 試聴済み 本日の盤に同じ
28.6.30   〃    Vn.フランチェスカッティ シッパース指揮 ニューヨーク・フィル
私のCD・・Vn.ナージャ・サレルノ・ソネンバーグ エド・デ・ワールト指揮 ミソネタ管弦楽団

H29('17)10.17
ドヴォルザーク  チェロ協奏曲ロ短調 作品104
チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲イ長調 作品33
           Vc.ムスティスラフ・ロストロボーヴィチ 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団

ドヴォルザーク
29.4.6 試聴済み。Vc.シュタルケル ジェスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団
私のお気に入りの名曲。前回試聴時に記しているが、私の告別式にはこの曲を流すようエンディングノートに書いている。会社の同期生S.K君が数日前に死亡、この20日告別式があり参列する予定だが、第2楽章の独奏チェロの歌う哀愁を帯びた旋律が葬送の曲に聞こえ胸に迫った。
私のCD・・Vc.ピエール・フルニエ ジョージ・セル指揮 ベルリン・フィル

チャイコフスキー
この試聴会初登場。チャイコフスキーが作曲した2曲のチェロと管弦楽のための作品の内の1曲で20分弱の小品。題名通り軽快・優美なロココ風に満ちた曲だった。序奏と主題それに7つの変奏が続けて演奏される。チェロ協奏曲と同一の、独奏チェロと管弦楽による編成であるが、単一楽章であり、また「チェロ協奏曲」と名付けられていないため、この曲をチェロ協奏曲と呼ぶことは無い。しかしチェロと管弦楽のための作品としては先ほど聴いたドヴォルザークのチェロ協奏曲に次いで演奏される機会が多く、チャイコフスキー国際コンクールチェロ部門の課題曲として用いられている。総体的にチェロの独奏部が長く合奏の場面でもチェロの音が絶える事はない。これは確かに協奏曲ではない。チェリストの腕前がモロに試される感じでチャイコフスキーコンクールの課題曲になっていることにも肯ける。

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
          ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 ドレスデン・シュターツカペレ

26.5.27 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
26.10.23、27.12.15、28.12.8  〃  スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
26.12.18、28.10.13   〃  フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
29.4.25  〃  マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
過去7回聴いている。指揮者、楽団はそれそれ異なるが私のレベルではそれほどの差は分からない。ただ、いずれの楽団も第2楽章の葬送の曲は胸をうつ。そして最終楽章のエネルギッシュな力強い管弦楽には圧倒される。やはりベートーヴェンの音楽は素晴らしい。深い感動と勇気が与えられる。
余談だが指揮者ブロムシュテット(アメリカ生まれのスェーデン人)は90歳の現役、世界最高齢者の指揮者である。1973年初来日、その後数回来日しNHK交響楽団の指揮をとっている。現在はNHK桂冠名誉指揮者の称号を授与されている。今年2017.11.11-13東京公演、他に札幌、横浜が予定されておりチケットの売れ行きも好調らしい。
私のLP・・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィル


H29('17)10.24
ショスターコービィチ 交響曲第5番ニ短調 作品47
              ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

過去7回試聴済み、今回省略。
26.5.2926.8.19 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団 
26.11.18、26.12.23  〃    スクロヴァチェフスキー指揮 読売日響
27.9.3、28.11.15    〃    ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル

29.1.31  〃   バーンスタイン指揮 ニユーヨーク・フィル
私のLP・・ロリン・マーゼル指揮 クリーヴランド管弦楽団 26.5.29、26.8.19試聴済みの盤に同じ

ディーリアス 管弦楽曲集
         夏の庭園で  間奏曲とセレナーデ  暁の歌
         ラ・カリンダ~歌劇「コアリンガ」より
         冬を告げるカッコー  川の夏の庭  去りゆくつばめ
         T. ロバート・ティアー  サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団

初登場。私には初めての作曲家。Netで調べたところ次の通り。フレデリック・ディーリアス(1862~1934年)イギリスの作曲家。イングランド北部の裕福な商人の家に生まれたが、商売には関心がなく黒人音楽に感化され作曲を行うようになった。1,886年から暫らくドイツで正式な音楽教育を受け、パリに移ってプロとしてのキャリア開始した。初期の作品にみられる抒情性は彼が耳にした音楽とワーグナーや彼と親交があったグリーグなどヨーロッパの作曲家の影響が見られる。学芸員の話によれば40年ほど前、日本でも人気があった、との事。私の手元にある音楽関係の書物にはまったく記載がない。本日聴いた音楽は、1908年に作曲された管弦楽のための幻想曲で同年12月ロンドンで彼自身の指揮により初演されたらしい。日本の子守歌にも似て“まどろみ”を覚える優しい曲だった。

H29('17)10.31
モーツァルト ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503
         ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595
         Pf.フリードリヒ・グルダ クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィル

ピアノ協奏曲第25番
これまでにコメント済みにつき今回は省略。
26.8.7 試聴済み Pf.ゼルキン アバド指揮 ロンドン交響楽団
26.12.23、28.2.25 試聴済み Pf.ラローチャ ショルティ指揮 ロンドン・フィル
私のCD・・本日の盤に同じ


ピアノ協奏曲第27番
26.12.23、28.2.25 試聴済み Pf.ラローチャ ショルティ指揮 ロンドン・フィル

ベートーヴェン エグモント序曲 作品84
          交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」
          ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル(1947.5ベルリン録音)
エグモント序曲
コメント省略。
26.9.4、27.7.14 試聴済み 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
私のLP・・ゲール指揮 ロンドン交響楽団

交響曲第5番
26.8.7 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
26.8.11、28.4.19 試聴済み 本日の盤に同じ
26.9.4、27.7.14 試聴済み 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
26.10.23、27.12.15  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
26.12.2  〃   フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
27.4.21  〃   スイートナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
27.5.21  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 NHK交響楽団
27.6.16  〃   リスト編曲 Pf.グレン・グールド
27.8.20  〃   バーンスタイン指揮 バイエルン放送交響楽団
28.9.16  〃   ブーレーズ指揮 ニューヨーク・フィル
私のLP・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
         LP・・ジョセフォヴィッツ指揮 ハンブルグ交響楽団
     CD・・リスト編曲 Pf.グレン・グールド

H29('17)11.14
マーラー 交響曲第10番嬰へ長調
       交響曲第5番嬰ハ短調
       クラウス・テンシュテット指揮 ロンドン・フィル

交響曲第10番
26.11.13、27.7.7、28.1.5 試聴済み 本日の盤に同じ。
ベートーヴェンもブルックナーも交響曲は第9番で終わっている。縁起を担ぐマーラーもその一人だった。そのため交響曲第8番を完成した後、作曲した曲を第9番としないで「大地の歌」として発表した。その後、第10番の第1楽章を作っただけで未完成のまま世を去っている。そのため第1楽章のみ単独で演奏される事が多かったが、第2次大戦後補筆によって数種の全曲完成版が作られている。中でもイギリスの音楽学者リック・クックによるものが広く受け入れられており、補筆完成版の演奏が増えている。次に聴いた第5番第4楽章アダージェットの旋律と重なって聴き入ってしまった。

交響曲第5番
26.7.8 試聴済み インバル指揮 東京都交響楽団
26.11.13、27.7.7、28.1.5、28.5.24 試聴済み 本日の盤に同じ。
28.2.9 バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
私のCD・・小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
トランペットから始まる第1楽章の出足は強く印象に残る。一般に「葬送行進曲」と言われている通り、悲劇的な色合いが濃いい。これに対し第4楽章アダージェットの旋律は、切ない耽美的な音楽となっており対照的だ。トーマス・マン原作の映画「ベニスに死す」で使われ一躍有名になった。耽美派の巨匠ヴィスコンティの監督作品で、優美で極めて質の高いものだった。ロケに使われたイタリア・リド島の老舗ホテル「デ・ヴァン」に観光旅行で宿泊、松林越しに眼前に広がる白砂に主人公の作曲家が美少年を追った姿が未だに目に浮かぶ。今を去る19年前のはるか昔の思い出ですが・・・。

H29('17)11.21 
モーツァルト ピアノソナタ第11番イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
         ピアノソナタ第12番ヘ長調 K.332
         幻想曲ニ短調 K.397
         Pf.内田光子

         ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
         ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
         Pf.フリードリヒ・グルダ アバド指揮 ウィーン・フィル

ピアノソナタ第11番
29.9.12 試聴済み Pf.ホロヴィッツ
私のCD・・Pf.ピーター・デゲンハート
ピアノソナタ第12番
27.8.27 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・Pf.江原郊子(モーツァルトの名曲25選)
幻想曲
27.8.27 試聴済み 本日の盤に同じ

ピアノ協奏曲第20番
モーツァルトはピアノ協奏曲を27曲も残している。その内、短調で書かれたのはこの「第20番」と「第24番」の2曲しかない。当時は暗い感じのする短調はあまり歓迎されなかったらしい。ところが皮肉にも彼の場合、ピアノ協奏曲にしても交響曲にしても短調の作品が傑作として評価されてる。特にこの曲は、彼の総てのピアノ曲ならず他のピアノ協奏曲の中でも最高傑作とされ、この曲を熱愛したベートーヴェンはカデンツァを書いている。私が知っているモーツァルトにしては、些か暗く悪魔的で悲劇的な感じが強い。
27.9.8 試聴済み Pf.ハスキン バウムガルトナー指揮 ウィーン・シンフォニー・オーケストラ
29.6.6   〃    Pf.内田光子 テイト指揮 イギリス室内管弦楽団
私のCD・・Pf.ゼルキン アバド指揮 ロンドン交響楽団
   CD・・本日の盤に同じ
ピアノ協奏曲第21番
第2楽章のアンダンテの優美な旋律が素晴らしい。1967年スェーデン映画「短くも美しく燃え」に使われ一躍有名になった。弦のアンサンブルに加え管楽器、打楽器が加わり賑やかで明るい。
26.6.24 試聴済み Pf.ゼルキン アバド指揮 ロンドン交響楽団
29.1.17   〃    Pf.ピレシュ グシュルバウァー指揮 リスボン・グルベンキアン財団室内管弦楽団
29.6.6    〃   Pf.内田光子 テイト指揮 イギリス室内管弦楽団
私のCD・・Pf.ゼルキン 指揮アバド ロンドン交響楽団


H29('17)11.30
ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
         カラヤン指揮 ベルリン・シュターツカペレ

過去5回試聴済みにつき今回は省略。
27.8.27、28.1.21 試聴済み ケンペ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
28.3.24 試聴済み チュリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル
28.9.13    〃   本日の盤に同じ
29.9.5    〃   ベーム指揮 ウィーン・フィル
私のCD・・ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団(ハース版)

ブルックナー 交響曲第9番ニ短調
         テ・デウム ハ長調
         S.マリア・シュターダー    A.ジークリンデ・ヴァーグナー
         T.エルンスト・ヘフリガー  B.ペーター・ラッガー
         ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
         オイゲン・ヨッフム指揮 ベルリン・フィル

交響曲第9番
今回初試聴。この曲はブルックナー最後の交響曲となった作品で、ついに最終章を完成しないまま世を去った。生前、自分が死んだら未完の最終章の代わりに彼の作品「テ・デウム」を演奏して欲しいと希望した。そのため、現在でもこの曲の演奏には「テ・デウム」を加えて演奏される事が多い。彼自身この曲を「愛する神に捧げるつもりで書いた」と述べている。全体的に宗教的な崇高さに満ちた音楽となっている。
私のCD・・ギュンターヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団(原典版)

テ・デウム
初試聴。ブルックナーが作曲した混声の宗教合唱曲。彼はこの曲を「総ては主の最大の誉れのために」と書いている。力強く荘厳な響きを持った曲で、後期ロマン派の作曲家が書いた宗教曲の最高峰とも言われている。4曲と終曲の構成で第1曲と第4曲の合唱が素晴らしい。

H29('17)12.19
シューベルト 三重奏曲変ロ長調 作品99(D.898)
         オイストラフ・トリオ  Vn.ダヴィド・オイストラフ 
         Vc.スヴィヤトスラフ・クヌーシュヴィッキー  Pf.レフ・オボーリン
今回初試聴。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重奏曲で、旋律が実に美しい。1827年10月に作曲され、あらゆる三重奏曲の中で最高の作品と言われている。出足は大胆で力強く溌剌とした男性的なもので、私が持っているシューベルトのイメージとは大きく異なる。全体にチェロの旋律が目立ち、チェロ好きの私にとっては楽しい曲だった。

ドヴォルザーク スケルツォ・カプリツィオーソ 作品66 B.131
          交響曲第8番ト長調 作品88「イギリス」
          イシユトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団
スケルツォ
今回初試聴。1883年4~5月(42歳)の頃の作品。同時にアドルフ・チェフ指揮の国民劇場楽団により初演された。指揮者アルトゥール・ニキシュが称賛し、演奏会でたびたび採りあげ有名となった。現在日本では余り聴く機会が少ない。スケルツォはイタリア語で「冗談」を意味し、語源的にはふざけた音楽を指すが意味合いは形骸化しており、今では「諧謔曲」と言ったところ。
交響曲第8番
この第8番は「イギリス」と言う副題がついているが、これは音楽でイギリスを描いているのではなく、単にその楽譜がイギリスで出版されたから・・・。ただし、彼とイギリスの関係は深い。彼はチェコスロヴァキアの出身だが、1884年(43歳)の時イギリスに渡ってからその後12年の間に9回もイギリスを訪れ毎回熱烈な歓迎を受け大成功を収めている。一説によれば、イギリスは“大”のつく作曲家をあまり出していないためか外国の作曲家を暖かく迎える傾向があった。ハイドンやメンデルスゾーンも大歓迎を受けている。さて、この第8番は内容的にはイギリスではなくチェコの香りに溢れた曲だ。聴いていて第3楽章などはスラブ舞曲そのもので、ブラームスのハンガリア舞曲が頭に浮かぶ。それもそのはず、ハンガリア舞曲で成功を収めたブラームスがそれと同じような郷土色豊かな舞曲の作曲をドヴォルザークに勧めていたからである。
26.8.28 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団

H29('17)12.21 
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15
          ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73「皇帝」
          Pf.アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
          カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
          ウィーン交響楽団 (1979年テレビ用公開演奏会ライブ)
ピアノ協奏曲第1番
26.7.31 試聴済み 本日の盤に同じ。

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
26.7.10、26.9.4、28.9.13 試聴済み Pf.グールド ストコフスキー指揮 アメリカン・シンフォニー
27.7.14 試聴済み Pf.ゼルキン 小沢征爾指揮 ボスト交響楽団

私のLP・・Pf.ゼルキン ヴェッヒティンク指揮 ニューヨーク・フィル
   CD・・Pf.アラウ ディヴィス指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
   CD・・Pf.仲道郁代 ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィル・ハーモニー・ブレーメン

サン・サーンス 交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」
          シャルル・デュトワ指揮 
          モントリオール交響楽団
サン・サーンスは若いころオルガニストとして最高の地位と言われるパリのマドレーヌ寺院のオルガニストを務めていた。この交響曲に壮麗なオルガンを加えたのもむべなるかな、である。そして、この曲は尊敬したリストに捧げられている。16歳の時、リストに才能を認められて以来、生涯に渡りリストに心酔していた。第2楽章後半の響き渡る逞しいオルガンの旋律は強く印象に残る。
27.6.16、28.8.2 試聴済み 本日の盤に同じ。
28.12.20 試聴済み オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団
私のCD・・Org.フォックス オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

H29('17)12.26
メンデルスゾーン 交響曲第4番イ長調 作品90「イタリア」
            クラウス・テンシュテット指揮 
            ベルリン・フィル
交響曲第3番「スコットランド」も有名だが、彼の4つの交響歌曲の中ではこの第4番が一番の傑作だと思う。彼の恵まれた環境での育ちの良さもあって、屈託のない明るさに満ちた曲だ。特に第2楽章の哀愁を帯びた抒情的な旋律は素晴らしい
27.9.29 試聴済み ジュゼッペ・シノボリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
27.10.22、28.3.31 試聴済み 本日の盤に同じ

私のCD・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調 (SACD)
         スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー指揮
         読売日本交響楽団 (2016.1.21東京芸術劇場ライブ)
彼の曲は長大なものが多く演奏時間が長い。しかし、何回か聴いているとその味が分かってくる。心が落ち着きゆりかごの中で心地よく聞き入っている自分に気が付くから不思議だ。この第8番も90分近い長いものだが、第3楽章のアダージョは心に沁みる。
27.8.27、28.1.21 試聴済み ケンペ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
28.3.24 試聴済み チュリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル
28.9.13   〃    カラヤン指揮 ベルリン・シュターツカペレ
29.9.5    〃   ベーム指揮 ウィーン・フィル
29.11.30   〃   28.9.13に同じ
私のCD・・ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団(ハース版)

H29('17)12.28
ベートーヴエン 交響曲第8番ヘ長調 作品93
          オトマール・スゥイトナー指揮
          ベルリン・シュターツカペレ

          交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱付き」
          S.フィリス・カーティン A.(コントラルト)フローレンス・コブレフ
          T.ジョン・マッカラム Bs.ドナルド・グラム シカゴシンフォニー合唱団
          フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団
交響曲第8番
随所に上機嫌なベートーヴェンが顔を出しているような無邪気な明るさに満ち、彼の全作品の中でも珍しく“笑い”のある曲だと言われている。私自身もそうだが、ベートーヴェンに対する印象は「英雄」や「運命」で感ずる勇壮で情熱的なものだが、この曲は異なる。明るく穏やかで彼の別の面が現れている。そういえば、交響曲第4番も愛らしく幸福感に満ちており、ロマン的色彩を感ずるが、この第8番に通ずるものがあると思う。
26.7.31 試聴済み アバド指揮 ウィーン・フィル
27.4.30、27.12.10、28.3.17 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・プロムシュテット指揮 シュターツカペレ・ドレスデン

交響曲第9番「合唱付き」
不滅の名曲だけあって何度聴いても感動する。第4楽章に合唱を加え当時としては余りにも斬新で大冒険だったと思うが、見事に成功させている。彼の生涯の音楽と思想を凝縮した巨大な作品なのだ。ブルックナーやマーラーの長大な交響曲が世に出るのはこの「第9」から50年以上も経ってからであるから、この当時「第9」がいかに驚異的な作品であったことか・・・。最終章の旋律が次第に緊張感を増す中で、一転して響き渡るバスの「オーフロイデ~」の声は聴くたびに新たな感動を覚える。今年もこれを聴いて機嫌よく終える事ができそうだ。
26.7.26 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル ウィーン国立劇場合唱連盟
26.8.11   〃    フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル バイロイト祝祭管弦楽団、同合唱団
27.1.20   〃    ヨッフム指揮 ロンドン交響楽団、同合唱団
28.8.9     〃    スゥイートナ指揮 シュターツカペレ・ドレスデン 
             ライプツィヒ放送合唱団 ドレスデン国立歌劇場合唱団
私のLP・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル ウィーン楽友協会合唱団

H30('18)1.4 
ベートーヴェン レオノーレ序曲第3番 作品72a
          ミサ・ソレムニス 二長調 作品123
          S.マーガレット・プライス  A.クリスタ・ルードヴィヒ
          T.ヴィエスクフ・オフマン  B.マルティ・タルヴェラ
          ウィーン国立歌劇場合唱団
          カール・ベーム指揮  ウィーン・フィル
レオノーレ序曲
ベートーヴェン唯一の歌劇「フィデリオ」、別名「レオノーレ」。彼がなぜ歌劇の作曲に取り組まなかったのか・・・。彼の思う理想的な夫婦愛のあり方が、当時のオペラの内容はあまりにも軽薄すぎたから、と言われている。その彼が出会ったのが18世紀中ごろのスペインを舞台に、政敵によって捕えられた政治家フロレスタンをその妻レオノーレが男装して、救出するという強烈な夫婦愛の物語に共鳴し作ったのがこの曲なのだ。だが、この作品は最終的に完成するまでに改訂を重ね実に11年の歳月をかけている。極めて重厚でスケールの大きい曲だ。序曲は全部で4曲あるが、この第3番が最高の作品で現在では単独で演奏される機会が多い。
27.2.10、27.9.17、28.3.24 試聴済み イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル
27.6.25 試聴済み 本日の盤に同じ
27.12.15  〃    スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
28.10.13  〃    フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
ミサ・ソレムニス
この試聴会初登場。この曲(荘厳ミサ曲)は「交響曲第9番」とともに、ベートーヴェンの晩年を飾る二大傑作で「第9番」の完成直前に作曲されたもの。いかにもベートーヴェンらしく極めて壮大で交響的な内容を持った音楽。全曲はキリエ(主よ、憐れみたまえ)、グローリア(栄光)、クレド(我は信ず)、サンクトゥス(聖なるかな)、アニュス・ディ(神の小羊)に分かれ演奏に約90分を要する大作だ。大寺院の中で淡いステンドグラスの光を浴びながら荘厳な気分に浸るミサ曲だった。

H30('18)1.11
ストラヴィンスキー バレー音楽「火の鳥」(1910年版) BBC交響楽団
             バレー音楽「ペトルーシュカ」(1911年版) ニューヨーク・フィル
             バレー音楽「春の祭典」 クリーヴランド管弦楽団
             ピエール・ブーレーズ 指揮
「火の鳥」
本日の3曲はストラヴィンスキーの“三大バレー音楽”といわれているもので、、この「火の鳥」は彼の出世作となった傑作。いずれの曲も独創的で、世界に大きな波紋を起こした。この曲はロシアの伝統的なおとぎ話を題材としている。結論は王子と王女のめでたい結婚、ハッピーエンドの物語。「音楽の破壊者」とも言われただけあって、自由奔放に音が飛びかい、オーディオの醍醐味を感じた。
26.8.26 試聴済み 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
27.3.3    〃    本日の盤に同じ
27.6.25   〃    ベーム指揮 ウィーン・フィル
私のCD・・アバド指揮 ロンドン交響楽団
「ペトルーシュカ」
この作品は、ペトルーシュカ、踊り子、ムーア人の三つの人形を主人公としたもので、舞台は謝肉祭の日の見世物小屋。人形使いに魂を吹き込まれた人形たちがお互いに恋をし、人形にも魂があるのだ、と言うことを示した寓意的なバレー。いろいろと想像が膨らみ楽しい音楽だった。
27.3.3、28.1.26 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・アバド指揮 ロンドン交響楽団  アンタル・ドラティ指揮 デトロイト交響楽団
「春の祭典」
この曲は前記の「火の鳥」の作曲中、不思議な場面の幻想を見て、その幻想にもとずいて作曲されたと言われている。原始的で強烈なリズム、耳をつんざくような金管が叫び連続する不協和音、これまでの伝統を完全に破壊した音楽は、当時の聴衆の理解を超え狂乱に陥れたらしい。聴いていて大いに疲れる。まして本日のように3本建てともなると大変だった。お口直しにモーツァルトとかブラームスの穏やかなソナタが聴きたい気持ち。
27.3.3、28.1.26 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・アバド指揮 ロンドン交響楽団  アンタル・ドラティ指揮 デトロイト交響楽団 

H30('18)1.16
ブラームス ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 作品83
        Pf.ウイルヘルム・バックハウス
        カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル

ブルックナー 交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」(ノヴァーク版)
         カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル
ブラームス ピ アノ協奏曲第2番
試聴会初登場。もっとも全回出席ではないので、既に演奏されているか分からない。
ブラームスは1878年4月、春のイタリアを訪れたがその目覚めるような自然の美しさに心を奪われ、その印象をこの曲に込めた。しかし、なかなか完成には至らず1881年再度イタリアを訪れた時にもイタリアの春に打たれ深く感動しついに完成した。「第1番」が作られてから実に23年後の1881年(48歳)にようやく完成している。彼はこの間に交響曲「第1番」や「第2番」、「ヴァイオリン協奏曲」といった傑作を世に送り出している。この曲は「第1番」と比べると、オーケストラの部分が前面に押し出され俗に「ピアノ独奏部をもつ交響曲」とか「ピアノ交響曲」と言われるほど、スケールの大きな作品となっている。またピアノ独奏部もブラームスがピアノの名手だっただけに、大オーケストラを向こうに回し堂々とわたり合っている。超絶的なテクニックが必要とされ、まさにブラームスの円熟期の傑作となっている。協奏曲にしては4楽章編成で約50分を要す大作だ。
ブルックナー 交響曲第3番
彼の交響曲はヴァイオリンのトレモロでささやくような表現が多用されており、俗に「原始霧」と呼ばれている。深い霧の中から何かが次第に姿を現すような特長を持っている。一旦、曲が終わったかと思うとややおいて静かな旋律が走り、再び曲が盛り上がって行く。これを何回か繰り返し約50分の長大な曲を編成している。最初は取り組み難い感じだが、回を重ねるごとにブルックナーの深さが分かる気がする。
28.3.29 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・朝比奈隆指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

H30('18)1.30
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73「皇帝」
          Pf.ルドルフ・ゼルキン 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団
「皇帝」という標題はベートーヴェン自身がつけたものではないが、堂々たる曲想が皇帝の姿を彷彿とさせ他の協奏曲と比較しても皇帝の地位に相応しい立派なものだから、だそうだ。私も昔、最初に聴いたときピアノが入った交響曲と言った感じで実に壮大で豪華絢爛な大曲だとの印象を持った。この曲は、ベートーヴェンの最高傑作と言われるが十分に納得。将に“ピアノ交響曲”(?)なのだ。
26.7.10 試聴済み Pf.グールド ストコフスキー指揮 アメリカンシンフォニー
26.9.4、27.7.14 試聴済み 本日の盤に同じ
私のLP・・Pf.ベルミュテ ヴェッヒティンク指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団
   Lp・・Pf.ゼルキン バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   CD・・Pf.アラウ ディヴィス指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
   CD・・PF.仲道郁代 ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

フランク ピアノと管弦楽のための交響変奏曲
      交響曲ニ短調
      Pf.パスカル・ロジェ ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団
ピアノと管弦楽のための交響変奏曲
この曲は実質的にはピアノ協奏曲だ。曲は「序奏」、「変奏曲」、「フィナーレ」の3つの部分に分けられ、協奏曲の3楽章形式となっている。彼の作品の中でも最高傑作の一つと言われている。ピアノによって主題がさまざまに変奏され次第に曲を盛り上げて行く。ピアノの音色が実に心地よい。
27.10.6 試聴済み 本日の盤に同じ
28.10.18   〃    Pf.アントルモン ジャン・マルティノン指揮 フランス国立放送管弦楽団
私のCD・・Pf.カサドシュ オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団
交響曲
彼の唯一の交響曲で死の3年前に創られている。オルガンのような重厚な響きが魅力的だった。リストから「バッハの再来」と言われたそうだが、十分に頷ける。
27.5.14、28.9.29 試聴済み バーンスタイン指揮 フランス国立管弦楽団
27.10.6 試聴済み 本日の盤に同じ
28.10.18   〃   ジャン・マルティノン指揮 フランス国立放送管弦楽団
私のCD・・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 

H30('18)2.6   
ベートーヴエン 弦楽四重奏曲第12番変ホ長調 作品127
          弦楽四重奏曲第16番ヘ長調 作品135
          弦楽四重奏曲第13番変ロ長調 作品130(終楽章:アレグロ)
          ラサール弦楽四重奏団
第12番、第16番
試聴済みだが一つだけ補足する。この第16番は、ベートーヴェン最後の弦楽四重奏曲。それだけでなくまとまった作品としては、生涯最後の作品(1826年作、翌1827年没)。専門家によれば晩年の楽聖の衰えと寂寥を覚える、とあるが私にはそれは感じなく、明るく力強い感じだった。
27.4.21・・試聴済み 本日の盤に同じ
終楽章:アレグロ
ベートーヴェン最後の5つの四重奏曲、作品127、130、131、132、135の中の第2番目の作品。特にこの終楽章はベートーヴェン最後の創造力が結集された点で有名。

ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調 作品92
          オトマール・スウィトナー
          シュターツカペレ・ベルリン
ベートーヴェン作品の中で私の一番のお気に入り曲、何度どこで聴いても感動する。これまでに数回コメント済みにつき省略。
26.5.12 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フイル
26.7.31   〃    アバド指揮 ウィーン・フィル
27.2.10、27.9.17  〃  イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル
27.3.17   〃    小沢征爾指揮 水戸室内管弦楽団
27.7.2    〃    ベーム指揮 ウィーン・フィル
27.9.8、27.11.17  〃  クリップス指揮 ロンドン交響楽団
私のLP・・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
   CD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
   CD・・スウィトナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン(本日の盤に同じ)


H30('18)2.15
シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調 作品114(D.667)「ます」
         Pf.アルフレッド・ブレンデル  クリーヴランド弦楽四重奏団員
シューベルトは31才という短い生涯ながら650あまりの歌曲を残している。この曲は20歳台のころの作品。第2Vn.の代わりにコントラバスを用いて低音部の効果を強めた異色の五重奏曲となっている。短命だったモーツァルトよりもさらに若くして亡くなっているが、その生涯も似通ったもので極度の貧乏暮らしだったらしい。数多くの美しい曲からは想像もできない。
27.3.24、27.11.12 試聴済み 本日の盤に同じ
私のLp・・Pf.パウル・パドゥラ・スコダ ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏楽団員

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)
          クラウス・テンシュテット指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
27.8.27、28.1.21 試聴済み ケンペ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
28.3.24 試聴済み チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル
28.9.13、29.11.30 試聴済み カラヤン指揮 ベルリン・シュターツカペレ
29.9.5 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
29.12.26  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日本交響楽団
私のCD・・ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団(ハース版)
過去数回コメント済みにつき今回は省略。ただし一つだけ付言、第3楽章のアダージョは何度聴いても限りなく美しい。

H30('18)2.20
ドビュッシー 「子供の領分」 作品15
シューマン  「クライスレリアーナ」 作品16
         Pf.マルタ・アルゲリッチ
子供の領分
この試聴会初登場。この作品は当時3歳だったドビッシーの娘クロード・エマのために作曲されたピアノのための組曲。あくまでも大人が子供らしい気分に浸ることを目的とした作品で、シューマンの「子供の情景」とも通ずる。
クライスレリアーナ
27.2.10、28.5.31 試聴済み Pf.ブレンデル

ショスタコーヴィチ  交響曲第5番ニ短調 作品47
             ロリン・マゼール 指揮  クリーヴランド管弦楽団
マーラを最後にして交響曲の歴史は殆ど終わりかけたにみえた。作品は大型化し、古典的な様式は崩れ去ったから・・・。しかし20世紀に入ってなお15曲もの交響曲を書き続けた作曲家がいた。それがソヴィエト・ロシアの作曲家ショスタコーヴィチなのだ。20世紀末、東欧諸国とソヴィエトが政治的にも大きく揺れ動いた頃だ。芸術活動に対しても強い統制がとられ全ての芸術は社会主義リアリズムの線に沿ったものでなければ葬りさられたのであった。彼も1936年(30歳)当局から言われなき批評を受けた。そこで彼はだれの目から見ても非難の余地のない作品を発表して名誉を挽回しょうとした。こうして発表されたのがこの5番なのだ。この曲はよくネオ・ベートーヴェン・スタイルと呼ばれるくらいベートーヴェンの「交響曲第5番」と相通ずるところがある。それは曲全体が苦悩から克服、喜びへといった内容を持っている事や第1楽章で印象的な主題を巧妙に展開させているからだ。
26.5.29、26.8.19 試聴済み 本日の盤に同じ
26.11.18、26.12.23
  〃   スクロヴァチェフスキー指揮 読売日響
27.9.3、28.11.15    〃   ムラヴィンスキー指揮  レニングラード・フィル
29.1.31  〃  
 バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
29.10.24  〃    オーマンデイ指揮 フィラデルフィア管弦楽団
私のLP・・本日の盤に同じ

H30('18)2.22
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
      Vn.シュロモ・ミンツ  アバド指揮  シカゴ交響楽団
ブルッフ(1838-1920年)は19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したドイツロマン派の作曲家。指揮者としてもまたベルリン音楽大学の教授としても活躍している。彼はヴァイオリン協奏曲を3曲残しているが、とくに有名なのがこの第1番。メンデルスゾーンのホ短調協奏曲と同じようにメランコリックで甘美な旋律、非常に親しみやすい曲だ。
28.3.29、29.10.3 試聴済み 本日の盤に同じ
28.6.30 試聴済み Vn.フランチェスカッティ シッパース指揮 ニューヨーク・フィル
私のCD・・Vn.ナージャ・サレルノ・ソネンバーク エド・デ・ワールト指揮 ミソネタ管弦楽団

マーラー 交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」 
        歌唱 ヘザー・ハーパー(ソプラノ)ほか
      合唱 ウィーン国立歌劇場  ウィーン学友協会 ウィーン少年合唱団
      サー・ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団
きわめて異質な作品。大規模な管弦楽に加えて8人の独唱者と複数の合唱団を要する巨大なオラトリオ或いはカンタータのような作品。90分近い大作だ。良質のオーディオセットにより合唱曲は素晴らしい響きで圧倒された。その他詳細は前回記載済み。
27.8.25 試聴済み 本日の盤に同じ

H30('18)2.27
シューベルト 交響曲第5番変ロ長調 D.485
シューマン   交響曲第4番ニ短調 作品120
         カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル
シューベルト
この試聴会初登場。美しい旋律で多くの歌曲を残したシューベルトだが、彼の生涯は無残で酷いものだった。31歳の短い人生はモーツァルトよりもさらに短く、困窮の度合いもさらにひどかったらしい。餓死同様の死の床には僅か1円の金しか無かったと言う。その才能はベートーヴェンの認めるところで、ベートーヴェンは死の寸前に「なぜもっと早くシューベルトを知ることができなかったろうか」と嘆いている。本日聞いた作品は彼が19歳の時の作品でモーツァルト、ロッシーニ、ベートーヴェンに私淑していた時代で、特にモーツァルトの感化が著しい、と言われている。初めて聴いたが特に印象に残るところはなかった。私自身の鑑賞能力が乏しいからか・・・。
シューマン
これまで4回聴いており記載済みにつき今回は省略。
27.10.22 試聴済み テンシュテット指揮 ベルリン・フィル
28.1.21、28.3.31、28.8.2 試聴済み クーベリック指揮 ウィーン・フィル
私のCD・・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル

R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」 作品40
           Vn.ゲルハルト・ヘッツエル 
           カール・ベーム 指揮 ウィーン・フィル
過去2回の試聴会で記載済み、今回は省略。
26.6.24 試聴済み マゼール指揮 クリーヴランドオーケストラ
27.9.29   〃    プロムシュテット指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
私のLP・・Vn.アンシェル・ブラシロー ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

H30('18)3.13
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216
          Vn.イツァーク・パールマン 
          ジェームズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィル
今回初試聴。
モーツアルトが書いたと認められるヴァイオリン協奏曲は5曲ある。それらはモーツァルトがまだ故郷ザルツブルグにいた1775年(19歳)の4月から12月までの8ケ月の間に集中的に作曲されたもの。これらを総称して【ザルツブルグ協奏曲】とよばれている。そのうち今日聴いた第3番、第4番、第5番の3曲が広く親しまれている。この第3番は初めて聴いたがモーツアルトらしい優雅な気分にあふれている。全体的に軽快でリズミカル。抒情的でロマンティックなメロディだった。

マーラー 交響曲第9番ニ長調
       ジョン・オールディーズ合唱団
        ジェームズ・レヴァイン指揮 フィラデルフィア管弦楽団
今回初試聴。
マーラーはこの第9番を自分の耳で聴くことは出来なかった。何故ならこの曲を完成した翌年1911年5月演奏を愛弟子のワルターに託して亡くなったのである。当時彼はニューヨークのメトロポリタン歌劇場の指揮者として招かれアメリカで活躍し始めていた。アメリカとヨーロッパを往復しながら晩年の傑作「大地の歌」や「交響曲第9番」、そしてついに未完となった「第10番」などを生み出していた。これらの曲には、自分と向き合い深い厭世観に陥っていた当時の彼の心情が切々と表れ胸を打たれる。終末の旋律は悲壮感に溢れ静かに音が消えゆきその余韻が実に感動的だった。

H30('18)3.15
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219
            Vn.イツァーク・パールマン
           ジェームズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィル
初試聴。
一昨日聴いた【ザルツブルグ協奏曲】の最後の作品。1775年12月に完成、あと1ケ月で20歳の成年になる時期だ。この曲は「トルコ風」と言う愛称で親しまれている。第3楽章の中間部に当時ヨーロッパで流行っていたトルコ風のリズムが使われているから・・・。全体にスケールが大きく美しい旋律部分が多い。

ストラヴィンスキー レクイエム・カンティクルス
ビュッシー  管弦楽のための三つの交響的素描「海」
ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14
         シャルル・ミンシュ指揮 パリ交響楽団
          (1967.11.14 パリ・シャンゼリゼ劇場ライブ)
レクイエム・カンティクルス
初めて聴いた。1966年に作曲された宗教曲。歌詞はレクイエム(ミサ曲)からの抜粋。題名のレクイエム・カンティクルスはレクイエムの頌歌集を意味する。一部に独唱(アルトとバス)と混声合唱が入っている。厳粛かつ敬虔な雰囲気の曲だった。
「海」
過去の試聴会でコメント済み、今回は省略。
27.8.11 試聴済み カラヤン指揮 ベルリン・フィル
27.8.18、28.1.26 試聴済み ブーレズ指揮 ニューヨーク・フィル
私のLP・・アンセルメ指揮 スイスロマンド管弦楽団
幻想交響曲
下記の試聴会でコメント済みにつき今回は省略。
26.6.10 試聴済み アバド指揮 ウィーン・フィル
26.6.24    〃   アバド指揮、シカゴ交響楽団
27.2.19、28.7.26   〃  モントー指揮 ウィーン・フィル
28.8.2   〃  デュトワ指揮 モントリオール交響楽団
私のLP・・ジョルジュ・プレースト指揮 シカゴ交響樂団

H30('18)3.20
ブラームス  交響曲第3番ヘ長調 作品90
ブルックナー 交響曲第7番ホ長調(原典版)
          カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル
ブラームス第3番
これまで第1番、第2番、第4番は聴いているが第3番は初めて。尤も、カラヤン指揮のCDは持っており数回聴いているが本日のような本格的なオーディオで聴くと全く別物となる。この曲は初演のタクトを振るった名指揮者ハンス・リヒターが「この曲はブラームスの『英雄(エロイカ)
と言った事から俗に「英雄」とも呼ばれている。だが、この曲はベートーヴェンがナポレオンに捧げようとして書いた「交響曲第3番」のようなエピソードもなく、また英雄を標題音楽的に描こうとしたものでもないが、ブラームスの交響曲の中では最も男性的で逞しくスケールの大きな作品となっているから・・・。第3楽章の旋律がフランスの女流作家サガンの小説「ブラームスはお好き」を映画化した「さよならをもう一度」に使われ一躍有名になった。弦楽器の奏でる甘く寂しいこの調べはいつまでも耳に残る。全体に勇壮さが支配している中で、抒情的なこの部分は絶妙の美しさがある。
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

ブルックナー第7番
次の試聴時にコメント済につき今回は省略。
27.11.10 試聴済み 本日の盤に同じ
29.9.26    〃  (ハース版) ブロムシュテット指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
私のLP・・ショルティ指揮 ウィーン・フィル

H30('18)3.27
ベートーヴェン 三重協奏曲ハ長調 作品56
           Pf.ゲザ・アンダ Vn.ウォルフガング・シュナイダーハン
           Vc.ピェール・フルニエ
           フ レンチェ・フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団
26.6.10 試聴済み 本日の盤に同じ
一般的にはピアノとヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲と言われている。3つの独奏楽器を使ったこの風変りな協奏曲は「交響曲第3番」が完成した同年1804年(34才)に作られている。この曲はベートーヴェンの協奏曲のなかではあまり人気がない作品で聴く機会も少ない。3人の優れた独奏者を揃えるという制約も大きく演奏会向きでない、と言われている。この試聴会では収集家「五味康祐」の趣味もあってベートーヴェンの作品が多いが、過去3年半で本日の作品は僅か2回目の試聴だった。私はチェロが好みなのでフルニエの音に聴き入った。彼の弾くドヴォルザークのチェロ協奏曲は私のお気に入りの一つである。

ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調 作品27
         ウィリアム・スタインバーグ指揮 
         ピッツバーグ交響楽団 
ラフマニノフと言えば甘美でロマンティックな抒情性を帯びた作品のイメージが強い。代表作ともいうべきピアノ協奏曲第2番はその美しい旋律がイギリス映画「逢びき」で使用され、クラシック音楽の中でも最もポピュラーな作品の一つとなっている。ところが本日聴いた交響曲第2番はそのイメージとはかけ離れ、ドラマチックでかなり激しいものだった。ただし第3楽章のアダージョはクラリネットのソロが印象的でラフマニノフそのものだった。彼の代表的な作品としてはピアノ協奏曲4曲、交響曲3曲を残している。

H30('18)3.29
ラヴェル   弦楽四重奏曲ヘ長調
ドビュッシー 弦楽四重奏曲ト短調 作品10
        ブタベスト弦楽四重奏団
ラヴェル
27.2.19 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・アルバン・ベルク四重奏団
ドビュッシー
27.2.19 試聴済み 本日の盤に同じ

ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調 作品92
          序曲「レオノーレ」第3番 作品72a
          ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィル
交響曲第7番
26.5.13
 試聴済み フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
26.7.31    〃
   アバド指揮 ウィーン・フィル
27.2.10    〃   本日の盤に同じ
27.3.27    〃   小澤征爾指揮 水戸室内管弦楽団
27.7.2            〃   ベーム指揮 ウィーン・フィル
27.9.8、27.11.17 〃  クリップス指揮 ロンドン交響楽団
私のLP・・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
   CD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル
   CD・・スウィトナー指揮 シュッターツカペレ・ベルリン
序曲「レオノーレ」
27.2.10、27.9.17 試聴済み 本日の盤に同じ
27.6.25 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
私のCD・・ベートヴェン序曲集 カラヤン指揮 ベルリン・フィル    

H30('18)4.3
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」 作品73
          Pf.エミール・ギレリス
          ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団

この「皇帝」は交響曲第3番「英雄」と双璧をなす勇壮で堂々たる作品だ。これまでの試聴会でグールド、ゼルキンなどの名ピアニストの演奏を聴いており、私のコレクションの中にもPf.仲道郁代、現在N響の指揮者ヤルヴィのCDを持っており、元気をもらいたいときによく聴いている。この第5番はベートーヴェンが完成した協奏曲の最後の作品となったが、このように規模の大きい威厳に満ちた協奏曲はかつてないものだった。これを聴いた聴衆からピアノ協奏曲の「皇帝」のようだ、と言ったところからこの愛称が生まれたらしい。26.9.4試聴会のコメントで「ピアの交響曲?」と書いているが、本日読んだ批評家のコメントにも「ピアノ付きの交響曲」のようだ、とあり再度納得した次第。
26.7.10、28.9.13、29.12.21 試聴済み Pf.グールド ストコフスキー指揮 アメリカン・シンフォニー
26.9.4、27.7.14、30.1.30 Pf.ゼルキン
 小澤征爾指揮 ボストン交響楽団
私のLP・・Pf.ベルミュテ ヴェッヒティンク指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団
   Lp・・Pf.ゼルキン バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
   CD・・Pf.アラウ ディヴィス指揮 ドレスデン・シュターツカペレ
   CD・・Pf.仲道郁代 ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

ブルックナー 交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」
         カール・ベーム指揮 ウィーン・フィル

標題の「ワーグナー」については興味深い逸話がある。28.3.29試聴時に書いているが次の通り。
1873.8ブルックナーは、この第3番と第2番の楽譜を持ってバイロイトのワーグナー邸を訪問。風采の上がらないブルックナーを見たワーグナー夫人は物乞いと勘違いしたと言う。ワーグナー自身も献呈には殆ど興味を示さず門前払いのかたちで帰らせたが、後で楽譜を見て感動しブルックナーを連れ戻し抱きしめ「私はベートーヴェンに到達する者をただ一人知っている、ブルックナー君、君だよ」と称賛し献呈を受け入れたとの事。
28.3.29、30.1.16 試聴済み 本日の盤に同じ
私のCD・・朝比奈隆指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

H30('18)4.5
バッハ 音楽の捧げもの BWV1079
           カール・リヒター指揮 ミュンヘン・バッハ管弦楽団
試聴会初登場。
プロシアのフレデリック大王はフルートの名手でもあった。バッハの息子がその宮廷に仕えていたころ、バッハが1747年ベルリンに旅した際フレデリック大王に拝謁した。そのとき即興的に大王の提出された主題をフーガ(遁走曲)に作って御前演奏し称賛を得た。そしてなお、大王の求めに応じて更に六部のフーガを作り、美しいカノン(輪唱の一種)を添えて「音楽の捧げもの」と題して大王に奉呈したもの。大王に対する感謝と深い感激に満ちた内容で約270年もの昔の音楽とは思えない明るく軽やかで気品に満ちた曲だった。フルートの音色が印象的だった。
私のLP・・Fl.オーレル・ニコレ ルツェルン弦楽合唱団

ブラームス 交響曲第4番ホ短調 作品98
        ルドルフ・ケンペ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
過去2回の試聴会でコメント済み、今回は省略。
26.8.5 試聴済み 本日の盤に同じ
28.7.21    〃    クライバー指揮 ウィーン・フィル
私のLP・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル
 
  
H30('18)4.10
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 OP.61
                         Vn.ヨーゼフ・シゲティ
          アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団

べートーヴェン唯一のヴァイオリン協奏曲。この曲は「田園」や「スプリング・ソナタ」と同じく、彼の明るい面がよく表れている。聴いていて「田園交響曲」に近い旋律がしばしば現れる。古今のヴァイオリン協奏曲の中でも最高峰と仰がれているこの曲は、世間の陽の目を見るまでに40年近く眠っていた。即ち、1806年(36歳)初演の評は芳しくなく1844年不出世の名バイオニストヨーゼフ・ヨアヒムが取り上げるまで長い時間を要したのである。この曲は「交響曲第5番運命」や「交響曲第6番田園」を書く直前のいわば彼の中期の絶頂期に当たる時代に書かれただけあって、男性的で情熱的な逞しさに溢れ激しい気迫の感じられる曲だ。
27.9.8 試聴済み Vn.メニューイン フルトヴェングラー指揮 フィルハーモニア・オーケストラ 
28.5.19、28.10.4試聴済み Vn.クレメル マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
私のCD・・Vnアンネ・ゾフィー・ムター クルト・マズア指揮 ニューヨーク・フィル.


チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 OP.64
            ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
過去7回試聴済み、今回はコメント省略。
26.7.1、26.9.9、27.9.3、28.11.15試聴済み ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル
27.3.24 試聴済み バディス指揮 ロンドン・フィル
27.11.26  〃    リッカルド・シャイー指揮 ウィーン・フィル
29.1.12   〃    ロストロポーヴィチ指揮 ロンドン・フィル
私のLP・・ワルタ・ゲール指揮 ローマ・フィル
   CD・・クルト・ザンデルリンク指揮 ベルリン・フィル

H30('18)4.12
ブラームス ピアノ協奏曲第1番ニ短調 OP.15
        Pf.ルドルフ・ゼルキン
        アンタル・ドラティ指揮 ピッツバーグ交響楽団

ピアニストとしてもかなりの腕前をもっていたブラームスは、生涯に二つのピアノ協奏曲を書いている。この第1番は1858年(25歳)に完成されたものだが、実は初めからピアノ協奏曲として構想されたものではない。ブラームスは21歳の時「二台のピアノのためのソナタ」を作曲した。ところが翌年これを交響曲にしようと思い立ち、手始めに第1楽章をオーケストレーションしようとしたが満足できるものではなかったので、再度計画を変更し今度はピアノ協奏曲に改作したのである。彼の協奏曲はどの作品ともオーケストラの部分が極めて交響曲的に書かれていることが大きな特色となっている。この第1番も始まってから4分余オーケストラが続きピアノ音は聞かれない。その後やっとピアノ独奏が始まる。私が知っているピアノ協奏曲とは異質のものなのだ。当時世間ではこの曲のことを「独奏ピアノの助奏を伴った交響曲」と称され悪評を被ったらしい。むべなるかな・・・である。
26.7.1 試聴済み Pf.ツィマーマン バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル
私のCD・・Pf.エレーヌ・グリモー クルト・ザンデルリンク指揮

プロコフィエフ 交響曲第5番変ロ長調 OP.100
          ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

この試聴会初登場。以下Wikipediaを参照して記載。
プロコフィエフは元来政治には無関心であったが1941年ヒトラー率いるドイツ第三帝国が独ソ不可侵条約を一方的に破棄してソ連に攻め入る現実を目にして、かつてない祖国愛に目覚めたという。そして作曲家として何らかの形で祖国に貢献する道や方法を考え始め、こうした状況で生まれたのがこの交響曲第5番なのだった。作曲は1944年モスクワ郊外の山荘で一気に行われ僅か1ケ月あまりでピアノ・スコアが書かれ、さらに続く1ケ月でオーケストラのスコアも完成した。この第5番がさらにプロコフィエフを刺激、鼓舞したのは作品番号が100という彼にとって運命的な意味を持った番号になった点にある。後刻次のように述べている。「私の交響曲第5番は自由で幸せな人間、その強大な力、その純粋で高貴な魂への讃美歌の意味を持っている。」

H30('18)4.17
ドビュッシー 交響詩「海」
         カラヤン指揮 ベルリン・フィル

この曲の副題に交響的描写とつけられているが、海を絵画的に描写したものではなくあくまでも様々に変化する海の様相を印象的に描いたもの。ドビュッシーは音楽の印象派を樹立させた、と言われており、ヴェルレーヌ、マネー、ルノアール、ロダンなど当時の芸術界の達人たちから大いに感化と刺激を受けている。そして彼自身の音楽の世界を作りあげていった。様々な対象から得たとらえどころのないイメージを音によって表現したのである。彼自身日本の風物を好み版画に憧れそれによる作曲も数多い。本日レコードを聴きながら浮世絵の世界が広がり日本情緒を感じた。同時に、寄せては打ち返す波に身を委ねて気持ち良く寛ぐような浮遊感に浸った。現代版ヒーリングミュージックの一種なのだ。
27.8.11 試聴済み 本日の盤に同じ
27.8.18、28.1.26   〃    ブーレズ指揮 ニューヨーク・フィル
30.3.15    〃    ミュンシュ指揮 パリ交響楽団
私のLP・・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調OP.37
            ピアノ協奏曲第4番 ト長調 OP.58 
              Pf.エミール・ギレリス
          ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団
第3番
今回初試聴。ベートーヴェンがウィーンの楽壇にデビューしたのは、最初は優れた腕前のピアニストとしてであった。公開の席で当時の名だたる名人たちと競演して圧倒的な勝利を収めている。彼は5曲のピアノ協奏曲を残しているが、第5番以外の4曲はいずれも彼自身の独奏で初演されている。第1番や第2番はまだ先輩ハイドンやモーツァルトの影響が強いが1803年(33才)に完成されたこの第3番になると、様相は様変わりでベートーヴェンらしさが前面に出て来てスケールも一段と大きくなっている。私たちが知っているベートーヴェンらしい雄大さに溢れ、大きく飛躍する転換点を感ずる曲だった。
私のLP・・Pf.バックハウス ベーム指揮 ウィーン・フィル
第4番
この曲は1807年(37才)の作品で「交響曲第5番」や「第6番」「ヴァイオリン協奏曲」などが作られた頃で、ベートーヴェンの最も脂がのっていた時期であった。それだけに、直前の「ピアノ協奏曲第3番」には見られなかった新しい手法が多く取り入れられている。本日のように並べて聴くとその辺りがよく分かる。第1楽章がいきなり独奏ピアノのソロから始まる大胆な試みが見事に成功している。ベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲の内でも最も情緒的かつ幻想的な性格を持っている。続いて第2楽章は独奏ピアノのと弦楽器だけで演奏されており珍しい。然しながら、最終局面はあくまでもベートーヴェンらしく雄大かつ荘厳なもので、些かしんどい。
27.8.20 試聴済み Pf.アラウ バーンスタイン指揮 バイエルン放送交響楽団

H30('18)4.19
ハイドン 交響曲第88番ト長調
      交響曲第100番ト長調「軍隊」
      ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団

29.5.30 試聴済み。2曲とも本日の盤に同じ。今回はコメント省略。

ブラームス 交響曲第2番ニ長調 OP.73
            エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル
        (1978年 ムジークフェライン・ザール でのライブ)

ブラームスは1877年(44歳)の夏、オーストリアの南部ペルチャッハという風光明媚な保養地を訪れ、美しいヴェルター湖畔にたたずむこの町の長閑な風景に大変感銘を受けた。この曲はこの地の大自然から受けた感動を即興的に綴ったもので僅か4ケ月という彼にとっては異例の速さで作曲している。俗に「田園」と呼ばれているが、ベートーヴェンの「第6番田園」のように標題的な意味や描写的な内容を持っているわけではなく、曲ののびのびとした明るさがほのぼのとした「田園」情緒をかもしだしているからだ。田園情緒にしては最終局面での盛り上げ方は異常なほどで、大音響の長さには些か閉口した。余談ながら指揮者ムラヴィンスキー(1903-1988年)は、偶々昨日のTV番組「クラシック音楽館」で取り上げていたが、ロシアの貴族出身で革命の波をもろに被り数奇な運命をたどった人物。長身痩躯で目力がすごい。レニングラード・フィルを長期に亘り厳しく指導し世界一流のオケに育て上げた功績は高く評価されている。初来日のとき食事に案内した通訳の人の話によれば、天婦羅をホークで食したので箸の使用を勧めたところ、「私の指揮棒は1本だから2本の箸はどうも・・・」と茶目っ気たっぷりに答えたという。
28.11.8 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
29.4.27    〃   バーンスタイン指揮 ウイーン・フィル
私のCD・・カラヤン指揮 ベルリン・フィル

H30('18)4.24 
モーツァルト 交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
          ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団

次の試聴時にコメント済みにつき今回は省略。
26.1016、27.7.30 試聴済み ベーム指揮 ウィーン・フィル
29.6.6 試聴済み テイト指揮 イギリス室内管弦楽団
私のLP・・ジョセフォヴィッツ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団
   CD・・サヴァリッシュ指揮 チェコ・フィル

メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調 作品56「スコットランド」
             交響曲第4番イ長調 作品90「イタリア」
             オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団

第3番「スコットランド」
今回初登場。但し、私のCDにはこの第3番と第4番が合わせて収録されており、以前から数回聴いているお馴染みの曲なのだ。この曲が完成したのは第4番「イタリヤ」よりも後なのだ。標題に「スコットランド」とついているが、スコットランドの風物を標題音楽として克明に描いたものではなく、あくまでもその情感を美しい旋律で音楽的に表現しようとしたものである。第1楽章の哀調を帯びた旋律も美しいが、第2楽章や第4楽章でバグパイプ的な響きを表現しており、スコットランドらしい雰囲気を醸し出している。この曲は第1楽章から第4楽章までを休みなく通しで演奏する習慣になっているらしい。
私のCD・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル

第4番「イタリア」
今回はコメント省略。
27.9.29 試聴済み シノボリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
27.10.22、28.3.31、29.12.26 試聴済み テンシュテット指揮 ベルリン・フィル
私のCD・・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル

H30('18)4.26
ショパン バラード(全曲) 第1番~第4番
      Pf.フルトゥール・ルービンシュタイン

この試聴会初登場。バラードはもともとは舞踏歌で、18世紀ごろ叙事的性格(譚詩曲)を持った声楽曲となりやがて器楽曲となった。ショパンはそうしたバラードを芸術的に完成させた。ノクターン(夜想曲)が美しい風景画とすればバラードは詩趣を盛った壁画のようなもので、幻想と感覚の色彩の内に彼の意図がさまざまな手法で描かれている。ショパンは1836年から43年までの間に4曲のバラードを書いている。
第1番ト短調作品23番
ポーランドの詩人ミッキェウィッチの叙事詩「コンラド・ワレンロッド」(ポーランドの昔の武人)によるもの。ショパンの会心の曲と言われている。シューマンもショパンへの手紙の中で、この曲が一番優れている、と褒めている。
第2番ヘ長調作品38番
前述の詩人の「ウイリー湖」という詩に基づくもの。ショパンがジョルジュ・サンド(当時有名な女流作家)とマジョルカ島に逃避していた時の作品。美しい自然の中での恋物語が偲ばれる。シューマンへの献曲。
第3番変イ長調作品47番
前述の詩人「水の精」という詩によるもの。曲全体がフランス風の洗練された高貴なもので、発表当時フランスの貴族社会から多大の人気を集めたという。
第4番ヘ短調作品52番
4つのバラードの中で最もショパンの個性、その民族意識を発揮したものとされ人気のある曲。全体に抒情的な奔放な創作の世界が感じられショパンの心情がうかがえる。

ドビュッシー [映像] Ⅰ.Ⅱ  [版画]  [仮面(マスク)]  [喜びの島]
         Pf.ロベール・カサドシュ

[喜びの島]を除いて初試聴。ドビュッシーは音楽の印象派を樹立したといわれている。彼の若い時代は絵画ではモネ、ルノアール、セザンヌなど印象派の時代で、現実から得た印象を主観的に創り出すこの運動に、ドビュッシーとしても音楽に取り入れたことは必然の流れだったのかもしれない。
[映像]
この題名で曲集を3つ書いている。第1集と第2集がピアノ曲、第3集がオーケストラ曲。第1集は1905年(43歳)に第2集は1907年に作曲され、それぞれ3曲ずつからできており「水の反映」、「ラモーをたたえて」、「金色の魚」などが有名。これは日本から贈られた金魚をガラスの鉢にいれその美しいキラメキから創作心を興したと伝えられている。
[版画]
(塔)、(グラナダの夜)、(雨の庭)の3部から構成されている。(塔)はビルマの金色の仏塔パゴタを想像したらしい。エキゾチックな雰囲気に満ちた曲だった。(グラナダの夜)はアルハンブラのムーアー人を中心に描いた愛の歌らしい。大昔、観光旅行で訪れたグラナダの夜景が頭に浮かび懐かしく聴いた。(雨の庭)は広重の版画から得た印象が連想される。当時フランスの画壇ではチョットした日本ブームで、マネなども結構日本情緒を描いているから、当然ドビュッシーもその影響下であったと思われる。
[仮面(マスク)]
手元に何らの資料なし。
[喜びの島]
この曲はジャン・アントワーヌ・ヴァトーの作品「シテ島への巡礼」(ルーブル美術館蔵)の絵画の影響を受け作曲した。シテ島はエーゲ海クレタ島の北西にある島で、神話では愛の女神ヴィーナスの島とされている。装飾音やリズムの変化といった技巧を駆使して豊かな色彩の細やかな音を連ね幻想的な愛の喜びを描き出している。
29.9.12 試聴済み Pf.ホロヴイツ

ドビュッシーは1889年パリ万博で日本の舞踊や美術などのほか、東洋の音楽などに触れ深い驚きと感銘を受けたことを書き残している。この体験から「海」の初版スコアーの表紙には、北斎の版画「浪裏の富士」を用いている。本日、多くのドビュッシーを聴き揺りかごに身をゆだね心地よく眠っている自分がいた。曲全体を通じ東洋の曲のゆったりとした流れがこのような世界を作ってくれたのだろう。

                          
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シューベルト 交響曲第8番、第9番
カラヤン指揮 ベルリン・フィル

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